山田井ユウキ

小室哲哉がニコ生で語った、音楽業界の現在と未来。そしてボカロPについて。

2011-05-20 07:00:00


builder読者の皆さん、こんにちは。

金曜日担当の山田井ユウキです。


5月15日にニコニコ公式生放送番組「小室みつ子のGet Wild」に小室哲哉さんがゲストとして登場し、音楽業界に関する興味深いトークを行いました。

この番組は作詞家でシンガーソングライターの小室みつ子さんがMCを務める番組で、毎回様々なゲストを呼びトークやセッションを行うというもの。ツッコミ役として(?)ひろゆきさんも出演しています。

今回の小室哲哉さんお話は、このまま忘れられていくには惜しい内容だと思いましたので、そのトークの中から特に個人的に残したいと思った箇所を書き起こしたいと思います。

基本的には喋ったセリフのままですが、読みやすくするために「あのー」などのつなぎ部分はカットした箇所もあります。


テーマは3つ。


1.今後のアーティストとCDのあり方

2.ボカロPについて

3.小室哲哉がライバルだと思っている作曲家

※時系列に沿ったまとめではありません。話した順番としては3→2→1となります。


ではさっそく見ていきましょう。

※()内は筆者による補足


1.今後のアーティストとCDのあり方

小室「物理的に音楽のCDショップがなくなっちゃったりとかっていうのは現実に今起きてるわけだけど、でもネット上にはミュージックストアってどんどん増えているわけで、僕は実はCDショップ的なこと、レコード屋さんってどんどん増えている気がしてるんですね」

ひろゆき「買いやすくはなってますよね。田舎とかもともとレコード屋ないじゃんっていう」

小室「足運ばないだけで、そのレコード屋さんに。でもそれと同じくらい、何だかんだ(個人情報などを)打ち込んで入れていかなきゃいけなかったりして、買うの大変じゃない。ネット上でレコード屋さんが乱立というか、立ってきているので」

みつ子「アメリカは配信メインになってたり。でもパッケージが好きな人ってすごく多くて」

小室「今後は、音はまあそうやって(配信で)送られてもらってくるんだけど、形にするのは自分で、ロゴじゃないけど、キットみたいなのを誰かそういうのをビジネスにされてでもいいから、パッケージ化するような遊びもいいと思うんだよね」

ひろゆき「ジャケット含めて見てほしいみたいなのってないんですか?」

小室「ジャケットはジャケットでそれはまた。最終的に自分で組み立てて作ってほしいなと思う。音はもらってね。音はネットショップで買って」

ひろゆき「じゃあ別にアマゾンでCDで通販とかでもぜんぜんいい?」

小室「でもいいと思いますし、それもありだと思うけど、別に音だけ(配信で)やって、パッケージでデジパックにしたかったらデジパックにして」

みつ子「でもパッケージ自体はなくなると思う?」

小室「パッケージ、そうですね、うーん、僕はマーチャンダイジングになると思いますね。だから要は、ライブに行きますよね。コンサート行くじゃないですか。グッズがあるでしょ。グッズでTシャツとか」

ひろゆき「ライブで買ったときのおみやげとしてのTシャツだったり、CDだったり」

小室「そう。行った記念にパッケージを買ったりとか、たとえばどこかの渋谷のアンテナショップとかに行って、足を運んでパッケージを買うっていう楽しみを、っていうことでのパッケージは残っていいんじゃないかな。わざわざパッケージを大量生産して配ることはないかなと思いますけど」

ひろゆき「逆に物としての価値は上がる感じですよね」

小室「バリューが上がった方がいいと思うので。エリアのパスとか関係者とかでもらったりしたら記念にとっておくじゃない、必ず。サッカー見に行ったとしても、オールアクセスのエリアパスとかもらったら、嬉しいから記念にとっておくじゃないですか。

ああいうの全部とっておいたりとか、そういうのと同じで、CDももうパッケージはそういう風にして価値観を高めていくべきだと思いますね。なくなるとは思わないです。

ですけど、そういうときのグッズ的な、グッズっていうと安っぽく聞こえるのでマーチャンダイジングって言ってるんですけど、マーチャンダイジングとしての一つの大きな価値のあるアイテムとしてパッケージっていうのは残っていくと」

