「Adobe Digital Publishing Suite」を試す(1)

海上忍
2011-01-13 07:00:00
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Adobe Digital Publishing Suiteのインパクト

 「Adobe Digital Publishing Suite(DPS)」は、「Adobe InDesign CS5(InDesign CS5)」などを含むオーサリングソフトのスイート製品「Adobe Creative Suite 5(CS5)」と連携してコンテンツを制作する、一種の電子ブックソリューションです。先日、WIRED誌の担当者に取材したときに聞いた、紙版とデジタル版のワークフローはまったく同じで、編集部内に専任者を置く必要もない……という話は、かなりインパクトがありました(CNET Japanのインタビュー記事はこちら:前編後編)。

 雑誌の分野において、InDesign CS5で組んだ誌面をそのままデジタル出力できるということは、制作コストや進行管理の面で訴求力があると思われます。それを実践し、すでに商業的な成功を収めているとあれば、大いに説得力が加わるというものでしょう。

 翻ってEPUBは、オリジナルのCSSを書き起こすなど、スクラッチに近い状態から制作しているのが実情です(「EPUBの雑誌」制作の現場を訪ねて--「Jazz Japan」のEPUB制作担当者に聞く)。順調に進めば年内にも勧告される見込みのEPUB 3.0はともかく、現在のEPUB 2.0.1においては「EPUBはテキスト指向で雑誌とは別」という認識が世にあることは確かだろうと思います。

DPSを試す(準備編)

 DPSは、現在のところベータ版として試験公開されています。Adobe Labsから無償で入手できますが、ダウンロードはアカウント(Adobe ID)でログインしてから行います。対象プラットフォームはWindowsとMac OS X、動作にはInDesign CS5とAIR 2.x以降が必要です。

 Adobe Labsからダウンロードするファイルは、InDesign CS5用の「Digital Publishingプラグイン」と、AIRベースのアプリケーション「Digital Content Bundler」の2つが最低限必要です。DPSで出力するファイル形式(.issue)にインタラクティブ性を持たせるユーティリティ「Interactive Overlay Creator」も用意されているので、あわせてダウンロードしておきます。

 セットアップは単純そのもの、ダウンロードしたDigital Publishingプラグイン(拡張子「.zxp」)をダブルクリックすると起動する「Adobe Extension Manager CS5」で導入処理を行い、Digital Content Bundlerを適当なフォルダへインストールすれば完了です。

 ビューアの準備も必要です。App StoreからiPad専用アプリ「Adobe Content Viewer」をダウンロードしておきましょう。DPSで作成したファイル(.issue)は、iTunes経由でこのアプリへ転送します。

  • プラグイン(.zxp)をダブルクリックすると、Adobe Extension Manager CS5が起動してインストール処理が開始される

  • AIRベースのアプリケーション「Adobe Digital Content Bundler」もインストールする

  • 「.issue」の閲覧には、iPad専用アプリ「Adobe Content Viewer」を利用する

出力した「.issue」をiPadで閲覧する

 DPSのファイルフォーマット「.issue」(正式リリース時までに「.folio」へ変更予定)は、InDesign CS5でページレイアウトなどの作業を完了したあと、あわせてダウンロードしたDigital Content Bundlerを利用して生成します。現在のところ、InDesign CS5に「.issue」へエクスポートするメニューは見当たらず、両ツールは独立して存在します。

 テストには、同じAdobe Labsで公開されているサンプル集「digitalpublishing_tutorialassets.zip」を利用しました。このアーカイブには、InDesign CS5の文書ファイル(.indd)や各種画像ファイルなど一式を収めたフォルダ(スタック)が用意され、Digital Content Bundlerでこれを指定すると、自動的にInDesign CS5が起動し「.indd」や画像ファイルが読み込まれ、画像サイズなど条件を設定したうえで「.issue」として出力される、という流れです。今回は、とりあえずデフォルトのまま出力しました。

 生成された「.issue」は、iTunesのファイル共有機能(個別のアプリにファイル転送する機能)を利用し、iPad専用アプリAdobe Content Viewerへ転送します。アプリを起動すると、転送した「.issue」はただちに認識され、iPadならではの操作性で閲覧することができました。

  • Digital Content Bundlerでスタックを読み込み、「.issue」として出力する

  • 「.issue」をiPad専用アプリ「Adobe Content Viewer」に転送したところ。「.folio」として認識されている

  • 「.issue」を縦方向に表示したところ。水平方向に持ち替えると、水平モード用の画面に切り替わる

 次回は、日本語処理やフォントの扱い、「.issue」ファイルの構造などについて解説する予定です。

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