モノのインターネットで輝くプロフェッショナル像とは--マイクロソフトエバンジェリストに聞く

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2014-01-20 11:00:00
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エンジニアにとってのIoTとは


日本マイクロソフト 太田寛氏

 「クラウド」や「ビッグデータ」に続く潮流として2014年は「IoT(Internet of Things)」がキーワードになると言われている。あらゆるデバイスからデータを収集し、データをインターネットを介して有機的に結びつけるようになる将来像だ。スマートフォンなどのモバイルデバイスはもちろんののこと、冷蔵庫などの家電や健康器具、学習教材やおもちゃといった消費者向け製品だけでなく、小売りや流通におけるサプライチェーン改革、橋などの公共建築物にセンサをつけて耐震強度をモニタするといった社会インフラとしての活用など、可能性は無限に広がる。

 調査会社Gartnerの市場予測によれば、2020年にモノに埋め込まれる通信ユニットの数は、PCやタブレット、スマートフォンを含めない数字で260億に達し、世界全体で1兆9000億ドルの経済効果をもたらすと指摘する。

 この環境の中「デバイスとサービス」の融合で世界に新たなサービスをもらたそうとしているのが日本マイクロソフトだ。エンジニアが従来から持つスキルを生かし、この潮流に乗ってチャンスをつかむにはどうしたらいいか。

 IoT、モノのインターネットは昨年あたりからよく目にするようになったキーワードだ。しかし「実は古い言葉なのです」と日本マイクロソフトのエバンジェリスト、太田寛氏は言う。IoTはインターネットの黎明期だった90年代に海外の学会で提唱されたのが始まりだそうだ。当時はまだ一部のサーバやパソコンがネットに接続し始めたばかりであるにも関わらず、将来はPOSや医療機器など多様な端末が有機的に接続する世界が予見されていた。

 そこから十数年をかけてネットワークやデバイスなど多方面で技術の発展があり、現在は大量のデータから新たな知見を得る「ビッグデータ」の段階に到達した。多様なデバイスから集められたデータとサービスを組み合わせてもたらされるIoTの世界が本当の意味で実現するのはこれからだ。もうかつてのような夢物語ではなく、少しずつ現実のものとなりつつある。

 エンジニアを取り巻く環境にも変化が訪れるだろう。ネットに接続する端末や規模が多様化することで、開発するシステムも新しい課題や要件が求められる。組み込み端末は大型の専用システムから小型のセンサに至るまで多種多様だ。また、近年では従来のように長い開発期間を経て完成したシステムを納品するという形ではなく、短期間でスタートアップし、徐々に機能追加や改良を重ねながらサービスを提供する方法を取るケースも増えてきた。

 開発のスタイルもその成果物も変化していく。エンジニアとしてはそうした変化がありつつも、これまで積み上げてきたスキルを生かしてステップアップしたいところ。組み込み系開発者ではなく、サーバ系システム開発者でもIoTの波に乗ることは可能だろうか。

IoTの基盤を提供するマイクロソフト

 そんな不安を払拭するように、太田氏は「マイクロソフト技術ならできます。もともとマイクロソフトはプラットフォームベンダーであり、来たる時代を見すえ、IoTを成り立たせるためのプラットフォームを提供しています」と話す。

 MicrosoftのプラットフォームであるWindowsというと、PCのイメージが強いが、組み込み用OSとしての幅広く利用されている。スマートフォンやタブレット用のことではない。マイクロソフトには組み込み端末向けOSとして「Windows Embedded」という製品ブランドを持つ。「インテリジェントシステム」とも呼ばれているが、見すえている世界はIoTそのもの。身近な家電から医療端末まで、あらゆるデバイス向けのプラットフォームをすでに提供している。

 例えば、デジタルサイネージ、MRIスキャナ、工場のロボットといった大型ものものから、銀行のATM、POS、カーナビ、エレベーターのディスプレイなど身近なものにいたるまで、多くのデバイスに Windows Embedded が組み込まれている。さらにタブレットなど小型のコンシューマー向け端末には「Windows RT」があり、より小型のハードウェアには「.NET Micro Framework」が使われている。

鍵を握る .NET Micro Framework

 今後注目すべきは .NET Micro Framework だ。これは .NET Framework のサブセットに小型機器向けAPIを組み合わせたもの。家電や健康器具などの組み込み機器ほか、小型モバイル端末やGUI付き制御パネルなどで活用できる。

ジャイロセンサー、コンパス、加速度センサー、GPSを搭載した組み込み機器のサンプル。車載に搭載し、例えば、搭載車より送られたデータと地図情報を合わせてお客様からのオーダーに合わせたタイムリーな配送計画を立てることや運転特性や事故履歴等から最適な保険メニューを設定するなどの用途が期待できる。

 先に太田氏が強調したのは、マイクロソフトはハードウェアがどの規模であろうともWindowsベースのプラットフォームを提供している点だ。開発者にとって、なじみのある.NET Framework、あるいはC#やVisual Basicといった言語を組み込み機器でも使えるのは既存の多くのエンジニアにとって意味がある。これまでのスキルセットで組み込み端末向けソフトウェアの開発ができるからだ。

 .NET Micro Framework なら開発労力の削減も期待できる。従来アセンブラで「ゴリゴリ」とプログラムを書いていたところ、「.NET Micro Framework なら開発労力の削減も期待できる。従来アセンブラやC/C++で ゴリゴリと書いたプログラムに比べて、「.NET Micro Framework でコードの量が1割に収まったこともあります。また標準で提供されるライブラリはJavaよりも豊富です」と太田氏は言う。

 IoTが本格的に進めば組み込み機器を直接開発するだけではなく、組み込み機器から送られてくるデータを解析する工程や、業務システムと連携する工程も重要となる。ここはクラウドの Azure やデータベースを使った分析のスキルが必要となってくる。このような観点からIoTは、組み込み系開発者だけではなく、あらゆるタイプの開発者が波に乗ることが可能なトレンドだと言える。

アイデア重視への転換

 さらに太田氏は発想の転換についても指摘する。「これまでは"○○がしたいから××を開発する"というように特定の目的やシナリオに沿って開発が進められてきました。今後あらゆる機器が接続するようになると"○○と××をつなげたら△△ができるようになるだろう"というアイデアが重要になってきます。普段から周囲に目を配り、新しいサービスの可能性に気づくようなマインドチェンジが必要です」

 例えば、冷蔵庫とネットスーパーを組み合わせ、野菜や肉を切らした際は自動的に冷蔵庫がネットスーパーに補充のための発注をかけるといったことも、技術的には難しくないだろう。

 時代はIoTに向けて着実に動いている。今後需要が高まりそうな領域として狙い目となるのが組み込み機器を直接開発するか、データのバックエンド処理。

 次回以降は組み込み開発の実態などより具体的な製品やスキルについて追っていく。

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