
Adobe Creative Cloudのスタートで何が変わるか
2. 開発ワークフローの見直し
Creative Cloudの強みひとつは、CS6による強力なクリエイティブツールの数々に加えて、タブレット端末上での創作活動を支援するTouch Appsと、制作したコンテンツを配信するためのDPSやBusiness Catalystなどが、包括的に提供される点である。
Touch Appsは場所や環境を選ばずに使えるため、アイデアが生まれた瞬間にその場で制作を開始することができる。作ったコンテンツはクラウド経由でPCと同期されるので、家やオフィスでは使い慣れたCSツールを使ってすぐに続きの作業を始められる。そして、クラウドサービスとの連携機能によってそのままオンライン配信にまでつなげることができる。

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これによって、従来の「PC上での作業」を中心としたワークフローを大きく変えることができるかもしれない。もちろん、無理をしてまで従来の慣れたやり方を変える必要はない。しかし、新しい環境は新しいアイデアや意欲を与えてくれるだろう。どれを使っても料金は変わらないので、まずは試してみて、自分なりのスタイルを探してみるのがいいだろう。
3. コミュニティの活用
コミュニティ機能は2012年下半期に追加リリースされる予定となっており、現時点ではまだ詳細が発表されていない。しかし、多くの場合でコミュニケーションが創作活動を後押ししてくれるということについては、もはや疑う余地はない。Creative Cloudの中にコミュニケーションの要素がどのように融合されてくるのか、それによって制作のワークフローがどのように変わってくるのか。現時点では情報が少ないため判断しかねる部分もあるが、今後の発表を注視しておく必要があるだろう。
その他の注意点
上記に加えて、FAQにはいくつか気になる文言がある。
たとえば、「Creative Cloudで提供されているデスクトップアプリケーションは、最大2台のコンピューターにインストールできます」と書かれている。これはメインマシン+サブマシンといった使い方を考慮したものだそうで、同OS版の併用の他に、Win版+Mac版や、日本語版+英語版といった使い方も可能とのこと。ただし2台を同時に起動して使うことはできない。
他には、「新バージョンについては、必ずしもインストールする必要はありません」とあるものの、その次に「次期バージョンがリリースされた現行バージョンの製品は、次期バージョンのリリース後最長1年間使用し続けることができます」と続いている。1年後には必ずアップグレードしなければいけないのかという疑問が生じる。
「以前のバージョンのCSアプリケーションにアクセスできますか?」という質問については、「いずれここの機能に対応したいと考えています」と回答されている。旧バージョンが使えるところに魅力を感じるユーザーは多いのではないだろうか。
発表されて間もないため気になる点は多々あるものの、同時に大きな魅力も感じさせてくれるサービスでもある。Creative Cloudが提供する新しい価値が開発者・デザイナーの手に渡ることによって、より魅力的なサービスやコンテンツが登場することを期待したい。