IE 6悲喜こもごも
IE 6対応に泣かされた時代があってだな、あの頃のワシらは2週間は徹夜したもんだ…そんな昔話をできる時代は必ずくる。そして、そんな昔話は誇張して伝えられるだろう。2008年の年末、デザイナーの矢野りんさんにIE 6との思い出を寄稿してもらった。
12月16日、Internet Explorer 6のシェアが20%ジャストになったという記事を掲載した。記事のコメント欄にもあるとおり、企業のイントラネットにはIE 6のみサポートするという業務システムが多数存在する。私たちはいつIE 6にさよならするのか、あるいは、さよならできるのか。ウェブデザイナーの矢野りん氏にIE 6対応の思い出を寄稿してもらった。(編集部)
デザイナーのIE 6
CSSを使えば背景画像を駆使して表現力の高いページが作れる――そう期待していた筆者が本格的にCSSコーディングの練習を開始したのは2006年初頭(遅い!)。当時、JeditとCSSEdit、レンダリング確認はSafariという環境で作ったページを、IE 6で確認したときの衝撃は今も記憶に新しい。
リソースどおりに作ったはずが、もうむっちゃくちゃなのである。
入門者である自分にブラウザ側の問題を疑う知恵などなかった。ただ、自分がバカだからこうなったのだ。もうウェブの仕事に関われないかもしれない。無理。――と、CSSを学ぶ心が折れたものだ。
そして今、CSSレイアウトに関するトラブルの原因がIE 6というブラウザの「性格」にあることは理解できた。だが、あの頃の自分のようにIE 6のおかげで気持ちが折れたデザイナーは少なくない。冗談抜きでかなりのグラフィックデザイナーをふるいにかけたのではないだろうか。
しかし、今となって考えればそれは悪いことばかりでもなかった。
IE 6対策という試練は、現在の「マルチデバイス対策」という本題への一次テストみたいなもんであった。また、筆者のようなビジュアル重視型デザイナーには、「コーディング作業の質」を考えさせるきっかけにもなった。
正直、IE6対策という作業を経験する前までは、コーディングなんて簡単だと思っていた。とんでもないことである。千差万別の環境で表示の品質を確保し、さらに保守管理しやすいつくりを実現する。根気と情報収集能力、思考力などが求められる凄い仕事だ。
一方で、優秀なコーディング担当者を長時間に渡ってIE 6対策作業にかかずらわせるのは非生産的だとも感じていた。その作業さえなければ、もっとサイトの性能を上げる工夫ができたかもしれない。勉強する時間もとれたかも。いや、もっと言えば、もうちょっと寝れたかも。だから、もしこのままIE 6のシェアが下がり続け、いつか対策を検討する必要がなくなれば、サイト制作者の生活の質が向上するという期待もある。
ただしそれは対PC用ブラウザという仕事を前提にした話だ。Webkitがカバーしない情報取得デバイスはいくらでもあるのだし。これからも表示品質保持の努力は続く。でも大丈夫。私たちにはIE 6が養ってくれた我慢強さと冷静さがあるから。
ありがとうIE 6。さようならIE 6――と言い切るにはまだ早いか。
矢野氏はブログ「ものづくりにっぽん」で、IE 6だけでなくIE7と8も擬人化している。
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