電子書籍の中間フォーマットは日本のガラパゴス化を進めるか?

海上忍
2010-07-15 15:09:04
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「三省デジ懇」の報告書

 先月末、総務省と経済産業省、文部科学省を中心に構成される「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」、通称「三省デジ懇」の報告書が公開されました。4月から2つのワーキングチームが会合を重ねていましたが、具体的な課題を挙げた統一見解としてリリースされるのは初となります。

 活動状況と配布資料は、総務省のウェブサイトにアップロードされたPDFをご覧いただくとして、本連載で注目すべきは「中間フォーマット」です。国内で豊富な実績を持つ2つのフォーマット、「XMDF」(シャープ)と「.book」(ボイジャー)が協調することで、出版物のつくり手からの要望にも対応しうる中間(交換)フォーマットの統一規格を策定する、というものです。

 その中間フォーマット、XMDFとドットブックをベースにすると聞くと、つい日本独自の“ガラパゴス規格”を想像してしまいますが、技術に関するワーキングチームの資料を読み進めると、うなずける発言や問題提起も見つかります。ここでは、目立ったものをいくつかピックアップしてみましょう。

1. ワンコンテンツ・ワンファイル

 技術に関するワーキングチーム第2回の議事要旨には、かつて日本で電子書籍が失敗したときの原因について、キャリアが独自のファイルフォーマットをつくりコンテンツの囲い込みを行い、1つの作品に対し複数のファイルを作成するような事態を招いたことだとの指摘があります。ファイル形式を標準化(オープン化)すれば、出版社はワンコンテンツ・ワンファイルで済み、必要であれば配信時にDRM処理すればいいだろうと。そのためには、XMLで変換の容易性を担保した互換性の高い中間記述フォーマットと、配信用の軽量なバイナリデータという2つのファイルモデルを検討すべき、という意見です。

2. 外字の扱い

 技術に関するワーキングチーム第5回の議事要旨には、共同外字データベースの検討が急務であるとの主張が記載されています。ただしどのようなものでも登録していいわけではなく(Unicodeの私用領域は6400字あり独自に文字を登録できます)、一定の学術的な基準に従い利用されるべきだ、という意見です。

3. 全文検索用のデータ提供

 懇談会の報告(公表資料)には、Googleブックスを引き合いに検索の重要性が主張されています。そして同様のサービスを実現するには、出版物の制作側と検索ポータル側との間において、中間フォーマットの利用を含めたデータ受け渡しフォーマットの検討も必要、と結論づけています。

中間フォーマットは「スタイルシート」になる?

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