組み込みWindowsが変化を主導--Kinectを使った手術室や仮想フィッティングルームなど

三浦優子
2012-11-20 14:22:00
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 米マイクロソフトがWindows Embedded 8およびWindows Embedded Compact 2013のロードマップを発表した。EmbeddedもWindows 8に対応するとともに、クラウドとの連携など従来の組み込みシステムにはなかった要素を盛り込んだことが特徴となっている。

 これは、2011年秋に発表されたインテリジェントシステムに対するビジョンを基にした進化である。インテリジェント化されたデバイス向けOSとなっている。新しいWindows Embeddedは従来の組み込みシステムとは異なるどのような世界を作ろうとしているのか。

 マイクロソフトでは調査会社IDCが算出した予測値として、2012年のインテリジェントシステムの全世界出荷台数は11億台、組み込みシステムトータルで60億台としている。これはスマートフォンの6億台を大きく上回るものだ。

 しかも「従来型の組み込みシステムにとどまらない、インテリジェントシステムとなることで市場はさらに大きく伸びることになる。2012年の市場規模は1兆ドルだが、5年で2兆ドル規模となると推測されている」と米Microsoft Windows Embedded担当 APACマーケティング ディレクターのジョン・ボラディアン氏は指摘する。

米Microsoft Windows Embedded担当 APACマーケティング ディレクターのジョン・ボラディアン氏
米Microsoft Windows Embedded担当 APACマーケティング ディレクターのジョン・ボラディアン氏

 市場が拡大する理由は明確で「従来の組み込みデバイスは単体でしかなかった。それがインテリジェントシステムでは大きく進化し、情報を集め、送ることで従来の単体デバイスでは実現できなかった大きなシステムへと進化を遂げることになる」という。他のシステムとの連携が実現したことが要因となる。

 他のシステムとの連携によるインテリジェントシステムの利用例がビッグデータとの連携だ。ボラディアン氏は、この分野はマイクロソフトの大きな強みが発揮できると指摘する。

 「インテリジェントシステムは小売り、製造業、医療など様々な業種で、マネージメントの重要な指針となるデータを収集し、ビッグデータとして活用されることになるだろう。インテリジェントシステムを構築する際には、マイクロソフトが持っているソフトウェア資産が大きな役割を果たすことになる」

 マイクロソフトの資産は、Visual Studioのような開発ツールをはじめ、Windows Azureのクラウドまで多岐にわたる。この多岐にわたるソフトウェア資産をフル活用できるのがマイクロソフトの強みとなる。

 ビッグデータに限らず、マイクロソフトならではのインテリジェントシステムとなりそうなのがKinectを使った、従来のパソコンが導入されていなかった分野での利用だ。

 例えば東京女子医大の利用例が紹介されている手術室向けシステム「Opect」。このシステムは手術中の外科医が資料を参照する際、身振り、手振りで資料のページ変更などが行うことができる。現在はパソコンでシステムが構築されているが、システム開発がWindowsベースのものを利用できるのであれば、利用する機器は現在のパソコンの形状である必要性はない。

 「Opectは日本で誕生したもので、非常に興味深いシステムだと感じている。インテリジェントシステムとは問題を解決するツールとなる可能性がある。問題解決ができるということは、ディシジョンメーカーにとっては大きなビジネスチャンスを生むということだ。ソフトウェア資産を持っている我々はSDKを提供できるので、低コストでシステム開発できることも大きな強みといえるだろう」

 欧米ではバーチャルフィッティングルーム、銀行が見込み客獲得のためにKinectを使った身振り、手振りのゲームを行ってブランド認知を行うゲームなどの事例が登場しているという。

 ただし、こうした用途もインテリジェントシステムの導入現場の一例に過ぎない。インテリジェントシステムはかなり幅広く利用される。

 「インテリジェントシステムにとって重要なポイントは、利用する業界によって異なる。幅広い利用の際に必要な要素に対応できることもマイクロソフトの強み」という。

 マイクロソフトではインテリジェントシステムの重要なポイントを、(1)コネクティビティ、(2)セキュリティ、(3)アイデンティティ、(4)マネージャビリティ、(5)ユーザーエクスペリエンス、(6)アナリシスの6点としている。

 「この6点のどこが重要となったとしても、ユーザー側は全て標準化されたマイクロソフトプラットフォーム上で利用することが出来る。多様なニーズに応えることができることは競合にはない我々の大きな強みといえるだろう」

 ところで、マイクロソフトではWindows 8ベースのWindows 8 Embeddedだけでなく、従来型の組み込み機器向けに「Windows Embedded Compact 2013」も用意している。インテリジェントシステム化したWindows 8 Embeddedだけでなく、Windows Embedded Compact 2013を提供するのは何故なのか。

 「Windows Embedded Compactが使われるのはPOSやATMなどインテリジェントシステムよりも小さく、レスポンスの速いシステム。アーキテクチャもWindows 8 Embeddedがx86ベースであるのに対し、Windows Embedded CompactはARMベースという違いもある」

 パソコンの世界ではWindows 8はARMをサポートしているが、組み込みシステムの世界ではまだ融合されていない世界が残っているようだ。

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