読書体験を共有するためのデザイン提案

2010-10-19 12:28:24

ページ上に読者の感想や、ディスカッション、そして読まれている文章の傾向が分かるというのは電子書籍のひとつの読み方としておもしろいと思います。しかし、それは様々ある読書スタイルのほんの一部にマッチした提案です。読書は基本的に『一人旅』に近いと感じています。読書という旅の経験を人と共有することはあると思いますが、それは読書する前後であって読書している最中に思いを共有することはさほどないような気がしています。読んでいる瞬間に生まれる読者と作者 (書籍) の一対一の関係が読書をまた特別なものにしていますし、そのときの体験を共有する楽しさはあると思います。

読書を一人旅と例えるのであれば、読書の最中の演出・機能はむしろ邪魔な存在かもしれませんし、それだけが電子書籍の魅力だとすると今の読書の体験とズレているのではないでしょうか。
ノンフィクションやハウツー本だと同時に他の読者の様子が分かるというのは有効かもしれませんが、一人旅としての読書を補助することができる電子書籍のあり方もあったも良いのではと考えています。

カフェで友達に会ったとき本の話題が出て「あぁこれだよ、読んでみなよ」ってデバイスからデバイスへ電子書籍を貸し出すことが出来るだけでもうソーシャルリーディングな感じがするのだが。

from: yhassy

上記の Tweet は、昨日私が発したものです。一人旅としての読書を考える上で、電子書籍の文中(ページ)に何か特別な機能や UI を追加することが有効な手段ではないと考えました。むしろ旅の体験を共有しやすい仕組みを作ることのほうが重要ではないでしょうか。そこで実際どういう感じになるかをモックアップしてみました。

電子書籍の共有アイデア書籍を長押しすると、書籍を掴むことができます
(現在の iBooks の操作と同じ)
電子書籍の共有アイデア2このとき、近くに書籍管理アプリを立ち上げているデバイスがあると反応します。
反応しているデバイスが誰のものなのか表示されます。
電子書籍の共有アイデア3デバイスがある方向にめがけて書籍を「投げる」と、書籍が相手の本棚に追加されます。
  • 認識できる同じソフトウェアを起動していれば、ハードウェアの違いは無関係にする
  • 現行の本棚アプリの UI に新たな操作レイヤーを追加しなくても実装しやすい
  • 貸した本は20~100ページくらい読めるようにして、最後のページに辿り付いたら購入出来るようにする (Kindle や iBooks がそうですね)
  • サンプル本を見せるという感覚なので、貸し出せる書籍の数は無制限

著作権を守ることは重要な課題ですが、それがかえって利用者に不自由や不安を与えてしまう可能性があります。カセットやCDを貸し借りしていた頃はいちいち考えなかったかもともデジタルミュージックになることで過剰に意識しなければならなくなったのは寂しいですね。自分のライフスタイルが変わったというのもありますが、知り合いにミックスをプレゼントするという機会が激減しているのもデジタルになったことによる足かせが影響しています。

ただ、著作権を守りつつもデザインや演出で自由に使えているように思わせることは出来ると考えています。上のような提案も一見何でもアリのように見えますが読める文量は限られていますし、借りた人はハイライトやメモなどは出来ないみたいな制限も築くことは出来るでしょう。制限はあるものの、重要なアクションの敷居を限りなく下げることが扱いやすさ・使いやすさの第一歩になると思います。何も考えなくても紙の書籍のように気軽に本を共有出来る、読書の体験をその場で語り合えるキッカケを電子書籍が提供出来るのであれば素敵だと思います。

著作権を守るための機能制限といったデザインではなく、書籍としてしたいアクションが出来るものの著作権は守られているといったデザインを今後模索していきたいですね。

※このエントリは ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet Japan編集部の見解・意向を示すものではありません。
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