コンテンツとデザインの分離とは何か?

2008-08-25 21:35:56

前回のエントリで,ウェブのもつ特徴の中で見過ごされてきた3つの点を紹介しました.今日はその中でも「多様なユーザーインターフェイスを前提としたデザイン思想」について解説したいと思います.

突然ですが,あなたの家にあるテレビはハイビジョン対応ですか?別にオリンピック前にテレビを買い換えたかどうか,なんてことを確認したいわけではありません.私が知りたいのは,テレビ画面の縦と横の長さの比率です.ついこの間まで,テレビの画面というのは横対縦の比率が4:3でした.それがハイビジョンの規格にあわせて最近の薄型テレビのほとんどは横対縦の比率が16:9となっています.つまり画面が少し横に長くなったのですね.これによってどのような影響が起こったのでしょうか.まず,アナログ放送用として制作された番組は,横長の薄型テレビで見ると左右にあまりが出てしまいます.逆に16:9のハイビジョンで製作された番組を昔ながらのテレビで見ようとすると,左右が欠けたままになるか縮小しなければなりません.このことからわかるのは,テレビは決まった形のディスプレイで見られることが前提としたコンテンツだということです.

一方ウェブサイトはどうでしょうか.あなたが自宅で使っているパソコン,会社で使っているパソコン,そしてiPhone,みんな画面の大きさも,下手をすると縦横の長さの比率も異なっているかもしれません.それだけではありません.同じディスプレイであっても,ウェブブラウザが表示されている大きさは,時によりまちまちです.全画面で表示することもあれば,画面の半分以下の大きさになっているときもあります.にもかかわらず,ウェブサイトの内容はどんな画面でも見やすく表示されています.画面の大きさや表示させているウィンドウの大きさにより,改行の位置が変わったり,文字の大きさが変わったりします.つまり,同じ内容=コンテンツでありながら,表示される環境によりレイアウトが異なるのです.もともと多様なディスプレイ環境を前提とするウェブサイトでは,環境にあわせてレイアウトが変わることがあたり前となっています.この考え方がコンテンツとデザインの分離なのです.

コンテンツとデザインが分離されていないと,どのような不便が生じるでしょうか.それは同じ小説の単行本と文庫本を比べてみるとわかります.多くの小説は,最初はA5版などの大きさの単行本として製作されます.その中で多く売れたものがコンパクトな文庫本として再度発売されるわけですが,文庫本は単純に単行本の内容をそのまま縮小して製作するわけではありません.小さな版形にあわせ,文字やイラストレイアウトや改行・改ページの場所など,細かな部分で数多くの修正が施されます.だからこそ,あのようなコンパクトな大きさでも,気軽に本文を楽しむことができるのです.

単行本から文庫本への切り替えは1回きりです.ところが,ウェブサイトは常に多様な環境からアクセスされます.全ての環境に対応したコンテンツをあらかじめ用意するわけには行かないのです.そこでウェブではコンテンツとデザインが分離されるようになったのです.次回はコンテンツとデザインの分離によって生まれたウェブ技術について解説します.

※このエントリは ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet Japan編集部の見解・意向を示すものではありません。
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