Richという言葉が意味するもの

2008-11-25 13:09:01

ウェブサイト制作に携わる者として「RIA (Rich Internet Application)」はよく耳にする言葉のひとつです。アプリケーションのひとつの形であり目指すべき姿として「RIA」がキーワードに挙ることがあるが、以前からこの言葉の中にある「Rich / リッチ」がひっかかっています。直訳すると「豊富な」「鮮やかな」「価値のある」など様々な意味が含まれている Rich ですが、どうも前2つの意味が先行して受け入れられている場合もあるのではないでしょうか。

RIAを実現する技術として Flex, Ajax, Silverlight, Java が挙げられます。いずれの技術もダイナミックにスクリーン上のコンテンツを変えたり、アニメーションを簡単に組み込むことが出来ます。こうした『ギミック』が簡単に導入出来、RIAの好例として紹介されているのも表層部が先に紹介されてしまうこともあり、「RIA=いろいろ動いているアプリ」というイメージが先行している場合もあります。

上記に挙げられている技術を使うひとつのメリットとしてクロスプラットフォームで効率よく開発出来るという点もあります。これは作る側(そして発注側にとっても)都合が良いメリットといえますが、この点が利用者にとっての Rich へ直結するとは言えません。もし作り手の都合を利用者へ強要しているのであれば、利用者にとっては Rich というより Poor になることもあります。ウェブアプリケーションの開発は作り手にとって効率的で、一見利用者にもメリットがありますが、もし利用者がデスクトップアプリケーションで使っている特定のデータと連携して仕事をしたいのであれば、何処でも利用出来るウェブアプリケーションだからといって Rich な体験を利用者に提供出来るか分かりません。

ウェブアプリケーションはアクセス出来る量も膨大で場所を選びません。デスクトップアプリケーションにはOSと親和性の高いプログラミング言語で開発されているからこそ実現出来る様々なデータ (又はアプリ) の連携や高い操作性もあります。利用者にとってのメリットに応じてバランスのある開発を行うことで初めて「価値のある」体験を提供出来るはずです。

RIAの好例として挙げらることもある Google Docs にしろ、高度な JavaScript を使ったウェブアプリケーションだからリッチなのではなく、Google Docs の使い心地であったり、このアプリケーションをどう使うことによって仕事の効率が上がるのかという部分がリッチに繋がっているような気がします。

どの技術を使っても RIA は実現出来ます。ただし、技術を使って「何」が出来ることばかりフォーカスしている間は、本当の意味での Rich を提供出来ないと思います。「何」ではなく「どのように」使ってもらうかを考慮した上でのソリューションを提供しなければいけません。そうすることではじめてそれは Rich (価値のある) な RIA になるのではないでしょうか。

※このエントリは ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet Japan編集部の見解・意向を示すものではありません。
  • 1件のコメント
#1   2008-11-26 14:05:25
私はRichと言う言葉は、UIまたはUE(ユーザーエクスペリエンス)にかかる言葉なのだと思います。ある目的を果たすアプリケーションが実装すべきUIやUEの正解というのはそう多く存在する訳ではありません。正解がわからないというのは問題がありますが、正解がわかっていても実装できない場合もあります。この場合の妥協策(代替案)をPoorとした場合、正解、またはほぼ正解に近い内容を実装できた場合をRichだと考えています。

現状においては、RIA=「リッチなUI(UE)を実装可能な環境で開発されたアプリケーション」という使われ方が多いのではないでしょうか。

実際のアプリケーションを使ってユーザが満足するかどうかは、RIAとはあまり関係なく、要件定義が正しくできたのかどうかの差によるものだと思います。
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