全てにイエスと答えた男--映画『イエスマン』原作者が語る新生活のススメ
スパムメールにも「イエス!」と返信
人生は決断の連続だ。残業依頼、お昼のメニュー、飲みの誘い。勧誘、依頼、無茶な要望など、僕たちは毎時毎分なにかを決断している。
そんな事柄すべてに対し「イエス」と答え続けたら――これを実践したのがロンドン在住の作家、ダニー・ウォレス氏だ。
ウォレス氏の実話を基にした著作『Yes Man』は、「イエス!」と言い続けたことで巻き起こるさまざまな出来事を描き、2005年7月に発売されるや大ヒットを記録した。
本作はジム・キャリー主演(カール・アレン役)で映画化が進み、2008年12月に全米で同名のタイトル『Yes Man』が公開されると初登場1位、こちらも大ヒットとなった。
日本では『イエスマン“YES”は人生のパスワード』として3月20日に公開される。本作の公開を前に、ウォレス氏にお話を伺った。
「車、買わない?」「イエス!」
映画『イエスマン“YES”は人生のパスワード』の原作者で、共同製作者のダニー・ウォレス氏
さて、冒頭の話に戻ろう。人生は決断の連続だが、全てに「イエス」と言い続けるのは正直しんどい。特にbuilder読者のようなIT技術者が職場で「イエス」と答え続けると――「残業してくんない?」「イエス!」、「10年は泥のように働いてくんない?」「イッ、イエス……」――考えただけでも身の毛がよだつ。
ウォレス氏はIT技術者ではない。しかし、IT業界と同じくらい、あるいはそれ以上に多忙を極めるであろう業界にいた。
英国のBBC放送に最年少プロデューサー(22歳!)として抜擢されたウォレス氏は、『The Mighty Boosh』のようなラジオコメディ番組を製作し、カルト的な人気を獲得した。その後はテレビ業界に活動の場を移し、BBC放送でニューコメディ部門の開発の長を務めたが、他の仕事を追求するために職を辞している。
そんなウォレス氏にイエスと言い続ける秘訣を聞いた。
「もう少し多く『イエス』といってみよう――という思いがあればそれでいい」とウォレス氏はいう。「週に1回だけでも、きっかけとして、その考えに慣れる為に」イエスといってみよう、というわけだ。
「これには献身的な取り組みが必要です。でもやめようと思うと、ある時、突然良いことが起こるのです。それは予想もしていないことで、なにか魔法のようですね」
イエスと言い続けた結果、彼の周囲に奇妙な出来事がにわかに増え始めた。ウォレス氏は続けて語る。
「イエスと言い始めてからいろいろと奇妙なことが起こりました。でも、その中には素晴らしい出来事もありました。起こったことの中で最も良かったことは、ある女性に出会ったことです。彼女は既に『イエスガール』で、のびのびとしていて、楽しく、当時の私とは違った生き方をしていました」
「でも、私がイエスと言い続けることによって、普段やらないようなことにチャレンジする勇気もわいてきて、それによって親しくもなりました。本や映画のネタバレになるので何が起こったかはお話ししませんが、たったひとつの言葉が人生を変えてしまうというのは驚くべきことです」
もちろんイヤなこともたくさんあった。
「すべてのスパムメールにイエスと答えたこと、パーティーで『車を買わない?』と聞かれてイエスと答えるハメになったこと、週末に地球の反対側まで旅行することになったこと……イエスと言ったことに対して、とんでもない額をクレジットカードで払いました」
金銭的にも負担が重かった「イエスマン」という試み。しかし、ウォレス氏は「それでもやめませんでした」という。
「(イエスと答えることで)ちょっとした魔法を毎日の生活に感じ、励まされました。現在は『全てにイエス』という生活をしていませんが、『イエス』という回数は(以前に比べて)増えています。なので、皆さんもすべてに『イエス』という必要はありません。つまむ程度に『イエス』を自身の生活に取り入れてみたら良いのではないでしょうか」
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