HTML5は「ビジネスを変革する大きなインパクトを持つ」:W3C CEO

齋藤公二 (インサイト)
2012-06-18 12:15:00
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 6月12~15日に開催された「Interop Tokyo 2012」でW3C(World Wide Web Consortium)の最高経営責任者(CEO)であるJeffrey Jaffe(ジェフリー・ジャフェ)氏が「The Open Web Platform~次のフェーズに向かうWeb技術によるビジネス革新~」と題する講演を行った。Jaffe氏は、1979年マサチューセッツ工科大学(MIT)博士過程を卒業し、IBM、Bell Laboratories、Novellを経て、2010年から現職。講演では、W3Cが標準化を進めるHTML5について「既存の業界を変革する重要な技術だ」と強調した。

直近26カ月で30社が新規に参加

 Jaffe氏はまず、W3Cの組織の動向として、現在370のメンバー(93のフルメンバー)がおり、うち30社はこの26カ月で参加した新規メンバーであると説明。その背景として「W3Cは18年前からある団体だが、ウェブの標準化や新しい技術標準に対する関心は、かつてないほど高まっている。ビジネスモデルが大きく変わる技術であることが理解されている」との見解を示した。

 この30社を見ると日本企業としてはKDDIやNEC、パナソニック、楽天、ソニー、スクウェア・エニックスなどが挙げられる。かつては通信企業やブラウザ開発メーカーなどが多かったが、近年では電機、デバイス、医療、ゲーム、放送など業種が拡大しているという。

 中でも注目できるのは、中国企業の加入だ。「数年前までは1社も加入していなかった」が、現在ではBaidu(百度)、China Unicom(中国聯通)、Huawei Technologies(華為技術)、Qihoo 360(奇虎)、Tencent QQ(腾讯)など6社が加入している。

写真1 Jeffrey Jaffe氏

 「ウェブはいたるところに存在する。例えば、2011年に出荷されたデバイスのうち85%にはウェブブラウザが搭載されていた。また、デバイスの種類も電子書籍やプリンタ、タブレット、テレビ、自動車と多様化している。ウェブのアプリケーションを通して、動画や音楽、アニメーション、位置情報、ソーシャルネットワークなどリッチなインタラクションが可能になった。ウェブのトレンドは社会に大きな影響を与えるようになった」

 そうした、ここ5年くらいのウェブのトレンドを支えているのが、HTML5に代表されるオープンウェブプラットフォームだ。「Gartnerでは、HTML5とCSS3は10年に一度のイノベーションだと言っている。実際、今日では、さまざまなデバイスやメディアにおいて、ウェブ技術が最も相互互換性の高い技術になっており、ビジネスへのインパクトは非常に大きい」

HTML5を利用しない開発者は職を失う

 Jaffe氏は、HTML5の標準化の展望について「勧告(レコメンデーション)となるまでには、あと2~3年かかると思っているが、製品への実装は予想より速く進む」との認識を示した。

 「標準が完成するのを待って製品に実装する業界もあるが、ウェブはその意味でカオスに満ちており、標準化と同時に実装が行われていくのが特徴だ。HTML5は実装が進んでおり、もうそこにある状態だ。ABI Researchの調査によると、2016年までに約20億のHTML5対応モバイルデバイスが登場するというが、私は、少なくとも今年中には約20億という数字を達成すると思っている」

 binvision.comの調査によれば、ウェブサイトのトップ100のうち、HTML5に対応しているサイトは34%に達しているという。また、Evans Dataによると「HTML5をすでに利用している、または、利用したいと思っている」という開発者は75%に達している。Jaffe氏は、「25%の開発者が『HTML5を利用したいとは思わない』と思っているとすれば、その人たちは今後、自分の職を失うとすら思っている」と話す。

 標準化の具体的な動向については、モバイル、テレビ、ゲームなどについて、ワーキンググループの活動を紹介した。

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