世界を変える革命的な圧縮ソフト
コーホー、コーホー、こんにちは、友達の結婚式のご祝儀をドルで払ってやろうかと考え中のベイダー卿です。
僕は思ったんだ。
HDDなんて必要ないと。
SSDなんてもっと必要ないと。
っていうか、そのときは、SSDなんて無かったけど。
フロッピーディスクがあれば、十分だと思える時代に戻してやるってね…。
あれは遠い昔のこと。僕がパダワンどころか、パソコン使い始めのジャンク屋見習いだった頃。
僕は、ある日、ものすごいソフトに出会ってしまったのだ。
そう、それは、ファイル圧縮(解凍)ソフト。
そのときは、最初、どういう理屈か?ってことはよくわからなかった。
でも、そのファイル圧縮ソフトにデータをぶち込んでやると、ファイルサイズがなんだかかなり小さくなって出てきたのだ。
ものすごい感動。
大きなものを小さくしても、ちゃんと元に戻る。
世の中に、こんな便利なものが存在するのか?
ドラえもんの4次元ポケット以外に存在していいのか?
まさに、データのスモールライトなのですよ。
あまりの感動に、僕は色々なファイルを圧縮しまくった。
楽しかった。
本当に楽しかった。
見る間にどんどんファイルサイズが小さくなって、どんどん空き領域ができてくる。
あまりの感動に、アプリケーションまで圧縮して、動かなくしてみたりと、本当にありとあらゆるものを圧縮してみた。
これを作った奴は天才だと思ったあの日。
そして、これを使えば、更なる高みへと上れることに気がついちゃったあの日。
そう、自分が天才じゃないか?と勘違いしちゃったあの日…。
何に気がついたかって?
それは、圧縮したファイルを、さらに圧縮ソフトに入れると、もっと小さくなるんじゃないか?ってこと。
さらに、それを圧縮すれば、もっともっと小さくなる。
さらに、さらに、それを圧縮すれば、もっともっともっと小さくなる…。
…。
これを繰り返せば、データのための領域なんて、ものすごく小さくて済むじゃないか!
僕は、そんなことに気がついてしまったのだ。
これで、鋼鉄のガールフレンド(PC版)をフルインストールするために、他のファイルを泣きながら消して、HDDの空き領域を2Gも作ったりしなくて済む!
なんて素晴らしいアイデアなんだ!
どうしてみんな、思いつかないんだ?
やっぱり僕が飛びぬけた天才だからなんじゃないか?!
そんなことを思ったあの日。
僕はその夢に向けて、即座に動き出した。
そして、そんなに時間を置くことなく、作ってしまったのだった。
”ZIP1000”という、革命的なファイル圧縮ソフトを。
機能はその名の通り。
このソフトにファイルを入れると、ZIPを1000回かけてくれるという、究極の超圧縮ソフトだ。
普段使わないデータは、これで圧縮しておいて、使うときに展開すればいい。
しかも、圧縮が、1回ではなく、1000回。
これはもう、ものすごい圧縮がかけられると思った。
このソフトを使えば、データ領域なんて豆粒くらいになるはずから、HDDにある全てのデータが余裕でフロッピーに入ると思った。
これで、もう、高いお金を出してHDDの増設なんてしなくていいんだ。
圧縮と解凍にちょっと時間はかかるけど、でも、CPUパワーなんて、そのうち上がってくるはずだから、ZIP1000だって、さくさく動くようになるさ。
なんて、本気で思った。
HDDを買わない代わりに、CPUを買う必要があることなんて、微塵も考えてはいなかった。
そして、とりあえず、完成したZIP1000を起動した。
ワクワクしていた。
時代が変わると思っていた。
震える指で、マウスを動かしファイルをドラッグ&ドロップした。
アプリが動き出す。
そして、時間が流れた。
zipを1000回実行するには、ペンティアムの133MHzでは、ちょっと役不足だった。
途中で、スワップまでしやがった。
当時使っていたのは、そんなマシンだった。
でも、僕は待った。
時代が変わるのを信じて…。
そして、どのくらい待っただろう。
もう、パダワンが立派なジェダイマスターになるくらいは待ったと思う。
そのとき、できてきたファイル。
拡張子は、”.zip”
他の拡張子に変えるのを忘れていた…。ツメが甘い僕。
でも、そのファイルは、僕には輝いて見えた。
そして、ついに、ファイル容量へと視線を移す。
圧縮前が100MBくらいのファイル。
1000回もやったんだ。
予想では、どう考えても、10KBよりは小さくなってるはずだった。
僕の胸は期待でふくらみ、今にも張り裂けそうだった。
自分の手で世界が変えられるって、信じたことがあるかい?
