
「もしドラ」と「適当日記」が大ヒット、DReaderを推進するダイヤモンド社に話を聞く(後編)
今泉:DReaderは、青空文庫ビューア「SkyBook」をもとに開発を始めましたから、タグなどフォーマットについても青空文庫の形式(XML/XHTML)をベースとしています。今後グローバルスタンダードとされるフォーマットが登場しても、変換などの作業は比較的容易だろうと考えています。

--そういえば、DReaderベースのアプリは、iPhone/iPad対応のユニバーサルアプリとして公開されていますよね。それに関連してご苦労はありませんでしたか?
常盤:iPadが登場したときは、悩まされました。iPhone 3G/3GSとは画面サイズが違いますから、図版の大きさも変わってきますし、水平に持ったときの見開きも考えなければなりませんので。3G回線でもダウンロードできる20Mバイトというファイルサイズに収めたいこともあり、あらゆる手段を使って「軽く」なるようにしています。と、言えば簡単なのですが、図版を全部いちから作り直しとなると……その後のiPhone 4では解像度が変わりましたから、ボタン類まで作り直しですよ!本当に参りました(笑)。とはいえ、一度iPhone 4のRetinaディスプレイに見慣れてしまうと、拡大処理でぼんやりした画面は受け入れがたくなるものですからね。
--そのように手塩にかけて開発したDReaderを、他社に供与するという意図はどこにあるのでしょう?
常盤:DReaderが進化していく過程で、社内に留めておくのではなく、広く世間で使ってほしいという気持ちが出てきました。「気前がいいなあ」と社内で言われることもありますが、弊社はソフトベンダーではなくコンテンツ会社です。ビューアではなく、あくまでそこに載せるコンテンツで勝負したいのです。なにより、DReaderは高山さんとの共同作品で、高山さんの著作物でもありますから。
市場がこのような状況ですから、ビューアの機能がクローズアップされがちですが、あと1〜2年もすればビューアでの競争は落ち着くはずです。コンテンツがおもしろいから注目される、という本来あるべき評価のされ方に変わっていくのではないでしょうか。
今泉:とにかく、ビューアが「普通の存在」になってほしいのです。ビューアのために、電子書籍はこんなものか、と読者に思われてはなりませんし、電子書籍の進化のスピードを遅らせてもいけません。紙と同じレベルのストレスがない環境を提供したいですし、一方ではデジタルだからこそできることもあるはずですから。これまではその水準のビューアがなかったわけで、いまはできつつある、と。DReaderは広く使っていただきたいですよね、そうでなければ「コンテンツの戦い」に進めませんので。そこが主戦場ですからね。
--ということは、敵に塩を送ることもいとわないわけですね。では、もしもですが、週刊ダイヤモンドの好敵手とされる週刊東洋経済の版元、東洋経済新報社さんが申し込んだとしたら?
今泉:たとえライバル企業であろうと、こちらから理由なしに断ることは100%ありません。ちなみに、ライバルのように言われがちな同社ですが、弊社とは仲がいいんですよ。
常盤:もちろん大歓迎です。ご連絡をお待ちしております(笑)。

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