システム開発の品質向上狙う「共通フレーム」新版--超上流と運用保守を追加

田中好伸 (編集部)
2013-03-04 16:52:00
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 情報処理推進機構(IPA)のソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)は3月4日、システムやソフトウェアの開発の品質向上を目的とする枠組みの新版となる「共通フレーム2013」を発表した。

 共通フレームは、ソフトウェアや情報処理システムの開発者(受注者)とそれらを利用する事業者(発注者)が、言葉の意味(範囲)の解釈の違いから来るトラブルを予防するため、“同じ言葉を話す”ことができるようにするための共通の枠組み。ソフトウェアの構想から開発、運用、保守、廃棄にいたるまでのライフサイクルを通して必要な作業内容を包括的に定めている。

 新版の共通フレーム2013では、システムライフサイクル上の“川上”である「超上流フェーズ」と“川下”の「運用・保守フェーズ」でのプロジェクトマネージャーやプログラマーの役割など新しい考え方を追加している。共通フレーム2013に準拠したシステム開発を実践することで、システム開発者は以下の3点の利点を発注者である事業者とサービスの利用者に還元できるという。

  • 国際規格に沿った「運用やサービスからみた要件定義の重要性」を理解することで、システムの利用者への貢献と投資対効果(ROI)を向上させられる
  • 設計とテスト工程の作業のやり方を関係者間で誤解がないように理解し合うことができる。従来の国際規格で明確に線引きしていなかった、システム開発とソフトウェア開発の作業内容を分離することで実現させている
  • 運用、サービスの実態を把握し、具体的な実現方法を開発時点で考慮し、利用者ニーズに適した製品、サービスを提供できる。システムとソフトウェアの開発と運用、サービスの連携を行うことで実現させる

 以上の3点は、システム開発での運用・保守フェーズでユーザーニーズを適切、円滑に収集し、超上流フェーズでの企画や検討、計画を経て、システム開発に反映させることで実現可能と説明している。事業者は自らのビジネスの強力なツールと高いROIをもたらすシステム・サービスを取得できるようになり、システム開発者はこれらのことを訴求するシステム、ソフトウェアの提供が可能とメリットを説明している。

 経済活動から日常生活の隅々に至るまで、ITを活用したサービスが提供され、サービス事業者は競争力強化のため、サービスを利用するユーザーニーズをシステムに適切に反映し続ける必要がある。加えて、システム開発事業者は、開発時の発注者からの納期やコストといった要求だけでなく、システムの初期納品後もシステムライフサイクルでシステム開発の“下流”と“上流”を結ぶサイクルを構築し、短期間で適切に実装する好循環を形成する必要性の高まりがあると、新版の背景を説明している。

 共通フレームは、国際規格である「ISO/IEC 12207:2008」(日本工業規格(JIS)「X0160:2012」)をベースに作成。日本独自の企画、システム開発、サービス管理などを新たに追加している。共通フレームは1994年と1998年に経済産業省から発行。2004年からIPAが継承し、2007年と2008年に改訂している。

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