ひろゆき「コメントにありますけどアニメのDVDもそうですよね。TVで流れてるのみんな見てて、見たものをDVDで買うんですけど、DVDってアホみたいに高いんですよ。2話で5000円みたいな。見たじゃんそれ、みたいな。それも記念のBOXが欲しいんですよね」

小室「形に残しておきたいからね。普段ハードディスクに入れておくんじゃなくて、パッケージとしてそういう風に残しておきたいという。部屋のインテリアとかにあると、誰かお客さんとか友だちがきたときにハードディスク見(せ)るわけにいかないから」

ひろゆき「アイデンティティを出すための」

小室「そういうこと。その通り。自分の嗜好をね、見せるためにそれが必要なの」


2.ボカロPについて

小室「いわゆるDTM世代ですよね」

みつ子「ボカロPには興味がある?」

小室「うん、あの、柴咲コウさんに提供された(※)のは聴かせてもらったんですよね。もちろんお会いしたことはないんですけど、きっと多分、話して聞きたいことたくさんあるんじゃないかなっていうのは感じましたけどね。

ステップで入れてんのかなーっていう、打ち込みのね。まさに今の世代の打ち込みの、打ち込みっていっても僕の打ち込みと今の世代の打ち込みって違うんですよ」
※ボカロPとしても活躍中のDECO*27さんは女優・歌手の柴咲コウさんに楽曲「無形スピリット」を提供している

みつ子「音楽って間も一つの音っていうか、間の美しさがきちんと、だけど最近のJ-POPは間がないの。オケがぎっしり」

ひろゆき「ずっと忙しい感じなんですか?」

みつ子「そう、メロディーのなんか、感じが。私は感覚だけど」

小室「文章もそうかもしれないけど、20世紀にはコピペっていうのがなかったですよね。今は音楽もコピペが簡単にできるから、すぐAメロからBメロをぺたって貼り付けることができるんで、AからBに移るっていうプロセスをしない人が多いんですよね。それが気持ちいい場合もあるんで。

ボカロさんとかのはどっちかっていうと前者の方で、それはそれで今の音楽の一つの主流でもあるので」

みつ子「ただわたしは間も一つの音楽っていう」

小室「AメロからBメロ、Bメロからサビみたいな流れで、僕の中では流れで作って行くので、いわゆるペーストっていうのはあまりしないんですよね。どこかから持ってきてぺたって貼るっていうのはしない」

ひろゆき「でもそっちの方が楽なんですかね」

小室「うーん、楽なのか、それに慣れちゃってる世代かもしれないので、基本的な作り方が違うのかもしれないよね。

僕のは基本的には新しいか古いかっていったら新しい機材は使っているけど、手法としては作曲法としては昔の歌謡曲とかと変わらない作り方」

みつ子「どんなに機材が発達しても結局は聴く人のセンスだもんね」

小室「基本的に打ち込みっていっても僕の場合は弾いて打ち込んでるから。ドラムもベースも全部」


3.小室哲哉がライバルだと思っている作曲家

小室「ライバルっていうか、完全にやっぱり尊敬はしてるんですけども、やっぱり日本っていうのは音楽では輸出大国ではまったくないですよね。特に今のK-POPの感じでいったら、音楽は完全に輸入ですよね。韓国とかもうどんどん輸出しているわけで。

ていうことで考えると、日本でじゃあ、ちゃんと日本人として外に出しててできてる人って、なかなかすごい少ないっていう意味では、やっぱり坂本龍一さんなんですよね。なんだかんだいってラストエンペラーとかですね、あと戦メリとか。

タタタタタン(と、口ずさむ)、あれだけで世界でどれくらいの人が知ってるか、あのフレーズ、あれだけなんですけど、あれを作るのが難しいんですよね。(ここで再び戦場のメリークリスマスを口ずさむ)……5・7・5ですね。

音楽家という意味ではすごい優れている方だと思うんですよね。まあライバル、僕も一曲くらいそういうものを輸出というか、日本から外に出していきたいなってのは未だに思ってますよね。アジアとかですごく知られてる曲もあるんですけどね、もちろん。この(番組)タイトルになっている「GetWild」とかも、

