山田井ユウキ

「ネットウォッチ@2chネカマ作戦記」から学ぶ、サイト運営の意地と覚悟

2009-02-13 07:00:00

 

builder読者の皆さん、こんにちは。山田井ユウキです。

 

今回はお久しぶりの「ネット黎明期を支えた個人サイトたち」をお届けします。

タイトルの付け方を変えてみましたが、中身はいつも通りなので昔を思い出しながら、あるいは「こんなサイトがあったのかー」という軽い気持ちで読み流していただければと思います。

 

さて、今回ご紹介するサイトは、厳密にいうと“個人サイト”とは趣きを異にするものかもしれません。

なぜならば、管理している人は一人ですが、その成り立ちには大勢の「名無しさん」が関わっているからです。

そのサイトの名は、「ネットウォッチ@2chネカマ作戦記」。

2chで実際に起こったとある騒動をまとめた、いわゆる「2ch系まとめサイト」の祖とでもいうべきウェブサイトです。

その内容はもちろん実際にサイトに飛んでいただき、じっくり読んでもらうのが一番なわけですが、全部読みきるにはとんでもなく時間がかかりますので、とりあえず本記事でその概要を説明しておこうと思います。

 

発端は2001年。

スタートして間もない2chはすでにネットの一角に確かな存在感を放ちながら存在しており、数多くの「名無し」が夜な夜なだべり続けるという、現在とまったく変わらない光景が繰り広げられていました。

その中にある「ネットウォッチ板」で、ある日とんでもない個人サイトが晒されます。

彼の名は古式

31歳のギャルゲーマーにしてネットナンパ師というプロフィールには、もうこの時点で何かやってくれそうな風格さえ感じられました。

……ネットで女性をゲットすべく努力を続ける古式氏でしたが、しかしそう簡単にナンパが成功するはずもなく、業を煮やした彼が次にとった行動は、「自分で出会い系サイトを作り、そこで自分の恋人探しをする」という恐るべきものでした。

コロンブスでも思いつかないような画期的なアイデアは瞬く間にネットウォッチ板で話題になり、2ch住人たちは興奮を抑えながら古式氏の行く末を静観していました。

そのまままったりとしたウォッチが続くかと思われたある日、一人の潜入者によって均衡が破られます。

古式氏に接触を試みたのは、とあるネカマ

この日を境に、古式氏と2ch住人たちとのある意味壮大な物語が幕を開けたのでした――。

 

……ということで、物語のプロローグ風にサイト内容を紹介してみましたが、簡単にいうなら電車男と同じ、2ch発の実話ドラマといったところです。

ただし、美談となって世に出た電車男と違い、こちらは内容が内容ですので、今後もひっそりとネットの片隅で語り継がれていくことになるのでしょうけど……。

さて、このサイトの面白さは結局のところご覧いただくのが一番なのでこれ以上は語らないことにしますが、今回の本題はここからです。

 

内容云はさておき、この「ネットウォッチ@2chネカマ作戦記」には個人的に驚いた点がいくつかありましたので、そちらをご紹介していきましょう。

まずは、

そもそもまだサイト自体が存在していること

です。

というのも、世の中には大量の個人サイト・ブログが存在していますが、その多くはすでに死んでいるも同然のサイトばかりなんですよね。

レンタルサーバを借りてサイトを作ってみたけど飽きて放置しているとか、ブログならアカウントをとって初めてみたけどすぐやめてしまってそのまま……とか。

で、こうした残骸は死に体となりながらもURLだけは生きているというゾンビ状態でネット空間を漂っています。

無料レンタルサーバとかブログなら、放置していてもとりあえず消されることはないですからね。

しかし、「ネットウォッチ@2chネカマ作戦記」はちょっと事情が違います。

 

このサイトはURLを見るとわかる通り、独自ドメインを取得しています。

独自ドメインと言うのは「×××.com」みたいなシンプルでかっちょいいURLのことで、これを取得し、さらにその後も存続させるためには維持費用を支払い続ける必要があるのです。

ということはつまり、このサイト、今も管理人が自腹を切って管理しているわけです。

サイトとしてはもう8年前もに完成し、終了しているにも関わらず、です。

 

僕も自分のウェブサイトを管理して7年以上経ちますが、それは日記などの自分自身に関するコンテンツがメインだから更新し続けられるのであり、このネカマ作戦記のような「完結したコンテンツ」を8年も維持できる自信はありません。

管理人さんの極悪太郎さん(すごい名前だ)のサイト管理者としての責任感と情熱に深く感じ入るばかりです。

 

で、次にすごいのが、

サイトのコピーライト表記。

どこにあるかというと、

トップページの一番下。

ちょっと見づらいので書き出しますと、

「極悪太郎 2001-2009」

となっており、2009年になった現在でもちゃんと管理されているということがわかります。

このコピーライト表記って、企業のサイトでさえ更新するのを忘れていて未だに「2001-2008」とかになっていることもザラなんですけど、さすがは極悪太郎さん、そのへんもぬかりがありません。

 

とまあ、こういった行き届いた管理と、もともとの知名度の高さからか、

未だに掲示板に書き込みが絶えない

というのはすごいことだと思います。

トップページに掲示板へのリンクがあるのでぜひ飛んでみてください。

毎日のように新規の書き込みがあり、業者の怪しげなスパム投稿は一つもありません。

 

