中国発の電子書籍フォーマット「JEBX」は黒船になるか?

海上忍
2010-08-02 13:21:05
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河田:DIAAには競合する企業も加盟していますが、方正がリーダー的な役割で動いていますから、決着がついているとも言えます。電子書籍デバイス最大手の漢王(Hanwang)も参加しています。

 CEBXのビューアソフトは方正グループ内で開発しており、プラットフォームとしては方正Apabiの電子図書館と、方正飛閲の電子書籍デバイスを提供していますが、方正飛閲のほうは完全に漢王と競合関係にあります。漢王は電子書籍のタイトルを3万ほどしか持っていませんが、方正飛閲のデバイスは、方正Apabiが持つ55万タイトルもの電子書籍を読むことができます。

 しかし、方正は漢王に対し、年内にもCEBXリーダーの技術供与を開始します。漢王のデバイスで、方正Apabiの電子書籍を読むことが可能になるわけです。敵に塩を贈るようではありますが、CEBXでフォーマットを統一しよう、という動きの中で判断していますので。

海上:iPadなど、ほかの電子書籍デバイスへの対応はいかがでしょう?

河田:すでにiOSに対応していますし、Androidも研究所レベルで対応済です。Symbianを含め、ほとんどのスマートフォンには「対応中」です。方正グループではデバイスも手がけていますが、他社製品についてもまったくこだわりなく、幅広く展開していこうという戦略です。iOS向けアプリは、App Storeでの提供は始めていませんが、東京国際ブックフェアなどの場ではすでに公開しています。今年中には、無償公開されると思います。現在はWindows版のみのApabi Readerも、必要となれば他のOS向けに提供します。

海上:ところで、日本向けフォーマットのJEBXですが、こちらのリリース時期と特徴を教えてください。

河田:年内にはリリースできると思います。JEBXは、CEBXの縦書き対応版というよりは、CEBXを日本語組版に対応させた拡張版という位置付けです。縦書きだけでなく、開きの方向やルビ、行頭および行末の禁則処理などを日本語環境に対応させています。レイアウト式とリフロー式の両方に対応した日本語向け電子書籍フォーマットは、ほかにないはずです。

 端末の画面サイズに応じて自動的にレイアウトを変更する「スマートレイアウト」への対応もポイントです。こちらはフォーマットではなく、ビューアに実装された機能ですが、いわば「リッチなリフロー表示」を実現できます。これまでのCEBXベースのビューアでは、数式と図表がリフローに追随する程度だったものが、字詰め指定や段数変更が可能になるなど、一歩も二歩も進化しています。

 たとえば、雑誌を電子書籍化しようとすると、スクリーンサイズに応じて表現を変えねばならないという場面もありますが、これを制作レベルで対応するのはコスト面から困難です。そこにCEBX/JEBXの版式や流式といった特徴をうまく生かせば、雑誌としての表現力を大きく損なうことなく電子書籍化できるでしょう。日本の電子書籍フォーマットが1つに集約されるとは考えていませんから、我々が入る余地はあると思います。

 次回は、中国の電子書籍市場と検閲の実態についてお届けする予定です。どうぞご期待ください。

  • JEBX対応ビューアに実装される「スマートレイアウト」は、縦書きや多段組みに対応する

  • スマートレイアウトでは、縦書きや多段組みで字詰めの指定も可能

  • 段数の変更にも対応するなど、リフロー形式でありながらも表現力が高い

  • 写真に半透明の記事を被せることも可能

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