関係作りとしての IA の役割

2010-01-20 15:27:26

IA (Information Architecture) において「関係」は重要なキーワードです。ページを構成する情報と情報との関係、サイト内のページとページとの関係。コーポレイトサイトであれば、メインサイトとサテライトサイトというサイトとサイトの関係も考慮します。これに加え、利用者という別の軸の関係も考慮して情報を組み立てて行きます。こうしたことから、IA の専門家達は、建築、情報科学、インダストリアルデザイン、認知学など様々な分野の知識に長けている方が少なくありません。彼等はその広い知識を活用することで様々な情報とコンテキストを繋ぎ合わせている(関係を作り上げている)といえるでしょう。

近年、情報とコンテキストが多様化し初めています。

情報の種類はテキストから動画まで様々ですし、サイズや扱われ方もたくさん出てきました。また、利用者が情報にアクセスする背景を考えてみると、自社の Web サイトという小さな存在だけでは語り尽くせない状態です。Web がパソコンからの情報だけのことを指しているわけではありませんし、Web が物理世界と親密になって来ています。今後の IA は、こうした現在の Web の広がりを考慮して初めて成り立つのかもしれません。

IA を専門として仕事をしていないとしても、情報を扱うという意味ではデザイナーもコーダーも考慮しておきたいことが幾つかあります。

誰もが情報発信者

意識しているしていないは関係なく、様々なサービスやサイトを使いこなす利用者が増えてきているのは事実。それがブログかもしれませんし、Wiki や SNS なのかもしれません。発信側とコンテンツを受け取る読者/視聴者という明確な切り分けが出来なくなってきており、人々は様々なコンテンツの行き来を通して関係を作り始めています。

情報にアクセスするだけだったユーザーが、自ら何かを作り出すユーザーへと変化してきた現在において、どのような配慮が出来るでしょうか。自社のサイトという建物というよりかは、ひとつのエコシステムの構築という考え方に変化する可能性があります。

横へ広がるサイト構成

人々はサイトを行き来する際に、迷わないように道しるべを求める場合があります。サイトマップというトップダウン式のサイト構成図は、サイト全体から見て自分はどの辺にいるのか分かる目安になりますが、トップダウン構成は常にダイナミックに変化しつづける Web において管理がしにくいというデメリットもあります。つまり、しっかり固め過ぎたゆえ柔軟性がきかないということでしょうか。

利用者が欲しいタイミングで欲しい情報へアクセスするようになった現在において、トップダウン式のサイト構成が本当に必要とされているのでしょうか。それより、今見ている情報の次へ繋がる情報(縦ではなく横)のほうが必要なのかもしれません。もちろん、ここではサイトマップが必要でないという話をしているわけではありません。開発側にとってサイトマップのような設計図があると作りやすいというメリットも忘れてはいけません。上から辿って徐々に必要な情報へ近づくという形式から、欲しい情報へすぐにアクセスする検索型へと変化している現在において、全体像を利用者に示す必要があるのか、他に目印となる見せ方があるのか考えてきたいところです。

サイトを超えた体験の関係作り

IA とビジネスは深い関わりを持っています。Web だけでビジネスをしている企業が少ないわけですから、他の媒体を考慮しないわけにはいきません。TV や雑誌などで知った方がどのようにサイトにアクセスしているのか、製品やサービスを購入した後にサイトを訪れるとしたら何を求めており、どのような情報を提示したら良いのか。企業が実現したい体験を、全体の一部として Web がどのようにつなぎ止めることが出来るのかを考える役割が今後より強まるのではないでしょうか。以前からそうだったと思いますが、プロデュースするような役割にも見えますね。

違う環境や媒体でも一貫性のある体験・印象を利用者に伝えるのは難しい課題です。しかも Web は情報も利用者もダイナミックに変化し続けているわけですから、混沌とした中でいかにコントロールを加えるのかといったバランスも必要とされます。これから IA が関係作りをどう築きどう具現化していくのでしょうか。様々なアプローチが考案され実践されると思います。

background photo is taken by jaeming

※このエントリは ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet Japan編集部の見解・意向を示すものではありません。
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