ウェブサイトのローカライズで気をつけたい6つのポイント 後編

長谷川恭久
2008-06-05 08:00:00
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 ウェブサイトのローカライズにおいて気をつけておきたい6つのポイントのうち、前編では3つを紹介した。主にテキストにフォーカスした話題が多かったが、今回はビジュアルにも注目してローカライズのチェックポイントを解説していく。

4. 文化の違いによる捉え方の違い

 海外へ行くとよく感じることだが、自分が当たり前だと思っていることが実に狭い視野での話であることを痛感する。文化の違いにより同じものが異なるメッセージを伝えてしまうことがあるのだ。

 ものの捉え方の違いはモノと人との関係だけでなく、人と人との間でもありうる。Flickrのウェルカムメッセージが典型的な例といえるが、欧米ではカジュアルな文体で利用者に呼びかけることがある。しかし、日本で同じノリが通じるとは限らない。

Flickrをはじめ、欧米のウェブサイトではカジュアルな言葉を使ったり、ファーストネームで呼びかけるケースが多い。 Flickrをはじめ、欧米のウェブサイトではカジュアルな言葉を使ったり、ファーストネームで呼びかけるケースが多い。

 国によって人と人との距離感が異なるのも、こうした文章の雰囲気の違いを作り出しているひとつの原因といえるだろう。こうした文化の違いを把握するのもローカライズにおいて重要な課題だ。

 色は、言葉だけでは伝えることができないメッセージを使えられる要素として重要だ。

 欧米では青は落ち着き、信頼、安定という意味をもっていることから企業サイトのカラースキームとして使われることがあるが、アメリカ先住民族チェロキーにとっての青は敗北や不調という意味を含んでいる。イランでは天国や崇高といった宗教的な意味合いで青を用いる。チェロキーやイランへ向けてサイトを構築することはないかもしれないが、時に色は私たちが受け取っている意味とは全く違う意味として受け取られてしまう可能性があるので注意したい。

 エラーメッセージなどのユーザーに何か重要な情報を伝えたいときに、色を使って強調することがある。

 例えばフォームに必要事項が入力されていない場合、黄色いボックスに「メールアドレスが入力されていません」というメッセージが表示されるのをよく見かける。

 こうしたメッセージに使う色は道路標識の配色が参考になるだろう。日本と欧米での道路標識の配色は共通点が多いので、「色」を通じて伝達される間違ったメッセージを避けることができるだろう。

 例えば日本における警戒(Warning)標識は黄と黒が使われるが、欧米でも同様に黄と黒(もしくは黄と赤)が用いられている。案内(Information / Guide)標識も日本では青又は緑に白字になっているが、アメリカでも同様の配色だ。

世界各国の道路標識をみることができるWikipediaの記事日本語版の記事では5つに分類された標識がそれぞれ詳しく解説されている

ジェスチャー / シンボル

 アイコンを作る際にジェスチャーやシンボルがモチーフとして用いられる場合がある。しかし、色と同様、シンボルやジェスチャーも世界共通とは言えない。

 中指と親指で丸を描いて「OK」とするジェスチャーが、日本でお金を意味する場合もあれば、ブラジルで卑猥な身振りとして見られることもある。

 また、日本特有のジェスチャーも少なくない。お辞儀を使うタイミング、手を左右に振って「知らない」と伝えるジェスチャー、あまりダイレクトな仕草や言葉を避けるなど様々だ。ビジュアルデザインと直接関係のないことも少なくないが、ユーザーとの距離感やインタラクションの仕方もこうした文化の違いに何らかの関わりがあるだろう。

 言語選択に国旗を使うのも避けておきたい。

 日本語は日本でしか母国語で話されないので日本語の選択メニューに国旗が使われていても気にならないが、「英語」と表記してアメリカの国旗ではイギリスやオーストラリアのユーザーは困惑するだろう。カナダは英語を話す人の割合が高い国だが、ケベック州のようにカナダ国内でも公用語はフランス語という地域もあるので扱いが難しい。国を表す場合であれば国旗を使えるが、言語と国旗が一概にイコールとはいえないので注意しておきたい。

 より多くのユーザーにアイコンなどの絵で情報を伝えたい場合、「Symbol Sourcebook: An Authoritative Guide to International Graphic Symbols」のような書籍が参考になる。国際空港で使われているものをはじめ、欧米だけでなくアジアや中東でも利用されているシンボルマークが列挙されている。先に紹介した色や形による捉え方の違いも紹介されている。

「<a href=Symbol Sourcebook: An Authoritative Guide to International Graphic Symbols」はアマゾンで購入可能だ。中身も数ページ観覧することができるので、買う前にぜひチェックしてみてほしい。" /> 「Symbol Sourcebook: An Authoritative Guide to International Graphic Symbols」はアマゾンで購入可能だ。中身も数ページ観覧することができるので、買う前にぜひチェックしてみてほしい。
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