Amazon EC2の機能を詳しく見てみる(4)--ストレージ、リージョン&ゾーン、課金
「リージョン」と「ゾーン」
Amazon EC2では、インスタンスを実行する場所として、「リージョン」と「Availability-zone(以下、ゾーン)」という概念があります。
リージョンは、それぞれ全く独立の世界になります。現在、リージョンとしては、「us-east-1」と「eu-west-1」の2つがあります(リージョンにより、使用料金が少し異なっている)。
一方のゾーンは、リージョンに中に複数あり、それぞれのゾーンは物理的に隔離された環境にあります。すなわち、ゾーンというのは、物理的な障害(停電や災害など)の影響を受ける範囲ということになります。ゾーン内のインスタンス間通信とゾーン間のインスタンス通信では、速度が異なります。
Amazon EC2における「リージョン」と「ゾーン」の概念。
インスタンス内でリージョンとゾーンに関する情報を取得すると、以下のように見えます。
# ec2-describe-regions REGION eu-west-1 eu-west-1.ec2.amazonaws.com REGION us-east-1 us-east-1.ec2.amazonaws.com # ec2-describe-availability-zones AVAILABILITYZONE us-east-1a available us-east-1 AVAILABILITYZONE us-east-1b available us-east-1 AVAILABILITYZONE us-east-1c available us-east-1 # ec2-describe-availability-zones --region eu-west-1 AVAILABILITYZONE eu-west-1a available eu-west-1 AVAILABILITYZONE eu-west-1b available eu-west-1
リソースによって、通用範囲が異なります。以下に各種リソースの通用範囲を示します。
| AWS Account | Global |
| DevPay Product Codes | Global |
| EC2 System IDs (*1) | リージョン |
| インスタンス | ゾーン (*2) |
| AMI | リージョン |
| セキュリティグループ | リージョン |
| SSHキーペア | リージョン |
| Elastic IP Address | リージョン |
| EBSボリューム | ゾーン (*2) |
| EBSスナップショット | リージョン |
(*2) IDは、リージョンワイド
APIの観点からは、リージョンは、APIを投げる先が異なり、ゾーンは、APIのパラメタで指定することになります。
ついでに「課金」についても考えてみる
課金については、APIにはまったく現れてこないので、Amazon EC2互換システムの定義にもよりますが、サポートしなくてもかまいません。本連載で作成するシステムについては課金について考慮していません。しかし、Amazon EC2は使っただけ課金されるのが特徴のひとつでもありますので、一応、課金についても少し触れておきましょう。
Amazon EC2では、以下に示す項目について課金しています。
- インスタンスの起動している時間(hour)
- EC2外部とのネットワーク転送量(in/out):inとoutで料金が異なる
- 他ゾーンのインスタンスとのネットワーク転送量(in/out)(プライベートIPを使った場合)
- パブリックIP、Elastic IPを使用した場合のネットワーク転送量(インスタンス間でも)
- EBSボリュームのストア量(GB-month)
- EBSボリュームに対するI/Oリクエスト数
- EBSスナップショットのストア量(GB-month)
- EBSスナップショットのPUTリクエスト数(save)
- EBSスナップショットのGETリクエスト数(load)
- 未使用Elastic IP Address (hour)
- Elastic IP Address の remap数(per month)(課金されるのは一定数を超えた場合)
もし、これを実装するのであれば、結構いろいろと考える必要があります。例えば、EBSの使用量については、実際には1日でも課金額は加算されていきます。一体、どのタイミングで使用量を取得するようにすればよいのでしょうか。また、ネットワーク使用量にしても、Amazon EC2外部やゾーン間の通信をカウントする必要がありますが、どこでどうやってカウントすればいいのか……といった点です。
もうひとつ課金の話題に触れておきましょう。Amazon EC2では、AMIの作成者が独自の課金を行い、実行者から徴収する仕組みが用意されています。そのようなAMIのことを「paid AMI」と呼びます。ユーザーからの料金の徴収や、作成者への支払いは、AWSの別のインフラを使用して行われ、AMI作成者に手間はかかりません。元々、AmazonはECサイトの運営が本業ですから、このあたりはお手のものです。こうした利便性がAmazon EC2の上で動くサービス群(エコシステム)の充実を促しています。
本連載では、自分たちだけで使う規模のちょっとした互換システムを作成するところまでを扱いますが、もし、Amazon EC2に対抗するクラウドシステムの提供まで考えるとなると、こうしたインフラも必要となってきます。
筆者紹介
VA Linux Systems Japan 高橋浩和・小田逸郎・箕浦真(MAIL)
各種OS、仮想化、Linux Kernelおよびオープンソースにおける高度な技術と経験を基盤とした、技術コンサルティング、開発、インテグレーションとソフトウェアソリューションを提供。VA Linuxは、2000年9月に設立され、Linux Kernelや仮想化に関するグローバルレベルの技術力をベースにLinuxおよびオープンソース業界を牽引する中核企業として成長を続けている。
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