2012年:注目技術のキーワードは「コンシューマライゼーション」

五味明子
2012-01-04 12:10:00
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 2011年末に米Gartnerが発表した2012年のIT予測レポート「Gartner Predicts 2012」では、「企業におけるITのコンシューマ化とクラウド化がITの方向性を変えていく」という報告がされていたのをご覧になった方も多いだろう。

 ITの「コンシューマー化」や「クラウド化」が進むことで、企業におけるITのあり方はどう変わっていくのだろうか。いくつかのキーワードをもとに、2012年の方向性を予測してみたい。

タッチで動かすアプリケーションがオフィスにも?

 Microsoftは2011年9月に開催したイベント「Microsoft Build 2011」において次期OSである「Windows 8」の概要を発表した。CEO(最高経営責任者)のSteve Ballmer氏は2012年秋のWindows 8リリースを宣言、すでに開発者向けのプレビュー版は入手可能であり、2月にもパブリックベータが公開される見込みだ。

 数ある新機能の中でも最大の注目ポイントは、Windows Phoneと同じタイル状のアイコンを使った「Metro」スタイルのユーザーインターフェースだろう。地下鉄の路線図にヒントを得たというこのUIは、スレートPCやタブレットなどタッチパネル搭載デバイスでも快適に使用できるよう、画面を左右にスライドさせたり、タッチ操作でアプリケーションを実行する。もちろん従来通り、マウスやキーボードを使った操作も可能だ。

 Windows 8が予定通り秋にリリースされれば、タッチUIはモバイルデバイスだけにとどまらず、デスクトップPCやその他のデバイスでも普及することが予想される。業務アプリケーション開発もタッチUIを前提としたケースが増えてくるだろう。

 Linux/UNIXの世界でもタッチUIへの取り組みは進んでおり、たとえば世界で最も普及しているLinuxディストリビューションのUbuntuは、タッチ操作を強く意識したUnityインタフェースを採用している。X.Orgもマルチタッチのサポートを表明しており、開発者に向けてツールキットの提供を開始している。

 スマートフォンやタブレットの普及で、指で画面をスライド&タッチしている時間のほうがキーボードを叩く時間よりも長くなった人も多いことだろう。2012年はタッチUIがオフィスでも普及をはじめる準備段階の1年になるかもしれない。

ソーシャルエンタープライズは分析技術にフォーカス

 FacebookやTwitterといったソーシャルネットワークを利用するユーザー層が広がりを見せ、誰もがどこからでも情報発信できるようになりつつある一方で、企業サイドはソーシャルネットワークをいかに経営活動に活かしていくべきかで悩みはじめている。中には「情報漏えいにつながる可能性が高い」などと理由をつけて、従業員にソーシャルネットワークの利用を禁止している企業も存在する。

 あまりにも急激にソーシャルネットワークが社会や企業活動に影響を与えるようになったために、企業サイドが扱い方も対処方法もわからずにとまどっているというのが正直なところだろう。マーケッターやコンサルタントのすすめで自社のFacebookファンページやTwitterでキャンペーンを展開してみたものの、いまいち効果を実感できないという企業の声を耳にすることも多い。エンタープライズがコンシューマーに追いついていない最も顕著な分野といえる。

 クラウドのリーディングカンパニーとして業界を牽引するSalesforce.comは現在、「Chatter」を軸としたソーシャルエンタープライズ事業に大きく注力している。同社によれば、企業活動にソーシャルネットワークを取り入れるには、従業員や関連企業の社員などを対象にした内向きのネットワークと、顧客や株主、一般ユーザーなどを対象にした外向きのネットワーク、この2つに大きく分けて検討することが重要だとしている。

 ソーシャルエンタープライズは、これまでの企業マーケティングのあり方を大きく変えると言われている。不特定多数への情報提供ではなく、大勢の中から特定のユーザーを絞り込みピンポイントでタイミングよく情報を届けること、そしてITの側でもこれを実現する技術が求められる。ソーシャルネットワークから情報を収集し、評価し、顧客と対話をするというプロセスにおいて、2012年はおそらく情報の正しい評価、すなわち精度の高い分析を行う技術に注目が集まると見られる。プロプライエタリだけでなくオープンソースでもThinkUpなどすぐれた分析ソリューションが登場してきており、2011年にSalesforceがRadian6を買収したように、分析技術に長けたスタートアップをビッグベンダーが買収するケースも考えられる。

クラウドの採用で悩む企業は少なくなる

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