UbuntuはWindowsの代わりのOSになり得るか

文:Christopher Dawson 翻訳校正:石橋啓一郎
2009-11-06 12:47:00
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 私はこの記事をギーク向けに書いているつもりはない。Windows 7とServer 2008の優れた品質が明らかになったとはいえ、実際に、Ubuntuは現実的なWindowsの代わりとして多くのユーザーが使えるものだ。

 1年半ほど前に、ZDNetのAdrian Kingsley-Hughes氏は「Ubuntuは汎用的なLinuxディストリビューションになりつつあるのか」という命題について検討する記事を書いた。そして、その記事では「Ubuntuが汎用的なLinuxディストリビューションへと変貌をとげつつあるのは悪いことではない」と結論された。もっともな結論だろう。しかし、CanonicalのMark Shuttleworth氏は、米国時間10月26日に行ったプレス向けカンファレンスコールの場でこのアイデアをさらに発展させた。

 「当社は開発者のエコシステムづくりに、すでに多くの取り組みをしてきた。そして今、開発者ではない消費者のエコシステムに、これまで以上に関心を寄せている。これこそが、OEMに関する取り組みを進めている理由だ」とShuttleworth氏は述べた。同氏は「UbuntuがPCにプレインストールされ、Dell.comや他のOEMベンダーから手に入るようになり、UbuntuがWindowsと並んでデフォルトOSの選択肢になる」ことが狙いだと明言した。

 同氏はAppleには言及しなかった。Appleは、多くの消費者にとってWindowsに代わる唯一の選択肢だ。この業界で話題に上る限りでは、Linux(あるいはUbuntu)はおよそ家庭向けではない。Appleはすでに素晴らしいハードウェアのエコシステムを作り上げており、またユーザビリティの面では王座に君臨している。そうしたAppleと競合することは意味をなさないし、以下のNovellのCMは、IT業界の外では話題にならないだろう。

 Ubuntuが自分で試してみるだけの技術的知識がある人向けのデフォルトLinuxの域を超えて、「Windows の代わりとなるデフォルトOS」になるというShuttleworth氏のビジョンが実現するだろうと私が思う理由はなんだろうか。それは、Shuttleworth氏がこのアイデアを明確にプラットフォームのビジョンと結びつけていることだ。もしUbuntuがユーザーが手にするすべてのデバイス(多くの消費者の目の前から徐々に消えていくノートブックPCの代わりに、今後2〜3年で登場するであろう、Intelチップを採用していないスマートブックや新しい種類の携帯型デバイス)で動いていれば、認知度は後からついてくる。

 PC市場は明らかにWindowsのものだ。だが、どれだけWindows 7の出来がよくても(Shuttleworth氏ですらWindows 7はいいOSだと認めている。Ubuntuと競合するに足るというのだ)、われわれ(消費者も技術屋も)の眼前にはVistaで得た教訓がある。Microsoftがどんなに優れた最新の製品を出しても、その代わりになるものがあるということだ。例えばWindows XPもその1つだ。われわれがアップグレードする必然性はない。

 しかし、この「PC市場」は変貌を遂げつつある。Windows Mobileは出来が悪い。MicrosoftはARMプラットフォーム版のWindowsを開発する予定は立てていない。クラウドがもてはやされているが、それはコスト削減の面からではなく、ビジネスの文脈で価値が見いだされているためだ。Ubuntuはこれらすべての分野に積極的に進出しており、(10月29日に発表された)最新版の高度に進歩したUbuntu OSには、多くのテクノロジーが詰まっている。

 Microsoftがここ数年で最高の出来のOSを(サービスパック1や2が出る前のものとしては最も安定した、最高の製品だと言う人もいるだろう)作らざるを得なかった理由は何だろうか。競争だ。これには、Appleとの競争だけでなく、オープンソースの考え方が広がっていることも関係している。DRMをかけずに音楽を発表しているアーティストは多数いる(そして同時に利益をあげてもいる)。書籍は無料で広く出回っている。コンテンツはあちこちにあり、その多くは無料だ。従って、代価を支払う必要のあるWindowsは、無料のものよりもずっと出来がよくなくてはならない。一般消費者にとっても、プロフェッショナルにとっても、CIOにとっても、競争は味方だ。

 MicrosoftはデスクトップPC分野では支配的な存在であり続けるだろう。しかし、人々はさまざまな手段でオンラインのコンテンツやクラウドベースの情報源にアクセスしており、そこからは、デスクトップPCの重要性は低下しつつあることが見て取れる。Ubuntuは、一般的な消費者なら自分がUbuntuを使っているとは認識しないうちにモバイルインターネットデバイスやネットブック、キオスク端末、電話、仮想化OS、スマートブックなどの分野で収益を上げる準備が整っている。AppleやMicrosoft、他のLinuxディストリビュータがそんなことを言えるだろうか。競争はわれわれの味方だが、ユビキタスプラットフォームは、どんな環境にも簡単に移植できる次世代のキラーアプリケーションを作れる開発者の味方なのだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