Railsのコードライティングから開発サイクルまで包括するIDE「3rdRail」
CodeGearのRuby・Ruby on Rails向けのIDE「3rdRail」はチームの習熟度の差をツールで埋めることで、開発サイクルの最適化を図る製品といえる。
ボーランドのCodeGear事業本部は5月9日、RubyおよびRuby on Railsの統合開発環境「3rdRail」の日本語版を公開した。英語版の1.1をフルローカライズした製品で、「2本のレール(Rails)の上を走る列車(プログラム)に電力(パワー)を供給するサードレール(3rdRail)」を目指す。
builderでは2月に3rdRailに関連する取材記事を2本掲載している。こちらもあわせてご覧になって頂きたい。
藤井等氏
今回公開されたのは「3rdRail 1.1 日本語版」。Eclipse 3.3をベースにした統合開発環境で、UIや技術文書、ビデオコンテンツなどが日本語ローカライズされている。CodeGear マーケティングディレクターの藤井等氏は、「EclipseプラットホームをRuby用に最適化」しており、プラグインではないと述べている。
藤井氏によれば、Eclipse 3.3の日本語ランゲージパックはリリースされていないが、Eclipseプラグイン日本語化プラグインの作者である柏原真二氏の協力を得て、3rdRailではフルローカライズを実現したという。また、この作業に伴うEclipse DLTKとATF日本語化の成果は、コミュニティに還元していきたい考えだ。
「日本語版」の公開ということでローカライズが注目を集めがちだが、3rdRailの「1.1」という点も注目したい。
1.1からの新機能としては、まずRuby on Railsの複数のバージョンに対応したことが挙げられる。3rdRailは、Ruby 1.8.5以上、Ruby on Rails 1.2.x以上もしくは2.0.x以上で動作するのだ。
高橋智宏氏
もう1つの新機能はデバッグだ。CodeGear エヴァンジェリストの高橋智宏氏は、「これまでのRailsプロジェクトはデバッグが非常に難しかった」と語る。藤井氏も、「デバッグはスクリプト言語の開発でネックになっている」と述べており、そこで3rdRail 1.1で高速Rubyデバッガを提供することになったのだという。
また、先に挙げた記事のタイトル「CodeGearの3rdRailはRails特化のシェルとなるか」は誇張ではない。藤井氏によれば、Ruby on Railsはコマンドラインを使った開発も多く、実は非常に原始的だという。こうしたスタイルに慣れた開発者が統合開発環境のメリットを享受しようとすると、コマンドラインが使えなくなるというジレンマが存在するのだ。
3rdRailでは統合開発環境の中にコマンドライン環境を取り込み、Project Commanderとして提供することで、両方の「いいとこどり」をしたようだ。
そしてこの取り組みには副次的な効果も期待できる。藤井氏は、RubyエキスパートはIDEの中のProject Commanderを利用し、ヤングデベロッパーはProject Commanderと同じことをビジュアル操作で行えると述べており、習熟度の差を超えて同じ製品を利用できると指摘しているのだ。
この指摘は今後、日本でのRubyとRuby on Railsが普及するにつれて、重要さを増していくだろう。藤井氏は「日本企業もRubyをシステム開発に取り入れようとしているが、マーケットや規模が拡大するに伴って、Rubyの習熟度が低い人たちを含む混成部隊で開発をしていかなければならない」状況が到来すると考えているのだ。
普及の壁となるこうした過渡期を乗り切るには、開発チームが同じ製品を利用することでナレッジを蓄積・共有し、同じ開発サイクルを回していけば良い──CodeGearは「ツールでこれを解決することで、普及を支援していきたい」(藤井氏)との考えだ。
3rdRailの動作環境はWindows VistaもしくはXP、Mac OS X 10.4もしくは10.5、Ubuntu Linux 7.10。発売日や価格は未定だが、それも「近々には発表できそう」(藤井氏)だという。
3rdRailの画面。見づらいが、メニューやダイアログなどフルローカライズであることが確認できた
買収について
CodeGearは一昨日にEmbarcadero Technologiesによる買収が発表されたばかりだ。
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