駅の看板の変化にみるユニバーサルデザインの浸透とウェブへの影響

2008-10-06 23:44:48

首都圏、関西圏で普段通勤通学に電車・地下鉄を使っている人なら、気が付いている人もいるかもしれません。最近駅の案内表示(看板)が、地の色が濃色(濃紺・黒に近いグレー・黒に近いグリーン等)で文字が白色のデザインに変更されたり、ホームの入り口近くの柱や階段・エスカレーターの出入り口の壁に大きく行き先が掲示されるようになりました。以前と比べて、表示がすぐ見つかり、かつ読みやすくなり、迷うことが減ってきたという気がしませんか。あと、駅以外の場所でも標識・案内に日本語以外に英語・中国語・ハングルの表記がなされることが増えてきました。これらは視覚障碍者・弱者の方、日本語以外の言語を母国語とする方に対する配慮というのもありますが、それだけではなく誰に対しても使い勝手がよい街や施設を実現していこうという考え方のもとに行われている活動の一環です。できるだけ多くの人の不便をなくし、全ての人にとってより快適・容易にモノや施設を活用できるようなデザイン手法はユニバーサルデザインと呼ばれます。ユニバーサルデザインの採用により、生活がどんどん快適になってきています。

こういったコンセプトは何も現実空間の施設やプロダクトに限ったものではありません。ウェブはユニバーサルデザインの考え方を具現化するのに最も効率的な情報媒体・メディアなのです。

印刷された文字を視覚障碍の方に読んでいただくには、点字もしくは朗読素材の作成が必要となります。多くの公営図書館には点字図書・朗読素材が常備されていますが、その数はごくわずかなものにとどまっています。逆に音声だけのメディアであるラジオ放送は、聞き取って書き写さない限り、聴覚障碍の方には理解しようがありません。つまり、印刷や放送は、あらゆる人を対象とするためには別のメディアへの変換が必要となるメディアです。

これに対してウェブ、特にウェブコンテンツの多くを占めるHTMLファイルは、多様なメディアへの変換が容易な媒体です。というのも、HTMLは何らかの変換を経て活用されるのが前提となっているからです。ウェブブラウザは、HTMLファイル(ソース)を視覚的なものに変換するソフトウェアです。ブラウザは、目で見るというユーザを前提としてHTMLファイルを変換しますが、視覚障碍者に対しては目以外の感覚器官で内容に接するという前提でHTMLファイルを変換するソフトウェアや、それに対応するハードウェアが存在します。耳で聞くことを前提とした、音声読み上げブラウザ、触覚で理解することを前提とした点字ディスプレイなどがそれです。

つまり、ウェブコンテンツはただInternet ExplorerやFirefoxといったブラウザ経由で閲覧されるだけではないという認識を持つことが重要となるわけです。このことは、以前論じてきた、コンテンツとデザインの分離と大きく関係するわけなのですが、その点に関する解説は次週また。

※このエントリは ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet Japan編集部の見解・意向を示すものではありません。
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