1つのソースでEPUBとPDFを生成できる「ReVIEW」を試す

海上忍
2011-08-04 13:10:00
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 しばらくお休みしていた本連載ですが、いよいよ第1回で目標に掲げていた「電子書籍」の刊行に向けて動き出します。今回は、その序章ともいえる電子書籍生成ツール「ReVIEW」を紹介します。

1つのソースからEPUBとPDFを生成するツール

 雑誌ではなく活字主体の「書籍」としてEPUB電子ブックを作成しようと考えたとき、アプローチは大きく2つあると考えています。1つは、WYSIWYGな編集機能を持つオーサリングツールを使う方法。ソースであるテキストファイルと図版を、実際のレイアウトで確認しながら組版作業を進めるというものです。本連載でも、これまで「Sigil」などのツールを紹介してきましたが、InDesignやPagesのEPUBエキスポート機能も、このカテゴリに分類されると思います。

 もう1つが、WYSIWYGな編集機能を持たないコンバータです。PDFやHTMLなど整形済みの文書を変換するため、目で確認しながらの作業は苦手ですが、ボリュームあるコンテンツを迅速に処理することに長けています。

 そのコンバータとして注目したいのが、今回取り上げる「ReVIEW」です。プレインテキストに記述された独自タグをパーシングしてTeXとHTML文書を生成、そこへスタイルファイルを加味してTeXはPDFに、HTMLはEPUBに、という処理を高速に行います。TeXからPDFの処理には、pLaTeX2eなど日本語TeX文書を扱える処理系が必要ですが、同じソースからEPUBとPDFを生成できる点が特徴的です。しかもReVIEWはオープンソース、無料で利用できます。

ReVIEWを導入する

 ReVIEWはRubyで記述されているので、利用にはRubyの処理系が必要です。前述したとおり、PDFを生成する場合は、さらに日本語TeX環境(ASCII pTeX)が必要になります。

  • OS X Lionではコマンドライン1行でインストール完了です。ただし、TeX環境は別途入手しておく必要があります

 この条件を満たしやすい環境が、ほかでもないOS Xです。最新のOS X Lionには、Ruby 1.8.7が標準装備されているうえ、有志により作成された日本語TeX環境(小川弘和さん作成の「Drag & Drop UpTeX」がお勧めです)も、かんたんに導入できます。

 ReVIEWはGitHubをベースに開発が進められていますが、Ruby処理系を標準装備しているOS Xの場合、以下のコマンドをTerminalから実行するだけで導入できます。本稿執筆時点では、最新バージョンのReVIEW 0.9.0が/Library/Ruby/Gems/1.8/gems/review-0.9.0ディレクトリにインストールされます。

$ sudo gem install review

ReVIEWを試す

 「plain2」というユーティリティをご存知でしょうか? プレインテキストに特定のタグを加えることにより、LaTeXタグを直接編集することなくLaTeX文書を生成できる、プレインテキスト・LaTeXコンバータです。LaTeXのtabular環境で作表するのは面倒なものですが、plain2ならば「=」や「|」、「+」の記号で書いた内容が表に変換されるので、筆者も大いに利用していた時期があります。

 ReVIEWは、このplain2とよく似た簡易フォーマットのテキストファイルをソースとします。たとえば、「=」のあとに1文字空白をあけると見出しとして、見出しの先頭に「[column]」と記述しておくとコラムとして処理されます。「1.」や「2.」のように数字から始まる行は箇条書き(連番)となり、「*」から始まる行は番号のない箇条書きとなります。

 ほかにも約束事はいくつかありますが、ここではReVIEW開発者の高橋征義さんから提供を受けたサンプルを例に、作業手順を解説してみましょう。

 サンプルのZIPアーカイブを展開すると現れる「src」フォルダの中には、拡張子「.re」のソースファイル(プレインテキスト)と、「CHAPS」や「config.yml」などいくつかの定義ファイルが置かれています。ほかにもEPUBに同梱されるCSSファイル、LaTeXでタイプセットするときに参照されるスタイルファイルが収録されています。

 EPUBを生成する手順ですが、なんと以下のコマンドライン1行を実行するだけで完了です。PDFについても同様に、「review-pdfmaker config.yml」を実行するだけです。PDFの場合(dvixpdfmコマンド用の)フォント設定が別途必要になりますが、それでも同じソースからEPUBとPDFを生成できます。

$ review-epubmaker config.yml
  • サンプルから生成したEPUBファイルを、OS X用EPUBビューア「Murasaki」で表示してみました

  • 同じソースからPDFも生成できます。ただし、日本語TeX環境の設定が必要です

 このReVIEW、開発者の高橋さんが運営する「達人出版会」で実際に活用されているだけあり、かなりの完成度です。というわけで(?)、直接高橋さんにReVIEWおよび達人出版会に関するお話を伺うことになりました。次回にご期待ください。

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