
中国の電子書籍フォーマット「CEBX」を方正に聞く
北大方正集団公司(方正)という企業をご存知でしょうか? 北京大学100%出資の大学発ベンチャー(校弁企業)として1986年に設立され、新聞社向け電子出版システムでは中国国内トップシェアを誇ります。ここ日本にも1990年代に進出、新聞や情報誌をターゲットとした組版ソフトでは多くの実績を持ちます。
その後順調に業績を拡大させた方正は、いまや20以上の関連企業と約3万人の従業員を擁す一大企業グループに成長しています。2008年度の売上高が円換算で約6300億円と聞けば、中国国内での知名度と影響力についても想像がつくことでしょう。
その方正が、同社発の電子書籍フォーマット「CEBX」を日本向けにアレンジした「JEBX」を計画しています。ともすれば欧米発の規格にばかり目が向いてしまう我々日本人ですが、巨大な市場を背景に次世代DVDや第3世代携帯電話など独自規格の制定を進める隣国の動向も知るべき……ということで、東京は大井町にあります方正に足を運び、管理本部長執行役員の羽入友則さんと、第三事業部デジタルサービスビジネスユニット エグゼクティブマネージャーの河田京三さんに、中国電子書籍市場の動向と方正発の電子書籍フォーマットについて質問してきました。

海上:方正グループが電子書籍に進出した経緯を教えてください。
羽入:コンピュータで中国語を入力して編集し、紙に出す、というプロセスを新聞向けに製品化することが方正の初期における事業分野です。そこからDTPソフトウェアの開発、パソコンなどハードウェアにも進出し、最近では金融や医療、不動産などの事業も展開しています。とはいえ、グループ全体の直近における売上高約7000億円のうち現在もIT関連が約6割を占めています。
海上:大学が直接出資して経営に携わる「校弁企業」の先駆けということですが、北京大学の出資比率は現在も変わりませんか?

羽入:未公開企業ということもあり、正確な出資比率をすぐには確認できませんが……現在も北京大学が7割程度保有していると聞いています。残りの3割ですが、多角化の過程でM&Aを繰り返していますから、買収先に株式交換で提供した結果かと。株式を公開している子会社はいくつかありますが、親会社はそのような状況です。
海上:現在、日本法人はどのような企業活動を展開していますか?
羽入:14年前の設立以来、出版社や新聞社向けの組版/DTPシステムをメインに展開しています。チケット販売システムや小売業の基幹業務システムを構築する、といったSI的な業務も行っていますが、根本にあるのはやはり新聞/出版向けのシステムで、現在の売上の多くがここに依存しています。
海上:となると、先日の東京国際ブックフェアでデモンストレーションされていた「JEBX」は、現在の売上構成と関係が薄そうですが。その前に、JEBXのベースとなる電子書籍フォーマット「CEBX」について教えてください。
河田:北京大学発の校弁企業ということもあり、方正は日本の研究所に相当する「研究院」を持っています。そこでは、DTPや組版に関する研究の一環として、電子書籍フォーマット「CEB」を2000年に制定しました。同じ年に電子書籍専門の会社として北京方正Apabi技術有限公司(方正Apabi)を設立しまして、新聞社や出版社などから電子書籍データを預かり販売するBtoCのビジネスを展開しようとしたのですよ。
しかし、当時BtoCには市場がないとわかりまして。2001年にはBtoB、具体的には図書館向けに電子書籍を販売するというビジネスモデルに切り替えたのです。その電子書籍に採用されていたのは、CEBフォーマットです。
やがてCEBを拡張しようという話が出まして、2006年から研究が始まりました。それが、2009年に第1版がリリースされた「CEBX」です。2010年1月にリリースされたのが、その改訂版にあたる「CEBX 1.1」です。
海上:CEBXフォーマットの特徴を教えてください。
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