このときの僕がまさにそうだったのさ。
ダークサイドに落ち、ムスタファーでパドメに、「暗黒皇帝も殺して二人で銀河を治めればいい!」と言い放ったアナキンのようなもの。
いや、むしろそれを超えていたかもしれない。
その胸の高鳴り、熱い鼓動、君にわかるか?
わかるのか?!
そして、僕は、心臓が口から飛び出すのを我慢しながら、ファイルサイズ欄に目を向ける。
でも、そこで目にしたのは…。
60MB…?
いや、これは見間違いだ。
こんなことはありえない。
もう一度目をやる。
やっぱり、60MB。
何度見ても、60MB。
60MB、60MB、60MB、60MB、60MB、60MB、…
え? なんか幻覚が見えるよ。
は? なんじゃこりゃぁ!?
お? 60KBの間違いじゃないのか?
それならまだ納得できる。
でも、でも…。
やっぱり、そのファイルは60MBだった。
たった4割しか減ってない。
にわかには信じがたい光景だった。
がっくりと肩を落とす。
この時ばかりは、フォースのご加護が信じられなくなった。
でも、それが現実。
僕の夢は、はかなく散った。結構あっさり壊れるデススターのように霧散した。
世界は簡単には、変えられないのだった。
世界は、そんなに甘くない。
そうさ、一枚のチョコレートを毎日半分に割って食べたからと言って、永遠に食べ続けられると信じてはいけないんだ。
そのうち、半分に割る前に体温で溶けちゃうくらいの大きさになっちゃうのだから。
そうなんだ。
圧縮だって、限度ってものがあるんだ。
計算量を増やせば圧縮率は確かに上がる。
でも、同じ圧縮データから、違う展開データは発生しない。
そうさ。
1ビットは所詮、2つの事柄しか表わしてはくれない。
だから、圧縮にもおのずと限界がある。
良く考えればわかったのに…。
フォースにしっかり耳を傾ければ、わかったかもしれないのに…。
でも、考える前に、プログラムを作ってた。
1000回もZIPをやっちゃうプログラムなんて必死で書いてた。
本筋とは関係ないのに、ドラッグ&ドロップでファイルを受け付けられる、便利機能まで実装してた。
そして、何より、期待に胸を躍らせていた…。
でも。
やっぱり、僕はプログラマー。
深く考える前に指が動くプログラマー…。
クライアントの皆さん、あなた方は、こういう人たちにシステムを作ってくれと依頼しているんですよね。
大丈夫ですか?
- 2件のコメント
こんなことしてるのは僕だけだったらどうしようなんて、もう心配で心配で。
#1さんも、無限圧縮クラブの一員だったなんて、ありがとうございます。
僕が作ったシステムですか…。本気ですか?
前にもそんな嬉し恥ずかしなコメントをいただいたことがありますけれども。
みなさん、チャレンジャーですね。
仕事で作ったものは出すわけには行かないですが、
趣味で作ったものなら、そのうちブログのネタとして発表しましょうかね。
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すごく、共感して読ませていただきましたぁ。
恥ずかしながら、やっちゃいますよね…。うんうん。
そんなお茶目なベイダー卿様が作るシステム、一度、私も使ってみたいです!