Enterprise 2.0の視点から見た「Google Wave」(前編)

文:Dion Hinchcliffe(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子
2009-06-10 08:00:00
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Google Wave:コミュニケーションとコラボレーションのマッシュアップ

 Google Wave自体は、ブラウザ上で会話モデルと対話性の高いドキュメント作成機能を動的に統合したものとなっている。Google WaveはシンプルでオープンなWebテクノロジを用いることで(GoogleはGoogle Waveのほとんどが、Webコミュニティの協力を得て開発されたフォーマット群やアーキテクチャ群からなるオープンなものであるということを強調している)、電子メールやインスタントメッセージング、メディア共有、ソーシャルネットワーキングといった多くの機能を、「wave」すなわち「ウェーブ」と名付けられた、シームレスなエクスペリエンスとデータセットへと統合しているのだ。そして、開発者はGoogle Wave APIを用いることで、これらの機能すべてにアクセスすることができるのである。

 Google Waveの紹介ビデオ(リンクは下記を参照のこと)では、ユーザーがリアルタイムで協力し合いながら構造的な会話を組み立てていく様子がデモンストレーションされている。具体的には、こういった会話の中にリッチメディアや通知を取り込んだり、やり取りを行いながら会話自体の内容を編集したり、スペルチェックや翻訳といったサーバ側のリソースをリアルタイムで統合したりする方法が紹介されている。最も興味深いのは、個々の「ウェーブ」が独自のサーバやデータフォーマットを用いながらも可能な限り自己完結しているため、さまざまな場所に埋め込んだり、簡単に機能拡張が行えるという点である。これにより、既存のアプリケーションやデータとの迅速な統合が可能となるだけでなく、インターネット上あるいはファイアウォール内での配布における選択の幅も限りなく広がっていくのである。要するに、「ウェーブ」は人々と、彼らが関心を抱いている情報を結びつけるソーシャルな接着剤として機能するのである。そして後述するように、こういったことは大企業にとって、SOAという側面だけでなく、一般的なソーシャルコミュニケーションという側面においても、そして特にEnterprise 2.0という側面においても意味のあることなのだ。

 Google Waveのデモンストレーション:5月28日に行われた「Google I/O」カンファレンスでの基調講演の様子はこのページから視聴することができる。

 GoogleはGoogle Waveのプロトコルとして、ブログやwiki、アクティビティストリーム、RSSといった一般的なコミュニケーションモデルのほとんど(インスタントメッセージングは例外と言えるだろう)とは明らかに異なる、新しいソーシャルメディアフォーマットを採用している。ブログとwikiはいずれも、ページが最小構成単位となっていたWebアプリケーションの時代に生み出されたものであり、それ以来ほとんど変化していない。その一方Google Waveは、会話やドキュメント作成作業にリアルタイムで参加し、それらの内容を編集できることを念頭に置いて設計されており、そのスタイルは従来型のブログやwikiの編集よりも、複数ユーザーによるGoogle Docsの同時編集というエクスペリエンスに近いものとなっている。GoogleのサービスはWebのソーシャルな側面を捉えきれていないという批判の声があったものの、ことGoogle Waveに関して言えば根本的にソーシャルな性質を備えているため、そういった批判とは無縁なはずである。そして、参加者をリアルタイムで追加したり、(プライベートな応答を返すことで)新たな会話を開始したりすることができ、ソーシャルメディアの共有も当然のように行えるようになっている。また、ユーザーのコンテキストに関連するサーバ上のデータ(地図情報や検索情報など)をリアルタイムで統合できるようにもなっている。

 こういったデータは「ウェーブ」と呼ばれる永続的なドキュメントとして保存され、ウェブページや企業のポータルなど、HTMLタグが埋め込める場所であればどこからでも該当データにアクセスできるようになるのである。また、このようなウェーブがあることで、ユーザーは会話への参加や情報の追加など、ウェーブとのやり取りが可能になるのである。さらにGoogleは、オンラインサービスをその提供元サイトの垣根を越えて配布するための2つの重要なテクノロジであるGoogle GadgetsとOpenSocialに対する投資も活かしている。全体的に見ると、Google Waveはコラボレーションのための機能をうまく組み合わせたスマートなものに仕上がっている。そしてその機能は、極めてソーシャルな性質を持っており、迅速なやり取りが可能なコミュニティベースのテクノロジを含んでおり、Web 2.0時代にふさわしい現代的なセンスを色濃く反映しているのである。

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