ベイダー卿

ネット病カルテ ”写メ症”

2009-09-24 13:05:31

 
コーホー、コーホー、こんにちは、シルバーウィークの思い出といえば、シルバーシートのお年寄りに席を譲られそうになったことくらいな、ベイダー卿です。

 
 

今日の患者さんは女性。

先日のお休み、あるアジア料理店で。

僕の隣のテーブルに座っていたその女性は、彼氏とお食事中。

ちなみに僕は一人でお食事中。

で、料理が運ばれてくると、その女性がおもむろに取り出したのは、携帯。

そして、コース料理の品が一つ運ばれてくるたびに携帯で写真を撮り、しばらく何かを打ち込んでいる。

そのうち。

彼氏の機嫌が悪くなっていくのが明らかにわかる。

顔の表情が険しいものに変わって行ったのは、料理の辛さだけではあるまい。

彼氏 「なぁ。いい加減にしたら?」

しばらくして、たまりかねた彼氏はついに、かなり強い口調でそういった。

それを横耳で聞きながら、僕はトムヤムクンを口に運ぶ。

女性 「なにを?」

携帯をいじる女性の返事は上の空。彼氏の顔を見ようともしない。

僕はもう一口、トムヤムクンを口に運ぶ。

彼氏 「それ。いちいちメールとか、なにやってんの?」

女性 「メールじゃないよ。ブログ」

悪びれるでもなく、あっさりと返す女性。眉間にしわを寄せる彼氏。

僕は生春巻きにかじりつく。

彼氏 「あぁ! もうどっちでもいいし。いい加減にしろや!」

女性 「なに?何で怒ってんの?意味わかんない」

初めて女性が彼氏に顔を向ける。

僕は春巻きの皮が口の中(上あご)にへばりつく。あぅあぅ…。

彼氏 「そんなの、後にしろや!」

女性 「はぁ?写真撮るくらいでなに切れてんの?ちょっとウザイんだけど」

女性の声が、店内に響く。

僕は爪楊枝で春巻きの皮を引き剥がす。

彼氏 「うるせぇな!」

女性 「うるさいのあんたでしょ!」

女性が立ち上がり、テーブルを拳で叩くと、店の外へ出て行った。

僕はまた、トムヤムクンをスプーンで口に運ぶ。

彼氏 「…なんなんだよ」

ブログが生み出す人の亀裂。

残された彼氏。

他の客からの視線が痛い。

その寂しい姿を見かねて僕は、彼氏の肩にそっと手を置いた。

僕 「そんなに気を落とすなよ兄弟。彼女は、君より、ブログに興味があったっていうだけじゃないか」

なんて、妄想の中では、ハードボイルドに慰めてやった。

もちろん、本物の僕はそんな度胸はない小心者だから、彼氏を横目で見つつ、そ知らぬ顔でトムヤムクンを口に運ぶ。

美味い。

でも少しだけ、涙の味がした。

彼氏に同情したから? 

否。

店内で一人で食べてるのが僕くらいだったから…。

 

これが典型的な、写メ症の症状です。

ブログにコメントがもらえることの愉悦にどっぷりと浸り、更新することが義務になることで発症します。

「私には読者が待ってるんだ!」という、どこぞのジャーナリストと同じ使命感がいつの間にか頭の中に構築されています。

とにかく、24時間365日、ブログのネタを探し回り、少しでも違ったことを見つけるとすかさず携帯を取り出して写メを撮る。

周りに誰がいようとお構いなし。

僕の前の会社でお世話になった上司が事故で亡くなったとき、そのお葬式で、お経の最中に祭壇の写メ撮ってる大ばか野郎を見て、さすがに怒ったことはありますが、

そこまでいかなくても、パパラッチも真っ青な記者魂がある人、結構居るわけです。

重症になると、誰かが周りにいても、そのまま携帯でブログを更新する。

それがさらに悪化すると、デジタルカメラを持ち歩く。

ブログ用一眼レフを常に携帯するようになったら、もう手遅れです。

 

そんな写メ症。

外科手術や薬で治す方法は基本的にありません。

でも、安心してください。

大抵の人は、ある日、唐突に気が付くんです。

自分のブログがなくなっても、多分誰も困らないということに…。

そうなったとき、自然に写メ症は治りますから。

 

あ、そうそう、上記の例のように、付き合っている異性があなたの前でも写メ症の症状を惜しげもなく披露してくれちゃってる場合、

一時的に、もしくは恒久的に、あなたよりも被写体やブログのほうに興味があるということだけは確実ですし、

気にしているのは、あなたの視線でも気持ちではなく、ブログ読者の反応と、明日のアクセス数や、すずめの涙のようなアフィリエイトの収益額だけですので、

様々な意味で、覚悟はしていたほうがよろしいかと思われます。

釣った魚に餌はやらないというのはわかるんですけど、

豪華なものでなくていいので、せめて興味をつなぎとめておけるくらいの餌、そして自らの魅力くらいは、しっかりと用意しておきましょう。

え? まだ釣ってない人はどうすればいいかって?

フッ、そんなこと簡単。

ここまでの文章を読んできたら、すでにお分かりでしょう?

そう、写メ症の女性の被写体になれるような、ブログのネタになるような、奇抜なことをやらかせば、彼氏よりも興味をひけるってことですよ。

簡単ですよね?

それで、彼女のブログのアクセスが増え、アフィリエイトに貢献できれば、彼女の気持ちに食い込むことも可能なのです。

というか、もう、釣り上げたも同然。

後は煮るなり焼くなり好きにすればいいのです。

別の男が彼女の被写体になるまでは…。

※このエントリは ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet Japan編集部の見解・意向を示すものではありません。
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