電子書籍と印刷物を比較:出版の条件、初期投資、流通のしくみ
電子書籍の概念は曖昧だ――そう前回の「EPUBフォーマットでの電子書籍の出版に取り組みます」で書きましたが、紙の印刷物と比較してみると、その実体が浮かびあがってきます。今回は、紙の印刷物と電子書籍を比較しつつ、電子書籍に取り組む際の留意点を備忘録がてらまとめてみたいと思います。
画像の扱いをどうするか
電子書籍において、扱いが難しいのは図版(画像)だろうと考えています。その理由が、紙の印刷物と比較したときの電子書籍デバイスの「PPIの乏しさ」です。
PPIは「Pixel Per Inch」の略で、文字どおり1インチあたりのピクセル数を意味します。この値が高いほうがきめ細かい、つまり高精細な画面となります。一般的にPC用モニタが72ppi、家庭用プリンタが150〜200ppi。しかし、電子書籍ビューアと目されるiPhoneやKindleは、いずれも150ppi前後。商業印刷物は300〜350ppi程度ですから、ハードウェアとしてのスペックの段階で明確に差があります。
この差は、画像に対し顕著に現れると考えられます。アンチエイリアス処理という対処法がある文字データはさておき、JPEGなどのビットマップ画像は紙へ出力した場合と比較して質感は落ちるはずです。漫画などの線で構成されるコンテンツは、SVGやPDFという拡大/縮小が自在なベクター画像で解決……できればいいのですが、画面のピクセル数によってはジャギーの発生が考えられます。紙とは異なりデバイスによって解像度に差がある電子書籍の場合、画像データをどう扱うか、どうすればキレイに見せることができるかは、今後の検討課題となるはずです。
| ピクセル数(横×縦) | 解像度 | |
|---|---|---|
| iPhone | 320×480 | 163ppi |
| iPad | 768×1024 | 132ppi |
| Kindle 2 | 600×800 | 167ppi |
| Kindle DX | 824×1200 | 153ppi |
紙とはまったく異なる「流通のしくみ」
画像の扱いに関しては、紙と真っ向から競合する形で電子書籍をとらえましたが、うまく共存できるかもしれません。むしろ、互いの得手不得手を補いあうような形で落ち着けばいいのですが。
相違点は多すぎて列挙しきれませんので、大まかな項目分野のみピックアップします。
- コメント(3件)
builder編集部です。いつもご愛読頂きありがとうございます。
ご指摘ありがとうございました。
執筆された海上氏の原稿では「制作費+原料+…」となっており、制作費に原稿料が含まれているという認識でしたが、編集時の認識ミスから「制作費+原稿料+…」となっておりました。
該当個所を修正させて頂きました。
読者の皆様ならびに関係各位に深くお詫び申し上げます。
今後もご愛読頂ければ幸いです。
モニタ等の「解像度」は「出力解像度」です。
「商業印刷物は300~350ppi」というのは「画像解像度」の事です。
またハード的な画像の再現方法にも品質感は依存する部分もあります。
単位は ppi でも dpi でも良いですが、全く異質なものを単純に数値だけ比較しても意味がありません。
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