アドビ仕様のPDFでは未来が明るくない--PDFのチャンピオン、標準化を語る
アドビの経営陣はPDFの新バージョンをリリースするたびに、このフォーマットを標準化すべきか否かを天秤にかけていたという。その秤がなぜ、標準化に傾いたのか?PDFのチャンピオンが語ってくれた。
今年の7月3日、Adobe Systemsが開発した電子文書フォーマットであるPDF(Portable Document Format)が正式にISOによって標準規格として承認された。正式名称は「ISO 32000-1 Document management - Portable document format - Part 1」。これによりPDFフォーマットはISOの管理下に置かれることになった。
今回、同社のAdvanced Technology LabosでSenior Principal Scientistを務めるJim King氏に、Adobeの考えるPDFの役割や、ISO承認に至るまでの経緯について話を聞いた。King氏は今回のISO 32000認定に際して中心的な役割を担い、特に技術的な部分を全体に渡ってサポートしていた人物である。
「PDFのチャンピオン」ことJim King氏
天秤が標準化に傾いた
まずそもそも、AdobeがこのタイミングでPDFのフル仕様を標準化しようと決断した理由は何だったのだろうか?
King氏は、標準化するか否かという判断基準は、ちょうど天秤のようなイメージだと語っている。すなわち、天秤の一方はPDFに関する資産を完全にAdobeの管理下に置いておくメリットであり、もう一方はこれを手放して標準化するメリットである。
「Adobeの経営陣はPDFの新しいバージョンが出る度に、標準化するか否かをこの秤にかけきました。(これまで)天秤は常に『標準化しない』という方に傾いていたんです。もちろん両方の皿には様々なメリットとデメリットが乗っているわけで、実際の比較はそれほど単純ではありませんが」
ところがここ4、5年の間に市場における標準化への意識が変化しはじめ、広く普及した技術が特定の1社に囲い込まれるのは避けるべきだという風潮が生まれた。特に政府機関が敏感に反応し、国際的な標準規格でなければ採用しないという姿勢が顕著になってきたのだという。
「その結果、2006年の末に天秤が初めて『標準化する』という側に傾いたのです。そして2007年1月にISOへの仕様書提出を決定しました」
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