標準カーネル統合間近!TOMOYO Linuxの足跡:第2回--押し寄せる危機の連続

富永恭子(ロビンソン)
2009-03-17 11:00:00
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 前回の「標準カーネル統合間近!TOMOYO Linuxの足跡:第1回--コミュニティの熱い力」もあわせてご覧ください。(編集部)

 TOMOYO Linuxにとって、メインライン化への挑戦は危機の連続でもあった。

そのとき危機はやってきた~SELinuxの猛反発~

 Linuxの標準カーネル開発に利用されているのは、Linux Kernel Mailing List(LKML)と呼ばれ、5000人以上の購読者を持つ巨大なメーリングリストだ。メインライン提案は、このLKMLに投稿され、議論される。

 Ottawa Linux Symposium(OLS) 2007での発表にあわせ、TOMOYO Linuxは2007年6月に第1回目の投稿を行った。それに対してフィードバックされたLSM版の機能拡充を行い、同年8月に第2回目の投稿を行った後、その危機はやってきた。SELinux支持者からの猛反発に遭ったのである。

NTTデータ先端技術 インテグレーション事業部 半田哲夫氏 NTTデータ先端技術 インテグレーション事業部 半田哲夫氏

 当時、メインラインとして標準カーネルに採用されていたLSMモジュールはSELinuxだけで、SMACKはメインラインへの統合まであと一歩という状況だった。SELinuxやSMACKは、ラベル属性を付与してポリシーの設定を記述し、ラベルベースでアクセスを制御するモデル。これに対して、TOMOYOはファイル名をそのまま設定ファイルとして記述できる「パス名方式」を採用している。そのため、管理者が設定内容を理解しやすい。さらに「ふるまい」に注目した学習機能を備え、Linuxの動きを自動的に監視してポリシーを提示してくれるのが特徴だ。

 「ラベルベースのアクセス制御の場合、読み書きはパス名方式より厳格に制御できるが、組み込み家電などさまざまなディストリビューションによって、使われ方が多様に変化する状況を考慮すれば、セキュリティのレベルも画一でなく柔軟な方が利便性は高い。しかし、情報フローを最重要事項とするSELinux支持者には、不確かな情報であるパス名を見て、それだけを許可するというTOMOYOの発想は受け入れがたいものだった」

 こう語るのはプロジェクトチームで、TOMOYO Linuxの開発者であり、TOMOYOの名付け親でもあるNTTデータ先端技術株式会社 インテグレーション事業部の半田哲夫氏だ。

さらに危機はやってきた~LSM削除発言の脅威~

 そのさなかにLKML上で起きたのが、SELinux陣営からの「LSM削除提案」だ。「セキュアOSとして十分な機能を網羅するSELinuxがあれば他は必要ないので、使いづらいLSMをなくしてしまう方がいい」というのが彼らの論理だった。

 LSMは、さまざまなセキュアOSが標準カーネルに共存できるように設けられた仕組みだ。これが削除されては、SELinux以外のモジュールは、もはや永久にメインラインに入ることができなくなる。そうなれば、SMACKだけでなくTOMOYO Linuxのメインライン化への夢も水の泡となってしまう。

 このSELinux至上主義ともいえる議論は、ますます強硬さを強めていった。誰もがLSMはなくなるものと覚悟し、もうSELinux以外が採用されることはなく、TOMOYO Linuxの提案もこれまでかと思われた。

 そのときだった――

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