Pagesアップデートで判明、Appleが取り組む「EPUBでビデオ」

海上忍
2010-08-31 08:00:00
Appleが、オフィススイート「iWork '09」をアップデートし、ワープロソフト「Pages」にEPUBエクスポート機能を追加した。ビデオの埋め込みもサポートする同機能について検証する。
最新特集【一覧】

H.264以外のムービーも埋め込める

 PagesのEPUBエクスポート機能は、いくつかの制限事項さえ了解しておけば、事前知識は特に必要ありません。メニューバーから[ファイル]→[書き出す...]を選択し、現れたシートで「ePub」タブを選択、タイトルや作成者名などの情報を入力する程度です。エクスポート時に変換できなかった、もしくは調整された要素については、ダイアログで警告されます。

 動画の埋め込みは、iLifeアプリと連携するためのツール「メディアブラウザ」またはファインダーから、文書の任意の位置へドラッグ&ドロップします。ただし、デフォルトではフローティングオブジェクトとして埋め込まれるため、ドラッグ&ドロップするときには「Command」キーを押しながら作業することがポイントです(フォーマットバーの「文字列と一緒に移動」ボタンをクリックしても可)。

 これだけでムービー埋め込みの作業は完了です。あとは、iTunesを利用してiPhoneやiPadに転送すれば、EPUBファイルとしてiBooksで閲覧可能になります。

Pagesで編集中の文書に、「Command」キーを押しながら動画ファイルをドラッグ&ドロップすればOK Pagesで編集中の文書に、「Command」キーを押しながら動画ファイルをドラッグ&ドロップすればOK ※クリックすると拡大画像が見られます
フローティングオブジェクトのままでは、埋め込んだ動画をエクスポートできない フローティングオブジェクトのままでは、埋め込んだ動画をエクスポートできない

 動画の再生は、iPadとiPhoneとでは異なります。どちらも動画上のボタンをタップすれば再生が開始されますが、iPadでは文書を表示したまま再生できる(拡大表示可)ことに対し、iPhoneでは必ず別画面に遷移したうえで再生が開始されます。

 動画の品質ですが、エクスポートに要した時間からすると、再エンコードは行われていないようです。埋め込みに利用した動画のコーデックはMP4(320X240、29.97fps、音声はAAC)、WebKitのvideoタグでサポートされているH.264ではありませんが、エクスポート時に警告を受けることはありませんでした。

 念のため、EPUB編集ツール「Sigil」を利用し、Pagesからエクスポートして生成したEPUBファイルを開いてみましたが、動画を埋め込んだ位置にはdivタグで囲まれた動画ファイル名があるだけでした。EPUBファイルをZIPツールで解凍して調べたところ、拡張子が「.MP4」から「.MOV」へ変更されていたものの、ファイルサイズは完全に一致していました。

 以上を勘案しますと、これまでHTML5のvideoタグでH.264ムービーを埋め込めることが知られていたiBooksですが、実際にはH.264以外のムービーも可能だといえます。サポートされるコーデックについての公式資表はありませんが、iOSでサポートされるものであれば、再生できる可能性は高いと考えられます。

 このように、現在はAppleの独自機能により実現されているEPUBでの動画サポートですが、やがてはHTML5を利用した標準技術での対応が進むはずです。Appleは7月にIDPFのメンバーとなりましたし、IDPFも次期バージョンのEPUBではHTML5をサポートする方針といわれています。AppleもIDPFメンバーになったことですから、今後は標準技術に収れんされる方向へ進むことを期待したいと思います。

iPhone 4(iOS 4.0.2)のiBooksで動画を埋め込んだEPUBを表示したところ。動画の再生は別画面に遷移したうえで行われる
iPhone 4(iOS 4.0.2)のiBooksで動画を埋め込んだEPUBを表示したところ。動画の再生は別画面に遷移したうえで行われる
画像説明 動画を埋め込んだEPUBを「Sigil」で開いたところ。単にdivタグで囲まれた動画ファイル名があるだけだった ※クリックすると拡大画像が見られます