もちろん色んな国でシティハンターっていうのは、アニメとか流れているわけで知っている方も多いんですけど、まあただ、うーん、今のところやっぱり僕の中でやっぱり音楽理論も含めてあらゆることで(坂本龍一氏は)先輩でもあるんですけど」

みつ子「でも哲っちゃんも『スピード2』(※)とか」
※小室哲哉氏は映画『スピード2』でテーマ曲のリミックスを手がけた

小室「そうですね、あとバックストリートボーイズとか作らせてもらったりしてるんですけど、ただやっぱりド有名な曲っていうね」

ひろゆき「名刺代わりになるような」

小室「これっていえばってポーンと出てくるっていうね、名前がね。まあ出てくる方かもしれないんですけど、まあちょっと早く。教授ってすごいなと。がんばりたいなと思いますね」

ひろゆき「(『B'zの松本さんは?』というコメントを読んで)松本さん、グラミー賞か何かを」

小室「そう、松っちゃんはね、これ褒め言葉なんだけど、うまいんだよね、立ち回りがね」

ひろゆき「あ、よかった、褒め言葉って最初に言っといて(笑)」

小室「そう、これ褒め言葉。テクニックもすごくあるし、完璧だし、人間性もすごく体育会系で本当に僕大好きで、いいやつなんですよ。ただ処世術っていうか、優れてて、ホント、フォロー入れつつですよ、あくまでも入れつつですけど、ラリー・カールトンと組むの?(※) うまいねー君、って感じで。

ラリー・カールトンなんてアメリカでもう大御所なわけですよ。そういう人とセッションのアルバムなので、インストゥルメンタル部門っていう、グラミー賞のね」
※松本孝弘氏はラリー・カールトンと共作でCDをリリースし、2010年グラミー賞最優秀インストゥルメンタル・ポップ・アルバム賞を受賞した

ひろゆき「カーリングで金メダルみたいな。陸上じゃないよねっていう」

小室「若干ちょっとズレたところの、それが処世術みたいなのはね、あの人の才能だと思うんですよね。B'zにしてもTVにも絶対でなかったりとか、よっぽどじゃないと」

みつ子「セルフプロデュースが徹底してるよね」

小室「自分の得なところ損なところをすごくわかってる子だよね」

ひろゆき「小室さんはあんまりわかってない感じですか?」

小室「僕はね、ときどき、はっちゃかめっちゃかになっちゃうところがあって」

ひろゆき「やらかしたことが(笑)」

小室「やらかしたことが多いので。“やっちまったな”っていうやつですよね。松本くんはそこらへんはね、うまいんですよね」

みつ子「哲っちゃんは思いつきの人なんだよ。思いつきでパッとやっていく人だけど、やっぱりじっくり練って練って……」

小室「よく松本くんと飲んだりするときは、『俺はね、やっぱり大阪の商人なんだよね』って。あの人は大阪なんだよね。やっぱり基本的には商人だし、そういう血が流れているし、どこかそういうところがある。

僕一応世田谷出身なんで、東京だけど、東京と大阪の……。自分で『俺って商人気質なんだよね』って言ってる。そういう気質なんじゃないかな」

みつ子「やっぱり映画音楽もう一回作ってほしいな」

小室「やりたいけどね。そこらへんも、そういう意味では教授もそういうところの運が強いですよね。戦場のメリークリスマスの監督からラストエンペラーに行ってっていう、流れってあるじゃないですか。

彼の場合は処世術じゃないと思うんですけど、僕はあの松っちゃんの生き抜いていく、まさに処世術だよね、人生の。音楽人生の処世術っていう……」

みつ子「松っちゃんの話長いよ(笑)」

―――


……という感じで、小室哲哉さんが現在の音楽業界をどう見ているのかについて赤裸々に語った興味深いトークでした。

やはり時代を築いた作曲家だけあって、的確に現状を捉えているなぁと感じました。

この他にもマイケル・ジャクソンとの交流についての話や、TMN再始動の展望についての話など盛りだくさんだったのですが、今回はこんなところで。興味ある方はタイムシフト等でご覧ください。




※このエントリは ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet Japan編集部の見解・意向を示すものではありません。
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