やました たつを(フリーライター)

Gartner Enterprise Application Summit 2012基調講演:クラウド、モバイル、ソーシャルがグローバル時代の次世代ERPの技術トレンド

2012-03-05 10:00:00

 ガートナー ジャパンは3月2日、「ガートナー エンタープライズ・アプリケーション サミット 2012」を開催した。同サミットでは、日本企業がアプリケーションの活用において抱える課題を整理するとともに、ガバナンスのありかたを意識しながら、今後のアプリケーションの進化の方向性を示し、IT部門がとるべき戦略と施策について紹介した。


 ガートナー基調講演には、コンファレンス・チェアであり、ガートナー リサーチ リサーチ ディレクターの本好宏次氏が登場。「グローバル時代の次世代アプリケーション像」と題した講演で、ERPの海外展開のような「外向きのグローバル化」から最新テクノロジを国内アプリケーションに取り込む「内なるグローバル化」を推進するためのポイントについて考察した。


 トーマス・フリードマンの著書「フラット化する世界」によれば、グローバル化は3つのフェーズで現在に至っている。1942年にコロンブスが航海に乗り出し、新旧世界の貿易とともにはじまった「グローバリゼーション1.0」、1800年ごろオランダやイギリスの企業と産業革命の発展とともにはじまった「グローバリゼーション2.0」、そして個人がグローバルに競争、協働しはじめた2000年ごろからの「グローバリゼーション3.0」だ。


 本好氏は、「フラット化する世界の初版が出てから6年以上が経過している現在、クラウド、モバイル、ソーシャルなどのトレンドが、さらにフラット化を推進する重要因子になっている」と話す。こうした状況下においてガートナーでは、グローバル時代の次世代アプリケーションのあり方について、つぎの3つの論点を挙げている。


1)アプリケーション活用において日本のユーザー企業が抱えている問題はなにか。
2)グローバル化はアプリケーションにどのような影響を与えているか。
3)アプリケーション活用においてIT部門がおさえておくべきトレンドは何か。


アプリケーション活用における問題


 ガートナーが実施しているITデマンド・リサーチの調査結果では、ユーザーがERPに期待する効果と実際の効果のギャップが大きいもの上位として、「業務・保守・導入コストの削減」と「業務改革」と報告されている。またERPに対する不満としては、「保守・ライセンス・導入コスト」および「操作性」が上位に挙げられている。


 本好氏は、「カスタマイズが多いプロジェクトほど予定期間および予算を超過しがち。カスタマイズは、全体の5割のラインを死守すべき。また現行の業務を再現するためにカスタマイズをするのではなく、業務改善で極力パッケージに業務を合わせ、効率化、標準化につながるカスタマイズを目指すべき」と話す。


 また操作性に関しては、PCベースの複雑な画面遷移や入力項目、レスポンスや情報のリアルタイム性などが不満の対象となっている。本好氏は、「モバイルやソーシャルのように、まず消費者に普及し、その利便性を企業が後追い利用する“ITコンシューマライゼーション”を企業も取り入れていくべき」と話している。


グローバル化に伴うアプリの影響


 ERPの導入、展開における問い合わせで多いのはグローバル化に関するもの。大別すると「共通化・標準化」「適材適所」「人材活用」の大きく3つとなる。共通化・標準化では、グループ展開やテンプレート活用により、管理コスト削減やスキルの有効活用が期待できる。しかし変更要求に対するガバナンスがない場合、コストが増大する恐れもある。


 また適材適所では、本社(1層)にはコアとなるERPを導入し、グループ企業(2層)には必要なアプリケーションのみを導入する“2層目”のERP導入が有効となる。さらに人材育成では、人材の可視化やタレントマネージメントの導入などにより、採用、配置、評価、育成の人材育成ライフサイクル全体に対する効率的かつ効果的な人材管理が有効になる。


 本好氏は、「グローバル競争の激化の影響は、多国籍企業だけに止まらない。日本国内で事業を展開している中堅・中小規模の企業においても、資本の多様化や人材の多様化のような内部からの要請、グローバル標準やグローバル競争への対応という外部からの要請に耐えうるアプリケーションの構想と構築が求められている」と話している。


IT部門がおさえておくべきトレンド


 ガートナーでは、ERPにおける今後の方向性を示す重要なトレンドとして、モバイルなどを含む「マルチチャネルUI」、ビジネスプロセスとBIを統合した「組み込みBI」、FacebookやTwitterなどを活用する「ソーシャル」、SOAとBPMを組み合わせた「モデル駆動型パッケージアプリケーション」、App StoreのようなERPのマーケットプレースである「ERPアプリ・ストア」を挙げている。


 またアプリケーション・ガバナンスの新しい潮流として、「ペース・レイヤ」という考え方を紹介した。ペース・レイヤは、アプリケーションの機能を、変更のペースに基づいて、コアとなる「記録システム(普通のアイデア)」、SaaSなどを利用する「差別化システム(異なるアイデア)」、モバイルやPaaSなどを利用する「革新システム(新しいアイデア)」という3つのレイヤで構成される。


 本好氏は、「2015年までに、クラウドによりERPの革新と差別化においてベスト・オブ・ブリード指向への回帰が進み、管理者と一般ユーザーのアプリケーション利用の50%がモバイルデバイス経由になると予測している。また2013年末までに、新たなアプリケーションの75%には、ユーザー・エクスペリエンスの向上を目的に、ソーシャルな活動スタイル、規制、情報フィードに対応する機能が組み込まれる」と話している。



 

※このエントリは ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet Japan編集部の見解・意向を示すものではありません。
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