気になるあの人:Linux女子部主宰 福永愛美さん--女性技術者が集う場を創出

富永恭子 (ロビンソン)
2011-05-04 17:00:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 取材を通して出会う人たちの中には、仕事を越えて「どうも気になる人たち」がいる。そういう人たちの「惹きつける何か」を紹介する企画。題して「気になるあの人」。第1回は「Linux女子部」を主宰する福永愛美さんだ。

男臭いLinuxの勉強会に女子部登場

 昨今、IT系の勉強会が盛んに開かれているが、オープンソース系、とくにLinux関連の勉強会の悩みは、女性の参加者が少ないことだった(のではないかと個人的に思っている)。これまでも取材で何度かLinux関連の勉強会をのぞいてみたが、そこにはいつも大勢の男性エンジニアが溢れていた。しかし、女性参加者は圧倒的に少ないのが常で、勉強会はまさに「男臭い」雰囲気を醸し出していた。

Linux女子部を主宰する福永愛美さん Linux女子部を主宰する福永愛美さん

 そんな「男臭い」Linuxの勉強会に突然、大勢の女性エンジニアが参加する勉強会が登場した。それが、株式会社クエスト インフラソリューション事業部のエンジニアである福永愛美さん主宰の「Linux女子部」だ。

 「これまで、社外のLinuxの勉強会やセミナーに何度か参加してきましたが、集まるのはたいてい男性がほとんど。でも女性エンジニアは確実に増えていますし、私の周りにもLinuxを学びたいという女性たちも増えています」と福永さんはいう。

スキル不足に悩み、一念発起で受験したLPICはすでにレベル3

 福永さんは今、所属するクエストで、公益事業サービスの運用やその取り決めを制定する業務を担当している。しかし、入社当初から今年の2月まで、家電メーカーのECサイト構築と運営を担当していた。いわゆる「フロント系」と呼ばれるこの仕事では、ウェブだけでなくLinuxの知識やスキルを求められることも多く、独学だけでは追いつかなかったという。そのせいで、残業が増え始めた。しかし「残業の量よりも、自分のスキル不足が原因で、仕事の効率が上がらないことのほうが精神的にハードだった」(福永さん)という。

 福永さんが、Linuxを本気で勉強しようと一念発起して受験したのがLPICだった。彼女の本気度は、相当なもので、基礎のレベル1を取得してから2年半の間に最上級のレベル3までを総ナメにした。LPICレベル3の取得者は、日本ではまだ2000人程度。女性取得者は、さらにそのうちのごくわずかだ。

 だが、福永さんの進撃はまだ止まらない。今、彼女は、レベル3のさらに上の「スペシャリティ」と呼ばれる特化資格の中で、仮想化や高可用性、高信頼性などの技術に特化した「304」資格を今年中に取得したいという。先日、日本のLPIC認定を運営するJPI-Japan理事長 成井弦氏の話によれば、日本で女性の「304」の資格取得者はまだいないという。取得すれば、日本初になれる可能性は大いにある。実際の彼女は、見た目の“のんびり”した雰囲気からはなかなか想像できない「猛者」だった。

それは「気軽に相談できる相手がほしい」から始まった

 そんな福永さんがLinux女子部を発足しようと考えたきっかけは、自分自身の悩みからだったという。

 「これまで、同じ職場に同年代の女性エンジニアが少なく、気軽に相談する相手がいないのが悩みでした。これは私だけでなく、ほかの女性エンジニアの方々も同じように悩んているに違いありませんし、これからキャリアを積んでいく後輩たちも同様だと思います」(福永さん)

 そういった女性エンジニアのために、会社や組織を越えた「勉強の場」や、女性同士で交流しながら、互いの悩みや相談ができる「集いの場」があったらと考えて設立したのが「Linux女子部」だという。

 Linux女子部では、Linuxに興味を持つ女性、あるいはLinuxを業務で利用している女性のエンジニアリングスキル向上のために、最新技術の習得や社外での仲間作り、そして何よりも自分に合った働き方探しの応援を目的に活動している。

 今年の2月26日には、Linux女子部主催の第一回勉強会として、翔泳社とLPI-Japan協賛のもと、仮想化技術のコミュニティである「仮想化友の会」とのコラボレーションによる「Xen / KVM勉強会」を開催した。テーマが「仮想化」と高度であるにもかかわらず、勉強会には多くの女性参加者を集めた。会場の参加者には「これまでの勉強会は敷居が高かったが、女子部主催なので気軽に参加できた」という人や、「職場の男性の同僚に勧められた」という人など、参加の理由は様々だったが、総じて「これまでもLinuxについて、もっと勉強したいと思っていた」という意見が多く聞かれた。

Linux女子部第一回勉強 Linux女子部第一回勉強
勉強会には多くの女性エンジニアが参加した 勉強会には多くの女性エンジニアが参加した

 また、4月2日には、Linux女子部主催で女子限定の「第一回女子会」も「☆変わらなくっちゃの春デビュー☆」をテーマに開催している。女子会は、食事をしながら話しあう茶話会で、春から本格的にLinuxのスキルアップをしたい、IT関係の友達や仲間がほしい、勉強方法を相談したい、職場の悩みを吹き飛ばして、心機一転頑張りたいなどの日頃の悩みを、女子同士で思う存分話し合ったという。

勉強会の休憩時間に用意された焼きドーナツは、男女問わず大好評だった 勉強会の休憩時間に用意された焼きドーナツは、男女問わず大好評だった
  • 新着記事
  • 特集
  • ブログ