ITプロフェッショナルを刑務所送りに

文:Robin Harris 翻訳校正:石橋啓一郎
2008-06-04 08:00:00
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ITは「専門職」なのか?

 証明書や職業組織は上辺だけの飾りだ。IT関係者を刑務所へ送り始めない限り、ITは専門的な職業にはならないだろう。書類をシュレッダーにかけ、情報を隠蔽した人は刑務所に行く可能性がある。なぜ同様の効果を持つシステムの設計や運用をしている怠慢な人たちはそうならないのだろうか。

専門職とはどのようなものか

 英語版Wikipediaでは、「New Fontana Dictionary of Modern Thought」から次のような定義を引用している。

 形式的な資格の発展は、教育と試験、メンバーを承認し統制する力を持つ規制団体の登場、そして一定の独占的な権限に基づくものだ。

 この定義によれば、現在のITは職業としてはブログ書きと同じようなものだ。

執行者の存在

 法律家は違法行為をすると資格を剥奪される。医師免許は取り消される場合がある。建築士の免許はもし違法行為で訴えられれば取り消される可能性がある。

 ソフトウェアエンジニアは、この例外になっている(もし彼らが訴えられたら貧乏にはなるかもしれないが)。ソフトウェアエンジニアは明らかに専門職ではないのだ。いつかそうなる日も来るかも知れないが。

刑務所へようこそ

 プロフェッショナルが刑務所に送られるというのは、彼らの失敗は全体として社会に悪影響を及ぼすということを意味している。オキシコンチン(訳注:米国で中毒症状が社会問題化した鎮痛剤)をキャンディか何かのように処方する医師は悪い。人に金を払って訴訟を起こさせる弁護士は悪い。

どこから始めるべきか?

 ホワイトハウスの電子メールスキャンダルから始めるのはどうだろうか。

 このスキャンダルの簡単な内容はこうだ。ホワイトハウスは、Lotus Notesのアーカイブシステムを稼働させていたが、イラク戦争が始まろうとしていた頃、誰かがこれをMicrosoft Exchangeで置き換えようと決め、そのシステムにはアーカイブ機能がまったくなかった。このため、少なくとも500万通の電子メールが失われている。

 大統領府の記録は法的には政府の財産であり、保存されなくてはならない。われわれ納税者がこの費用を支払っており、彼らはわれわれに借りがある。

あなたの税金は有効に使われているか?

 現在の大統領府のCIOであるTheresa Payton氏も、2年間しかCIOを務めていないにも関わらず、罪に問える可能性がある。以下はPayton氏のホワイトハウスの新しい電子メールアーカイブシステムに関する供述からの引用だ。

 そして、業務のQAを行う2つめのチームが存在しており、このチームがメッセージがMicrosoft Journalに送られ、そこから自動的にわれわれが所有するソフトウェアプログラムを通じてMicrosoft Personal Storage(PST)へ移動されることを確認している。この2つめのグループがこの業務について調べ、もし技術的な問題に気付いた場合、それをログに記録する。

 このような重要な国家的な目的に使っているからには、このMicrosoft Journalという製品はかなり重要に違いない。私はMicrosoft.comを検索して、私が聞いたことのないこの重要な製品について調べてみた。どうやら、これはタブレットPCに使われる何かのようだ。

 Microsoftは公式に、.pstファイルをアーカイブとして利用することを推奨していないと述べている。

 .pstファイルは、企業環境における長期的、継続的なメッセージの保存を意図して作られたものではない。

 これはなぜだろうか?

 ・・・.pstファイルがネットワーク接続越しに利用された場合、接続の品質が低下したり切断したりすると、.pstファイルが破壊される可能性がある。

 ホワイトハウスの観点から言えば、これは機能でありバグではないのだろう。説明責任は一般大衆向けのものだ。

代償

 IT関係のギークを刑務所に送るというのは、厳しく聞こえるかも知れない。しかし、もしIT関係者が「プロフェッショナル」になりたいのであれば、これは必要なことだ。

 情報の永続性は、文明を支えるものだ。情報システムの管理は重要な仕事であり、「プロフェッショナル」な身分と責任に相応しいものだと言える。

 法的な保存義務には、不正や無能力を隠そうとする役員に立ち向かうことのできる、社会的な権限(そして個人的な動機)を与えられたITプロフェッショナルが必要だ。

 これは必要な代償だ。プロフェッショナルの名声には、プロフェッショナルの責任が伴う。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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