システム連携の歴史を振り返る:SOAへ至る道

鈴木雄介(アークランプ)
2008-01-22 08:30:00
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 SOAという技術の基本になるメッセージパターンはすでに90年代には確立されていた。では、SOAはなぜ出現したのだろうか。筆者はインターネットの登場が深くかかわっていると考えている。

 90年代はEAI(Enterprise Application Integration:企業内アプリケーション統合)の概念に代表されるようにシステム統合の時代であった。EAIの基本的な考え方はそれぞれ独立したシステムの整合性をとって連携させることだ。MOMやファイル転送はそのための手段として用いられた。そのため、各システム固有のデータ形式を相互に変換するようなアダプタが作られた。

 しかし、インターネットが普及し、本格的なネットワークの時代になるとシステムを利用する人数は爆発的に増えた。企業間取引のネットワーク化も容易になり、グローバルサプライチェーンが安価で構築できるようになってきた。そこで起きたのは個々のシステムが持つ前提の崩壊だった。これまでのシステムは使い人が決まっていたため、要件もその範囲で収まることができた。あとは個々のシステムが必要に応じて連携するだけでよかったのである。だから、連携の要求が出るたびに接続手段を考えていけばよかった。

図5

 しかし、インターネットを経由した接続が可能になると、いつ何時誰がどのような目的でシステムを使うのか分からなくなってしまった。連携の要求が出るたびに接続方法を考えていては、ビジネスの変化についていけなくなってしまったのだ。

 つまりシステムに必要が生じたら連携すればよい、という考え方から、システムをいつ何時誰でも利用できるようにしておくというように変化が起きたのである。このために登場した概念がサービスである。このサービスはメッセージをやり取りするための枠組みを提供する。メッセージを軸に考えれば「メッセージによってシステムを連携させる」という考え方から「メッセージによってサービスとして提供する」という変化が起きたのだ。

図6

 このためにWebサービスの標準化などの相互接続性を確保するための技術が導入された。SOAの技術だけを見ているとオープンネットワークを前提とした標準化の進んだEAIにしか見えないことがある。技術的な理解としては間違っていない。しかし、その本質的な目的が大きく異なることを忘れてはいけない。

 これまでは、いかに独立したシステムを連携させるかと考えてきた。個々のシステムが主軸でありシステムの都合に合わせてメッセージ交換を行った。しかし、SOAではいかにシステムを使ってもらえるようにするかと考える。個々のシステムはサービスという部分に過ぎない。主軸はサービスを統合して現れるチェーン全体である。

 現状でSOAに対する理解が進んではいないだろう。SOAという概念が登場して数年経つが企業システムの現場に浸透しているとは言い難い。この理解が最も進んでいるのがWeb2.0の領域である。マッシュアップと呼ばれる概念はSOAが目指しているものと良く似ているように感じている。

 次回はマッシュアップやAjaxというキーワードからメッセージの使われ方を考えていこう。

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