不景気を生き抜く無料Linuxディストリビューション Part2
「不景気を生き抜く無料Linuxディストリビューション Part1」では、エンドユーザー向けの無料Linuxディストリビューションを4つ紹介した。これらは、長引く不況の中で幅広いサポートと豊富な機能をエンドユーザーに提供するとともに、経済的な嵐を乗り切るうえでの「安全性」や「安定性」という特徴を備えているという観点に立って選択したものである。安全性や安定性の高さというものは、人気が低かったりサポートが十分ではなかったりするディストリビューションの多くを滅亡に追いやる自然淘汰に抗う能力が比較的高いということを意味している。本記事では、不景気を生き抜く無料LinuxディストリビューションのPart2として、同様の特徴を有する、エンタープライズ向けの無償オープンソースOSを採り上げている。Part1とは異なり、本記事で採り上げているOSの中にはLinuxベースではないもの(いくつかはUNIXシステムである)も含まれている。
CentOSおよびScientific Linux
公式サイト:http://www.centos.org
詳細情報:http://ja.wikipedia.org/wiki/CentOS
公式サイト:https://www.scientificlinux.org/
詳細情報:http://ja.wikipedia.org/wiki/Scientific_Linux
Red Hat Enterprise Linux(RHEL)のサポートライセンスを購入できないものの、Red Hatベースの環境で業界標準となっているサポートが必要だって?そうであればRed Hatの開発者が支援しているLinuxプラットフォームであるFedoraを採用することができる。ただしそのリリースサイクルは6カ月であり、各リリースのサポート期間は1年しかない。このため、安定稼働が必須であり、メンテナンスサイクルの見通しの良さが必要となるミッションクリティカルなエンタープライズ向けのLinuxシステムとして選択することは難しいだろう。そこで、代わりにCentOSやScientific Linuxを検討するのがよいだろう。これらはいずれも公開されているRHELのソースコードに基づいた、RHELとほぼ同等のクローンとなっている。これらのOSでは、RHELのカーネル開発に用いられたものとまったく同じエンタープライズ向けの回帰テストが実施されており、RHEL上で動作することが保証されているサードパーティーのソフトウェアやRHEL環境上での使用を想定したサードバーティーのパッケージを、サポート費用を支払うことなく実行することができる。CentOSとScientific Linuxに対するパッチやアップデートは、Red Hat Networkに加入する必要のあるRHELとは異なり、完全に無償となっている--ただし、これらはRed Hat自体のパッチから少し(バグ修正や脆弱性の深刻度によるものの通常は1週間程度)遅れてリリースされる。
これら2つの違いはなんだろうか?CentOS(これはCommunity Enterprise Operating Systemの頭字語である)は、独立系の開発者で構成された小規模チームによってアセンブル、コンパイルされており、個別の寄付によってサポートされている。一方、Scientific Linuxはフェルミ国立加速器研究所(Fermilab)と欧州原子核研究機構(CERN)--いずれも高エネルギー物理学の研究を行う科学機関として有名であり、前者はテバトロン(陽子反陽子衝突加速器)を保有する米国の機関であり、後者は(悪)名を馳せているLHC(大型ハドロン衝突型加速器)を保有する欧州の機関である--によって公式にサポートされている。Scientific Linuxは、クラスタリング機能や、グラフィックス/視覚化ワークステーション(このソフトウェアはLHCのさまざまな実験を監視するために用いられている)として使用できるような機能をサポートするために、ベースとなるRHELディストリビューションにないパッケージを含んでいるとともに、ある種の基本パッケージに対してちょっとした「微調整」が加えられているという点でCentOSとは少し異なっている。
Red Hatが将来に渡ってソースコードをリリースしていく可能性の高さを考えれば、こういったディストリビューションはいずれも不景気に強いものとなる。なお、大規模な科学機関がサポートしているという点において、Scientific Linuxに若干の利があるということが言えるだろう。
サポートは手厚くない:CentOSの場合、RHELのパッチおよびサポートのサイクル(4年間の「メンテナンス更新期間」)に則ったサポートを目指している。これには新たなデバイスドライバのサポート、セキュリティ脆弱性の修正、機能の改善とバグ対応が含まれている。Scientific Linuxの場合、同様のサポートサイクルを各バージョンのリリース後3年とすることが表明されている。
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