だいたいブログやサイトが死に体になった後って、

放置されたコメント欄や掲示板がスパム投稿で溢れ返る

ことがほとんどなんですよね。

そういう荒れ果てた廃墟のような掲示板にまともなお客さんは寄り付きません。

“スパムがない”っていうのは、当たり前のように思えて決して当り前の状態ではないのです。

この点からも、極悪太郎さんの細やかな気配りがうかがえます。

 

……いろいろと書いてきましたけど、実はよく探すと極悪太郎さんの日記へのリンクがトップページから張られており、現在でも更新が続けられています。

仕事でもないのに8年間同じサイトを維持するということのすごさは、たぶんブログを書いている方ならわかるんじゃないかと思いますが、そんな極悪太郎さんの姿勢から学べることも多いはず。

 

――かつて「ネカマ作戦記」に関わった「名無し」たちは、あるいはもうそんな出来事があったことも忘れてそれぞれの道を歩んでいるのかもしれません。

しかし、8年前に2chで実際にあった祭りの記憶は、今もなお極悪太郎さんという優れた管理者の手によって風化することなく語り継がれているのです。

 

ではまた来週。

 

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※このエントリは ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet Japan編集部の見解・意向を示すものではありません。
  • 5件のコメント
#1   2009-02-13 21:51:23
世の中にはすごい人もいるもんですねぇ(尊敬
#2   2009-02-14 00:36:02
やっぱり2ch最凶板はnetwatch板ですね。わざわざ飲み会にまでヲチ民が進入
(リンク先のページによる)して晒し回るなんて、ドン引きですわ。
#3   2009-02-22 23:24:36
作戦記に纏められているネカマ釣りは、ネットウオッチ板で純然たるウォッチをしていた者達から強く批判されましたし、現在でも批判の対象となっています。はっきり言えばネカマ釣りや作戦記は蛇蝎の如く嫌われています。
なかなか守られないのも事実ですが、ウオッチ先に突撃するような干渉行為は板のローカルルールとして掲げられています。作戦記の内容が実行されていた時には既にローカルルールが存在しました。
(ウォッチ先への突撃がウォッチの寿命を縮めたり悲惨な結末を迎えたりといったことが多かった時期があり、その反省からローカルルールが策定されました)。

ネカマ作戦記に対するウォッチ板住人が持っている不満の1つに「せめてネットウォッチ板の看板を外せ」というものがあります。実際管理人に申し入れた人もいますが、完全に無視されています。
申し入れの根拠は以下の通りです。

・当時既にウォッチ対象に干渉することはローカルルール違反であった
・はっきり言って犯罪の域に達していると言っても過言でない
・このような行為をウォッチ板が日常的に行っていると思われると困る

実際、作戦記を読んでウォッチ板でネカマ釣りをしようとする輩が定期的に現れます。
その度にウォッチ板の住民がストップをかけています(かなり激しい言葉で非難する人もいます)。

何かで紹介されると、作戦記が悪趣味・犯罪的であっても面白いということもあって、一時的にネカマ釣りが増えます。そうでなくともネットウォッチ板の誤解が広まります。
現在でもローカルルール違反を犯して対象と接触する輩もいますし、ネットウォッチという行為自体が悪趣味であるという事実もあります。それらに対して反論するつもりはありません。

が、「ネットウォッチ板はネカマ釣りをして人を陥れるのが当たり前のように行われている」と誤解されるような作戦記をウォッチ板との関係性を示すことなく紹介することは本当に迷惑です。
極悪太郎が意地と覚悟をもって管理を行っているというのであれば、その意地ので晒され続けているネカマ釣りの影響により定期的にネカマ釣りに悩まされるウォッチ板住人はその意地の被害者と言ってもいいかもしれません(最大の被害者は釣られた過去を現在でも晒され続けている主人公でしょうが)。

個人サイト・ブログで「こんなサイトを見つけたよ」とやる分には仕方ないと思います。が、こういう多くの人の目にとまる場で発表するのであれば、作戦記が進行されていた時点での状況や、ウォッチ板との関係性について検証する必要があるのではないでしょうか。
(作戦記でも記されていますが、いわゆるsage進行で多くの住民の目に触れないよう気をつけ、注意を受けると他板に逃げてまで釣りを続けるという、ウォッチ板にも他板にも迷惑をかけていたことがみてとれます)

実際、この記事によりまた(そう、「また」です)「ネカマ作戦記」と「ネットウォッチ」が結びつけられ喧伝される形になっています。
こういった状況を作っていること、記事の内容がウォッチ板にとって不利益にしかなっていないことなどについて何らかの形で見解を示して頂けないでしょうか。


因みにコピーライトの表記についてですが、更新が行われていない部分であれば 1999-2006 などであっても問題ありません。むしろこの形の方が正しいと言えます。また、修正年度は書かず、発行年度のみでも書式は満たしています。作戦記が現在でも生きたサイトである、という意味でコピーライトの表記に触れたのは理解できるのですが、表記についての誤った認識が広がるのは問題であると思いますので敢えて指摘させて頂きました。
#4   2009-03-17 12:07:50
ネット事件板の頃は調子に乗ってる奴にソーシャルアタックかます板だったけど、
今は単に突っ込み入れるだけの板に過ぎず、やってることはコメント2と同じ。
「○○は××してて引くわ」と言い合うだけの板。

いま2ちゃん最凶はゲーハー板な。
嫌いなゲーム機の新作が出ると攻略wikiをウイルスまみれにするとか日常茶飯。
#5   2012-11-23 16:31:10
今もなお特定個人の恥な記録を晒している神経が分かりません。極悪太郎氏は管理をするという点では優れているのでしょうけど、それ以前の問題でどうしようもない屑としか言いようがありませんね
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