MBAかぶれをブッ飛ばせ!:エリック松永の次世代エンジニア道場

エリック松永
2009-03-11 17:32:01
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 本連載「エリック松永の次世代エンジニア道場」では、『クラウドコンピューティングの幻想』(技術評論社)を上梓する経営コンサルタント、エリック松永氏がクラウド時代のエンジニア像を語ります。

 MBA本を読んで知った顔して前に出てくるスノッブにはならないように、けれどMBAとマーケティングの知識はしっかり押さえて経営の観点から技術を考えてみたい、そして、真に価値のあるエンジニアになりたい――そんなあなたのための連載です。(編集部)

スノッブがIT業界をダメにしている

 IT業界はクラウドコンピューティングの話題で真っ盛りだ。けど、メディアやブログは上っ面の話ばかりでうんざりしちゃいませんか?

 多くのITベンダー関係者やブロガーがメディア上で展開する表面的な議論――NGN、ICT、SOA、SaaS、PaaS、RaaS、DaaS、CaaS――に何の意味があるのでしょうか?意味不明なバズワードに意義の感じられない議論、私はこうした現象に大きな疑問を感じてきました。

 私はそういった無責任な評論家達をスノッブ(snob)と呼んでいるのですが、クラウドコンピューティングをめぐる言論空間には、彼らのよく通るだけの大きな声が反響しています。そのため、クラウドコンピューティングの意義を知りたい人、必要としている人はスノッブの声に翻弄されており、結局本当の意味を理解できていないのが現状だと考えています。

スノッブとは誰か?

 さて、スノッブとは誰を指すのでしょうか。私の見解は次のような人です。

 経営や戦略の人間でもなく、ものづくりの中枢にいる人でもない。私のようなビジネスコンサルタントでもなく、皆さんのようにIT業界を支えるエンジニアでもない。そんな微妙なポジションで、表面的でMBA的なるものにかぶれた連中が、スノッブです。

 彼らに共通するポイントは次の3つ。すなわち、「現場を知らない」「顧客を知らない」「当事者意識がない」です。

ビジネスコンサルタントもエンジニアも気持ちは同じ

 私の仕事はビジネスコンサルタントです。事業戦略から始まり、業務改革や人事改革、果てはIT戦略まで、「経営」という視点から企業が元気になるお手伝いをしています。

 私はクライアントに価値を提供します。私たちコンサルタントが生み出す価値は、クライアントの発展だと考えています。フィーさえ貰えればいいとは、決して思っていません。

 したがって、ITひとつを取ってみても、クライアントの経営に対してITがどのように価値をだしていけるのかという視点でみますし、ITは議論すべき対象のひとつにすぎません。だから、ITだけに固執する気もありません。そういう意味では、皆さんとITを見る視点が異なります。しかし、クライアントと現場で直に接している技術者の皆さんも、クライアントに価値を提供し、クライアントの発展に貢献したという気持ちは同じはずです。

 現在の厳しい経営環境の中で、企業はいよいよITと真剣に向き合わなければならない時代がきています。経営者が「自分はITに弱いから」などといっている時代ではありません。

 また、米金融市場の崩壊はIT業界と無縁ではありません。米国の金融市場は、投資銀行などが作り上げた実体の無いバブル市場の上に成り立っていました。利益、株価という数字のゲームに没頭する世界。今回の金融危機をざっと見渡しても、数字のゲームとしか思えません。

 住宅価格の高騰を背景に、支払い能力の低い層にお金を貸しまくったサブプライムローンが、世界金融危機の発端となりました。その後、債務者が支払いを延滞するようになり、住宅金融会社が経営破たんしました。この破たんに伴って證券化されたサブプライムローンの信用リスクが広がり、大手投資銀行が破綻。加えて、信用リスクのみを移転するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)という不思議な金融派生商品がキズを広げました。大手投資銀行の破綻によってCDSを引き受ける金融機関が膨大な損失を被ったのです。金融機関は流動性の高い株、債権を売却し、株価とドルの下落を引き起こしました。株価の下落は企業を直撃しただけでなく、ドル安が海外売り上げ比率の高い企業を直撃します。こうして企業は人員を削減し、一部事業の撤退や見直しを迫られる――

 お金のない人にお金を貸して回収できない、信用を商売にしていながら実際に信用を担保できない金融商品を取引する――数字に遊ばれているとしか思えない状況から金融危機が始まっていることに、皆さんは既にお気づきでしょう。

  • 新着記事
  • 特集
  • ブログ
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]