アドビ仕様のPDFでは未来が明るくない--PDFのチャンピオン、標準化を語る

杉山貴章(オングス)
2008-11-13 18:03:00
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PDFはアウトプットのためのフォーマット

 近年、文書フォーマットの標準化に取り組んでいるのはAdobeだけではない。オフィス向けの文書フォーマットとしては、PDFの他にOpenOffice.orgで採用されている「ODF(OpenDocument Format)」や、Microsoftの「OOXML(Office Open XML)」などがISO標準として承認されている。

 これらのフォーマットに対してPDFの強みは何なのか、King氏に尋ねてみたところ、次のような答えが返ってきた。

 「よくそのような質問を受けるのですが、PDFと他のフォーマットではワークフローにおける根本的な位置づけが違うんです。PDFが担当するのは文書のアウトプットの部分です。内容の確定した文書を保存するためのフォーマットなのです。それに対してODFやOOXMLは文書の内容を編集することが前提になっているフォーマットです。したがって、文書を作成する段階ではODFやOOXMLの方が適しているかもしれません。PDFの役割は作成した文書を配布したり、長期に渡って保存することです」

 もともとPDFが作られた当初の目的は、紙に代わる電子的な文書を実現することであった。そこに電子データになったことの強みを生かし、紙ではできない様々なフィーチャーを採り入れたのが今のPDFである。

 しかし、根本的な役割は依然として変わっていないとKing氏は強調する。先立ってISO標準として承認されていたPDF/X(印刷・出版用のサブセット)や、PDF/A(長期保存用のサブセット)の存在が、その現れでもあると同氏は言う。

 「PDF/XやPDF/Aは紙の代わりという役割に特化したサブセットで、その役割のために使うべきフィーチャーと使わなくてもよいものを明確にしたものです。PDFの豊富な機能は電子的な媒体での利用に最適なものと言えますが、印刷や長期保存などのためにインタラクティブな機能を排除したいというニーズも強くあるわけです」

 PDFのサブセットにはこの他に設計図面向けのPDF/E(2008年5月にISO承認済み)や、視覚障害者向けの支援機能を持ったPDF/UAなどがある。今後もニーズに応じてサブセット化するものが出てくるかもしれないが、あくまでも「正しい形で注意深く行わなければならない」とKing氏は語っている。

 最後に同氏は、Adobeが今後PDFのユーザや各企業に望むこととして、次の2つの項目を挙げた。

 「ひとつは、無償のリーダによって単に文書を読むのではなく、Adobeから製品を購入して様々なフィーチャーを使ってみてほしいということです。そしてもうひとつは、ISOのコミッティーとなってこれまでAdobeがやってきたように、しっかりとPDFの面倒を見ていってほしいということです。時間と労力を費して、PDFをよりいいものにしていって頂きたいと思います」

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