電子書籍の中間フォーマットは日本のガラパゴス化を進めるか?

海上忍
2010-07-15 15:09:04
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中間フォーマットは「スタイルシート」になる?

 そのように議論が進む「中間フォーマット」ですが、具体的な有り様は見えてきません。ソースはプレインテキストにタグを加えたXMLだとして、EPUBなど複数あると考えられる最終フォーマットに至るあいだに、どの段階でオーサリング作業を行うことになるのかは不明です。

 ワンコンテンツ・ワンファイルを実現するためのフローも未定ですが、個人的には「DocBook」に近い形態になるのでは、とイメージしています。

 DocBookは、構造化情報標準促進協会(OASIS)が管理するマークアップ言語の一種で、XMLをベースとしています。さまざまな技術文書や、GnomeやKDEなどオープンソースソフトウェアの文書フォーマットに多数の利用実績を持ち、WYSIWYGなエディタも開発されています。

 DocBookでは、すでにワンコンテンツ・ワンファイルが実現されています。出力フォーマットに応じたスタイルシート(XSLTスタイルシート)を用意し、それに従いXMLデータの構造変換を行うプログラム(XSLTプロセッサ)で処理を行えば、1つのコンテンツからHTMLやJavaHelp、EPUBなどさまざまなドキュメントを生成できます。

 実際、WYSIWYGなDocBookエディタ「XMLmind」を利用して適当な文書を作成し、The DocBook Projectが配布するEPUB用のXSLTスタイルシートを入手、それをMac OS Xに標準装備のXSLTプロセッサ「xsltproc」コマンドで処理したところ、EPUBを構成するデータを得ることができました(手作業でZIPアーカイブしましたが)。

XMLデータの構造変換をXSLTで実行することにより、DocBook文書をEPUBに変換するなどの処理が可能になる※クリックで拡大画像を表示 XMLデータの構造変換をXSLTで実行することにより、DocBook文書をEPUBに変換するなどの処理が可能になる※クリックで拡大画像を表示

 三省デジ懇がいうところの中間フォーマットが標準化されたとして、どのような形に実装されるかは未定です。しかし、XMDFとドットブックの統一などXMLの利用を前提に話が進められていることから、上述のXSLTスタイルシート的なものに収れんされていくのでは、と筆者は考えています。もっとも、利用に関してなんらかの“縛り”や“利点”がないかぎり、中間フォーマットを省略して最終フォーマットをつくり始める出版社が続出するのでは、という懸念も拭えませんが。

WYSIWYGなDocBookエディタ「XMLmind」でDocBook文書を作成し、それをEPUB用XSLTスタイルシートを使いXSLTプロセッサで処理すれば、EPUB用のデータを得ることができる※クリックで拡大画像を表示 WYSIWYGなDocBookエディタ「XMLmind」でDocBook文書を作成し、それをEPUB用XSLTスタイルシートを使いXSLTプロセッサで処理すれば、EPUB用のデータを得ることができる※クリックで拡大画像を表示
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