
「EPUBの雑誌」制作の現場を訪ねて--「Jazz Japan」のEPUB制作担当者に聞く
先日、「EPUBの雑誌」に取り組むブレインハーツとシーエムパンチを取材し、必ずしもEPUBイコール文章主体の読み物ではない、ということを実感しました。
そのとき気になった点について、EPUB版「Jazz Japan」の制作を担当したシーエムパンチ Webアプリケーション担当の永野拓氏に話を聞いてきました。
--EPUB制作に利用しているツールを教えてください。
永野:EPUBの中身は基本的にHTML/XHTMLですから、ウェブの制作に利用している環境とほぼ同じです。Adobe Dreamweaverとか。あと、EPUBオーサリングツールとして「Sigil」 、ほかにはテキストエディタを組み合わせつつ作業しています。
--世間一般で知られていないツールは、Sigilくらいなものでしょうか?
永野:そうですね。逆にいえば、Sigilくらいしか選択肢がないのが現状ともいえます。
--私が話を聞いたかぎりでも、Sigilユーザーは多いですね。それから、紙媒体の経験者ですと、InDesignなどDTPソフトからの書き出しを望む傾向があるように思いますが。
永野:確かに、InDesignはEPUB出力をサポートしていますが……EPUBは紙のレイアウトとまるで異なりますからね。InDesignからEPUBを出力して、はい完成、というわけにはいきません。出力したあとでいろいろ手を入れなければならないことを考えると、InDesignにこだわるのは正解ではないのでは? と思います。
--しかし、紙のJazz Japan誌はInDesignでレイアウトを組んでいるのですよね?
永野:はい。EPUBを制作する場合は、InDesignに流しこむプレインテキストを取り出して利用しています。
--なるほど。しかし、それは現在のEPUB版が少ないページ数だから、ということもあるのではないですか? ページ数が増えても、EPUB版をスクラッチに近い状態から制作するのですか?

永野:いまはそれ以外の方法を考えにくいですね。InDesign上で自由にCSSをデザインできる、EPUBをプレビューできてCSSをイジれる、ということになれば話は別かもしれませんが。私はこれまで紙ではなくウェブデザインで来ましたから、普段使い慣れているツールのほうが作業効率がいい、ということもあります。
--CSSについてですが、どのように取り組まれていますか? 一度しっかりデザインしておけば、ある程度使い回せると思うのですが。
永野:タイトルごとに細かく手を加える必要があります。「ほかのタイトルに流用できるか?」といえば、文字のサイズなどベーシックな部分については可能です……ウェブと比較すると、EPUBにおけるCSSはだいぶシンプルですからね。画面が小さいですし、iPad上のiBooksのように水平に持つと見開き表示になるデバイスもあるので、複雑なレイアウトを組むのには限界があり、シンプルにならざるをえない部分もあります。そう、その点ではウェブに比べると使い回し易いかもしれませんね。
--EPUB版Jazz Japan向けのCSSデザインという意味ではいかがでしょう。やはり、iPad/iPhoneに特化したものになっているのでしょうか?
永野:それほど特化しているということはありません。ただし、EPUBにビデオやオーディオを内包できるのは、現状iBooksだけですから、そこは専用デザインということになります。逆にいえば、その専用部分を取り除けばほかのEPUBリーダーで難なく読める、というデザインを心がけています。
--PC向けのEPUBリーダーについては考慮していますか?
永野:EPUBリーダーにより再現性はまちまちです。たとえば、Stanzaなどは……レイアウトが崩れるどころか写真さえ表示されないことがあります。リーダー側の実装にかかっていますから、我々の努力ではどうにもならない部分ですね。Android向けのEPUBリーダーが本格的に開発され始めれば、iBooksレベルのリーダーが出てくるとは思うのですが。現状では、iBooksの実装がもっとも指標にしやすいと思います。次いでAdobe Digital Editions、といったところでしょうか。
--ところで、EPUB版Jazz Japanの制作でもっとも苦労したことは?
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