インタラクティブな“未来のEPUB”をiPadの「iBooks」で体験する

海上忍
2010-07-05 16:59:03
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 画面の大きさに応じて文字数やレイアウトを動的に変える「リフロー」は、EPUBが持つ特徴の1つですが、小さめの端末ではせわしなくページを捲らなければなりません。補足的な文章はポップアップで対応するなどして1画面あたりの情報密度を高められないものか、と考えていたところ、絶妙なタイミングでその助けとなる情報を入手しました。早速、そのご報告とまいりましょう。

iBooksでJavaScriptが動く

 先日、IDPFでEPUBを担当しているLiza Daly委員の個人ブログに、興味深い記事が投稿されました。タイトルはストレートに「JavaScript and interactivity in iBooks」、iBooksでJavaScriptを使ったインタラクティブ性あるEPUBを作成する、という趣旨です。

 この記事のポイントですが、ひとつにはSafari 3.1以降に実装されている独自CSSプロパティ(の一部)がiBooksで動くことを実証している点が挙げられます。掲載されているスクリーンショットとJavaScriptコードを確認すると、「webkitTransform」(コンテンツを回転、縮小、拡大するプロパティ)を使い、吹き出し状のポップアップを表示するエフェクトを実現していることがわかります。

 もうひとつは、「次世代EPUBにおける安全なJavaScriptのあり方」を示唆している点です。現行のEPUB 2.0.1では、JavaScriptやCSS3を利用したインタラクティブな処理は禁止こそされていないものの、利用が推奨されていない(※注釈1)ため、制作者側は対応を見送ってきた経緯があります。次期EPUB(v2.1)では、インタラクティブな処理について明文化されたうえで大幅に緩和される予定ですが、iBooksは実装の面でその動きに先行しているのです。

※注釈1:OPS 2.0のセクション2.3.7では、「Reading Systems must not render the textual content of the script element, and should not execute the script itself. The content must be readable without execution of script elements」(リーディングシステムはscript要素のテキストコンテンツを表示してはならず、そのスクリプト自体も実行されるべきではない)と規定されています。

 ところで、Appleは(WebKit/Safariを通じて)熱心にHTML5のサポートに取り組んでいますが、その影響がiBooksにもおよぶことはあまり知られていないようです。iPhone OS 3.xおよびiOS 4には、Safari 4ベースのレンダリングエンジンが搭載されていますが、iBooksでもEPUBの表示に同じエンジンを利用しています。前述したwebkitTransformの場合、ハードウェアアクセラレーションがサポートされるという利点もあります。電子ブックリーダー市場において、iBooksが主要プレーヤーに成長する可能性が高いことを考えると、いまインタラクティブな機能を試すことには意味があるのではないでしょうか。

iPad上で動作するiBooks(v1.1)で、公開中のEPUBを開いたところ。webkit-gradientやwebkit-box-shadowなど、Safari/WebKit独自の機能を利用したポップアップを表示できる ※クリックすると拡大画像が見られます

EPUBの未来はここにある?

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