
Sambaを取り去ったOS X Lion、その影響は……
従来OS Xでは、Windowsネットワークとの接続にオープンソースソフトウェアの「Samba」を採用してきた。といっても、コミュニティベースのSambaをそのまま収録したわけではなく、HFS Plusの仕様に沿う形でUnicodeの正規化処理(NFD、Unicode Normalization Form D)を施した改変版だが、Sambaを軸としてWindowsネットワークとの共存を実現してきたことは確かだ。
そのSambaが、Lionでは取り去られている。こちらの記事でも取り上げているとおり、独自開発の互換品に置き換えられているのだ。その理由は定かではないが、SMBプロトコルの実装がSambaではなくなったことは事実で、おそらく復活することもないだろう。
互換品に置換されたことの影響だが、ファイル共有機能に関して言えば、目立った問題は報告されていないようだ。そもそもSMB/SMB2プロトコルの仕様は、Microsoftによりオープン化されているし、Apple自身もVFS機構向けのSMBクライアント(smbfs、FreeBSDのsmbfsを移植したもの)を提供してきたため、ノウハウの蓄積もあったはず。
それに大半のユーザーにとっては、SMBプロトコルのサポートは意識の下にあり、Windowsネットワークとの接続は「システム環境設定のスイッチをオン/オフするだけ」のものだ。SambaがSamba相当の互換品に変わったからといって、スイッチの外観に変更がないのだから、気付きようがない。
しかし、影響は「ある」。その一例が、SMBプロトコル経由でスキャナ機能が利用できないこと。Snow Leopardまでは、スキャナ機能を備えたプリンタ複合機からスキャンを実行できたが、Lionにアップグレードしてからはできなくなった、という報告が相次いでいる。これは、Samba相当の互換品が、スキャン機能をサポートしないためだ。
実際、富士ゼロックスやコニカミノルタなどメーカーのウェブサイトでは、「Mac OS X 10.7ではSMBプロトコルによるスキャンに対応しておりません」といった注意喚起が行われている。現在のところ、この問題に対処する方法はなく、FTPサーバ(Scan to FTP)を使うなど工夫するしかない。Appleによるソフトウェアアップデートを待つこともひとつの手だが、サポートされる確証はないだけに、Lionへのアップグレードを検討中のユーザにとっては悩みどころかもしれない。
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