「見た目」だけがデザインではない:シナリオ主体のUXを実現したTARGET

大関興治(セカンドファクトリー) 齋藤善寛(セカンドファクトリー) 小川達樹(セカンドファクトリー)
2009-03-31 16:08:01
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 初日、2日目ともUXを前面に持ってきたのは意外であった。昨年のMIX08でもセッションにUXトラックというラインはあった。そのラインでは丸1日中、UXのセッションやワークショップを提供していた。

 中でもワークショップは、UXで定評のある米国のコンサルティングファーム、Adaptive Pathが担当。セカンドファクトリーのスタッフも数名聴講したが、ブレストの方法やまとめ方、IAやワイヤーフレームなどのテクニックが含まれ、非常に実践に近いワークショップであり、完成度の高い試みであると感じた。

 そして今年、MIX09ではスケジュールにUXトラックを見つけることができなかった。セッションもTechnicalとCreativeの2種類に別れていたため、今年はテクノロジーフォーカスに戻ったのか?と感じた。

 しかし、実際はそうではなかったようだ。セッションやワークショップは参加者にしか真意が伝わらない。そのため、あえて全員が参加するであろう基調講演に持ってきたのだろう。

デザイナーとデベロッパーの垣根を壊す

 Microsoftは、デザイナーだけでなく、経営層やデベロッパーにもUXを浸透させていく狙いがあるのだろう。今回のMIX09ではそれが示され、ますますデザイナーとデベロッパーの垣根が壊された感がある。

 初日はソフトウェア開発にすぐに結びつく講演ではないだろうが、2日目の基調講演はヒントになるはずだ。情報のプライオリティ設計、ラベルのデザイン――これらをIAや帳票設計になぞらえることができるのではないだろうか。

 設計前にひと工夫入れるだけでこれほど変わるものなのだ。そしてこの設計前のひと工夫こそ、現在の日本ではなかなか認めてもらえない開発スタイルではないだろうか。

 Alder氏のプロジェクトでは、先頭工程から「MIX」できたのが成功の秘訣になったのであろう。

 日本の事例においても、デザイナー主導のプロジェクト、デベロッパー主導のプロジェクトなど、さまざまにあるが、最初から「MIX」されているケースはまだ少ないように思う。

 TARGETの事例は決して「見た目」のデザインだけの結果ではない。デザインというとどうしてもビジュアル方向に視線が行きがちであるが、それだけではないことを十分に示唆する内容であった。

 翌日にはビデオも公開されている。デザイン主導で語ってはいるが、まずは「きっかけ」としての視点で一度ご覧いただきたい。

 しかし、今回のキーノートがコアな.NETデベロッパーなど、UXに耳慣れないユーザーにとって、どのように受け止められたのかについては、筆者も気になるところである。

筆者紹介

セカンドファクトリー 大関興治・齋藤善寛・小川達樹(MAIL
デザイナーとデベロッパーの融合した開発体制を目指し1998年1月に設立。人間中心設計を採用した開発プロセスや、長年のRIA(Rich Internet / Interactive Application)の開発経験に基づき、PC向けアプリケーションやウェブサイト、ウェブアプリケーションのみならず、さまざまなデバイスに対しても革新的なインターフェースを持つアプリケーションを提供。Microsoft Global Partnerに認定され、緊密な連携のもと活動を行っている。

「アプリケーションにおもてなしを」をテーマとし、ユーザーインターフェースとRIA開発を得意分野とする。UXデザインコンサルティングやプロトタイピング、製品化支援などのサービスも展開。

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