Ubuntuのクラウドへの取り組みをマイクロソフトが警戒すべき理由
クラウドコンピューティングの将来を予測しようとした場合、確実に言えることが1つある。それは、デベロッパーによって展開と消費という双方のアプローチが促進されるだろうということである。ソフトウェア分野における他のさまざまな変革でも同じことが言えるが、ベンダーの市場に対する思いとは関係なく、デベロッパーが牽引役を果たしていくことになるのである。
Amazon.comとGoogleを除き(いずれもIT技術そのものを商品にしている企業ではない)、大手ベンダーにおいては、これまでのところ記事にするような動きがあまり見られない。IBMやSun Microsystems、Dell、Hewlett-Packard(HP)、Microsoftはそれぞれ参入を表明しているものの、Microsoftのみが試用可能なシステムを提供している状況である。他社はそれすらできていないため、展開まではほど遠いと言えるだろう。
Microsoftは以前であれば、後発であっても市場を制することができていた。しかし、現在ではさまざまな新興市場において競合を余儀なくされているため、そういったことが困難になってきている。Microsoftは大規模なデベロッパーコミュニティを有しているものの、同社の取り組みは極めて錯綜したものとなっており(関連英文記事)、時には無意味なものとなっていることすらある。そして、Microsoftはクラウドコンピューティング市場を制するために、こういったデベロッパーコミュニティを有しているというメリットを活かす必要があるのだ(関連英文記事)。
一方、膨大な数のデベロッパーとユーザーがいるUbuntuは、クラウドをまったく異なる方向へと向かわせるうえで十分とも言える市場支配力を有している。
CNETのブロガーであるJames Urquhart氏が指摘しているように、Ubuntuは今や「クラウドコンピューティング」の持つ可能性を内包しているのである(関連英文記事)。
- Ubuntuサーバによって、100%オープンソースのソフトウェアを通じたクラウドコンピューティングの普及が促進されることになるだろう。
- クラウドを管理したい人々向けに、Amazon APIを活用するためのツールがUbuntuに追加される予定となっている。
- Canonicalは、Karmic Koalaの標準Amazon Machine Images(AMI)を提供する、つまりAmazonコミュニティの「標準ビルド」として機能する「すぐに使える」アプライアンスを提供する予定になっている。
- 米カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校で生まれたEucalyptusプロジェクトの成果も、まもなくすべてのインストールパッケージに含まれるようになるだろう。
最近、筆者はCanonicalの最高経営責任者(CEO)であるMark Shuttleworth氏と話をする機会があったが、同氏はクラウドのプロバイダーになる気はないと述べていた。彼の見解によると、誰もがクラウドの形態やサイズ、ベンダー(Eucalyptusによる内部的なコンピューティングクラウドを含む)を選択するための力を手にするべきであり、そのためのツールをUbuntuに統合することで、彼らの第一歩を手助けできることになるのだという。
Amazonがクラウドの展開におけるデフォルトの標準となったように、Ubuntuのアプローチもあっという間にデベロッパーにとってのデファクトスタンダードとなる可能性がある。ベンダーはおそらく、オープンなアプローチを好むだろう--IBMやDell、Sunは、おそらくこういった流れに乗るだろうが、Microsoftや、SAPのような極めて保守的な企業も同様だとは考え難い。とは言うものの、この流れに乗らない場合にはもちろん、あっという間に取り残されてしまうおそれもあるのだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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