Intertwined WebとユビキタスIA

2010-11-03 23:58:07

先月開催された IDEA 2010 というカンファレンスで「Web情報アーキテクチャ」や「アンビエント・ファインダビリティ」といった IA 関連の書籍の執筆者として知られている Peter Morville が、「Ubiquitous Information Architecture」という内容で講演をしました。Webの世界とリアルの世界があやふなになった現在において、Web だけでなく様々なチャンネルとプラットフォームを意識した情報アーキテクチャを考えなければいけないという内容でした。(講演のビデオを Vimeo で見ることができます)


Peter MorvilleUbiquitous Information Architecture

Peter Morville will discuss IA as it relates to channels previously unattributed to the field. As computing blends more and more into our everyday lives, information architecture becomes less exclusive to Web development and must be considered across multiple channels and platforms.

このプレゼンテーションでキーワードになっているのが「Intertwingularity」という言葉。Intertwine (より合わせる) ことができる状態を表した造語で、「Hypertext (ハイパーテキスト)」という言葉を編み出したことでも知られている Ted Nelson が造った言葉です。以下が Wikipedia に書かれている意味になります。

The complexity of interrelations in human knowledge

人工的でときには強要している印象がある階層的な情報構造。人は無意識にカテゴライズをしたり構造的に物事を捉えようとしますが、実際は難しいというのが Intertwingularity の考え方です。様々な情報がネットワーク式に入り組んでいるだけでなく、デジタル・リアル関係なく様々な場で情報が入り組んでいる世界に我々は住んでいるわけですから、Intertwingularity の考え方もスっと入ってきますね。

従来から Web における IA は、ひとつのページ、サイト全体、エンタープライズとしてのサイトの集合体、そして Web という巨大なエコシステムの4つの階層を意識して設計しなければならないという考え方がありました。しかし、様々なプラットフォームを通じて Web に触れることが出来、実生活に影響を及ぼす機会が増えたことを考えると Web だけの設計が不十分になり始めているのかもしれません。上記に挙げた4つの階層の架け橋が必要だけでなく、いかに Web 以外への関わりを作り出すかまで考える必要になるでしょう。

絡み合った情報と体験をいかに一貫性をもたせるのか、関わりをもつポイントはどこなのか、運営していくうえで相互関係や柔軟性をいかにつくりだすかといった IA の課題をより広い視野で見ていくことになります。戦術的で広い視野をもった「Big IA」と捉えることは出来ますが、複数のプラットフォームでいかに情報を絡み合わせるかを考えるという意味では、マルチな「Small IA」とも捉えることができます。

Experience Map

今年の 1月に執筆した「関係作りとしての IA の役割」という記事で、階層構造に捕われない情報の提示と、サイトを超えた体験の関係作りについて執筆しました。当時は Intertwingularity という言葉は使いませんでしたが、Intertwingularity な世界観で挙げられている課題と記事で挙げている課題は似ているところがあります。

Webの情報アーキテクチャだけを考えているだけでは不十分であると考えることは出来ますが、今の Intertwingularity の核は Web にあることを忘れてはいけません。Web に蓄積されている情報や、人と人とのネットワークが PC, 携帯電話, 家電, 店舗, キオスクなど様々なチャンネルへ配信されているだけであり、Web が消え去るというわけではありません。Web を核にした企業・サービス・個人それぞれに適したエコシステムを設計することが、今後の IA におけるミッションなのかもしれません。

※このエントリは ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet Japan編集部の見解・意向を示すものではありません。
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