やました たつを(フリーライター)

モバイルソリューション普及拡大の鍵を握るデスクトップ仮想化ソリューション

2012-01-06 00:00:00

 携帯電話と基幹システムの連携は、以前より注目されていましたが、携帯電話の仕様にあわせたアプリケーションの開発が困難であることなどの理由から、あまり普及はしませんでした。しかしスマートフォンやタブレット端末の登場により、外出先や自宅から携帯情報端末を利用して、企業内の基幹システムにアクセスするためのモバイルソリューションが本格的に導入されるようになってきました。


 IT専門調査会社であるIDC Japanが2011年12月13日に発表した「2011年 国内ビジネスモビリティ市場 産業分野別/従業員規模別 ユーザー動向分析調査:スマートフォン、タブレット端末、モバイルソリューション、モバイルクラウドの導入動向(J11180103)」では、すでに14.6%の企業がスマートフォンを導入し、31.2%の企業が導入に前向きであると報告されています。


 またスマートフォンを導入した企業の18.6%(全体の2.7%)は、すでにモバイルソリューションを導入しており、41.2%(全体の6.0%)の企業がモバイルソリューションの導入を検討しています。さらにIDC Japanでは、今後スマートフォンやモバイルソリューションを導入しようと考えている企業は全体の21.2%であり、将来的には企業の29.9%まで拡大すると見込んでいます。


 しかしスマートフォンやタブレット端末から基幹システムにアクセスすると、端末上に情報やデータが残ってしまうために、紛失したり盗難にあったりした場合には、機密情報が社外に漏えいしてしまう恐れがあります。こうしたリスクをいかに解消できるかがモバイルソリューション普及拡大の鍵になります。


デスクトップ仮想化でリスクを解消


 モバイルソリューションが抱える課題を解決できるのがデスクトップ仮想化です。デスクトップ仮想化とは、これまで端末上で稼働していたすべてのアプリケーションをサーバ上で管理し、端末側はデータの入力や処理結果の表示のみを行う仕組みを実現するソリューションです。デスクトップ仮想化には、ターミナルサーバ方式や仮想PC方式など、いくつかの方法があります。


 まずターミナルサーバ方式は、たとえばシトリックスが提供するCitrix XenAppのように、すべてのアプリケーションをサーバ上で稼働させ、必要なアプリケーションを端末から利用する仕組みです。XenAppではサーバ側で処理された結果が画面イメージとして端末側に返されるので、端末上に情報やデータが残る心配がありません。またOffice 2010とOffice 2003を同時に利用するなど、複数バージョンのアプリケーションを同時に稼働させることもできます。


 しかしXenAppでは、サーバ側で稼働するアプリケーションを複数の利用者で共有することが必要であり、マルチユーザー対応でないアプリケーションは利用することができません。そこで有効になるのが仮想PC方式です。仮想PC方式は、たとえばCitrix XenDesktopのように、利用者それぞれのデスクトップ環境をサーバ上に構築し、すべての処理をサーバ上で実行する仕組みです。


 XenDesktopでは、利用者が端末にログインした場合、端末側に搭載されているデスクトップ環境(OSやアプリケーションなど)を立ち上げるのではなく、サーバ側のデスクトップ環境にアクセスし、処理結果が画面イメージとして端末側に返されます。これによりセキュリティ上のリスク解消はもちろん、マルチユーザー対応でないアプリケーションも必要なデスクトップ環境のみに登録できるので、完全なデスクトップ仮想化を実現できます。


 またデスクトップ仮想化を実現することで、事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)も確立できます。たとえば、2011年3月11日に発生した東日本大震災の直後には、交通機関の混乱により会社への出勤や外出先からの帰社ができないとか、停電や節電の影響によるオフィスの機能低下などの問題が発生しました。こうした状況下でも、自宅のPCを使った在宅勤務で容易かつ安全に業務を継続することができます。


 デスクトップ仮想化により、すべての情報やデータがサーバ側で管理されるので、端末上に情報やデータが残ることがなく、セキュリティが担保されます。またPCはもちろん、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末など、数多くのモバイル端末からも利用できます。さらにモバイル回線のような低帯域幅のネットワークでもストレスなく業務を継続できる仕組みを実現できるのです。


 さて次回は、最後のバズワードである「ビッグデータ」に注目してみたいと思います。 

※このエントリは ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet Japan編集部の見解・意向を示すものではありません。