日本語EPUBの仕様策定をJEPAが主導する事情--事務局長の三瓶氏に聞く

海上忍
2010-06-04 17:49:00
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 先日、日本電子出版協会(JEPA)事務局長の三瓶徹氏と同EPUB研究会の高瀬拓史氏にお会いして、4月に公開された「EPUB日本語要求仕様案」について話を聞いてきました。標準化プロセスに関する話ですので、その背景から説明をはじめたいと思います。

日本におけるEPUBの課題

 2010年5月現在におけるEPUB(v2.0.1)の仕様は、XHTML 1.1とCSS 2がベースになっています。XHTML以外にもDTBook(DAISY向けのXML文書)がサポートされていますが、ここではひとまず置きます。

 XHTMLとCSSを基礎にするということは、EPUBがブラウザなどウェブ標準技術に基づいた規格であることを意味しますが、それは最新の状況を反映するという意味にはなりません。PC向けの動向に眼をやると、HTML 5は2010年9月(予定)、CSS 3も早ければ2011年に正式勧告される見込みなど、標準技術の世代交代が見えつつある状況ですが、EPUBは現状“一世代前の技術”を利用しています。

三瓶徹 JEPA事務局長の三瓶徹氏

 EPUBもXHTMLとCSSをベースにしている都合上、次世代規格を検討する場合にはHTML/XHTML5とCSS 3への移行が検討材料となります。実際、EPUBの規格策定にあたる国際組織「International Digital Publishing Forum」(IDPF)では、DAISYコンソーシアムとともに、HTML5の機能を反映させた「EPUB 3」の策定作業を開始しています。

 現在IDPFでは、年内をめどに「EPUB 2.1」を策定すべく活動を進めています。EPUB 2.1では日本語など欧米諸語以外への言語サポートのほか、アノテーション(注釈)や数式のサポートなど、表現力強化が図られます。なお、「2.1」というバージョン表記はEPUB 2との互換性を意識したもので、HTML5の一部機能を取り入れるなど内容的には大幅な変更が見込まれるため、そのままEPUB 3として公開される可能性もあります。

 このように、EPUBの規格を見直すときにはウェブ標準技術(HTML、CSS)と無関係ではいられません。HTMLやCSSの最新仕様がそのままEPUBに取り入れられるとはかぎりませんが、先行して規格化されれば、EPUBの規格策定時に大なり小なりの影響を与えます。

 たとえば、文章の「縦組」はCSS 2のみならずCSS 3のワーキングドラフトでも定義されていません(経緯は 8回「EPUB日本語要求仕様案を読み解く」を参照)。EPUBがXHTMLとCSSをベースとする以上、CSS 3の策定を進めるW3Cの作業部会へ働きかけることが筋で、車輪の再発明を防ぐことにもつながるはずです。

 前置きが長くなりましたが、EPUBに日本語文章向けの仕様を盛り込もうとすると、IDPFのみならずW3Cをも巻き込んだ標準化の手続きが必要になります。それを現在リードしているのが、今回取材した日本電子出版協会(JEPA)というわけです。

誰が「日本語EPUB」の標準化を?

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