セキュアコーディング:そこにある見えない大問題
翻訳校正:石橋啓一郎
ソーシャルコンピューティングやクラウドコンピューティングが話題になっているが、企業はこれに懐疑的な場合が多いようだ。この背景には、業界全体でそもそも安全なコーディングが行われていないという、根深い問題がある。
この2週間ほど、私は漠然とソーシャルコンピューティング、クラウドコンピューティング、そして伝統的なプロセスに基づくシステムをつなげようと試みていた。この話には多くの切り口があるが、私の意識からすっかり抜けていたのがセキュリティの観点だ。私は特にこの分野の専門だと言うつもりはないが、これがビジネスソフトウェア開発で不可欠なコンポーネントだということは知っている。まずは最近の出来事や記事を追ってみよう。
4月8日に出た大きなニュースに、Googleがクラウドコンピューティングのためのアプリケーションエンジンを公開したというものがある。また、ラスベガスで開かれたGartner Emerging Technologies Conferenceについて書いた記事で、Larry Dignan氏は企業は確かにGoogleのクラウドに興味を持っているとしながらも、次のように記している。
しかし、問題点もある。彼らはGoogleのクラウドによるホスティングに慎重だ。・・・私は少なくとも4人のIT関係者がGoogleはまだ企業向けサービスの準備はできていないと話すのを聞いた。しかし、Garettが数週間前に擁護したように、Google App Applianceのようなものがあれば、これは乗り越えられるだろう。私は、Google App Applianceがあれば、これがGoogleを企業市場に導く要因になりうるということを確信している。
一方、Dana Gardnerは「platform as a service」について議論しており、Danaが進行役を務めたBungie LabsのPhil Wainewright氏とAlex Barnett氏の議論の中で、彼は次のように述べている。
それを実現するための堅牢なインフラを構築することは、本当に難しい。それが、多くの企業が手控えている理由の1つであり、従ってアジャイルな対応にも欠けることになる。これが、PaaSが提供できる役割の1つだ。
しかしちょっと待って欲しい。
もし、読者が4月7日に投稿されたLarry Dignan氏の「Crimeware as a Service」に関する記事を読んでいれば、洗練された犯罪者がオンライン窃盗を商業化する技術を開発していることを知っているはずだ。もはやそういう時代になっているということは驚くようなことではなく、FinextraにはSymantecが盗まれたクレジットカードから完全な認証情報まで、何でも驚くような安値で買うことのできるオンラインスーパーマーケットが登場するだろうと警告していると書かれている。セキュリティの脅威の時代においては、このような記事はありがちなものに見えるかも知れない。その後、私はOracleの最高セキュリティ責任者であるMary Ann Davidson氏のブログ記事を読んだ。Davidson氏は、計算機科学の学生がセキュアコーディングに関する教育を受けていないことに対して憤っている。同氏はその記事の冒頭で次のように述べている。
ベンダー業界では、われわれのサプライチェーンが現在「安全な開発ライフサイクル」を欠いていることに対する不満がくすぶっている。ただし、Oracleでは他のソフトウェアサプライヤーの技術をわれわれのコードに組み込む前に、その会社のセキュリティ慣行について厳しく吟味していることは確かだが、ここではそれらのサプライヤーの話をしているわけではない(例えば、われわれが組み込んでいるツールキットやコンポーネントを供給しているベンダーの話をしているのではない)。
ここで言うサプライチェーンとは、計算機科学専攻の卒業生をITベンダーに供給する大学のことを指している。ほとんどの大学の学位プログラムには、「安全な開発ライフサイクル」が欠けている。つまり、関連する課程(例えば計算機科学)の卒業生に、セキュリティの知識が備わっていないのだ。これは、もしかするとソフトウェア業界全体を苦しめている問題の根元かも知れない。ソフトウェアのサプライチェーンの中で取られているあらゆる改善手段(複数セキュリティポイントソリューション、脆弱性分析サービス、パッチ管理サービスなど)は、多くの場合、ほとんどのソフトウェアが安全なものとして設計されてもいなければ、安全なものとして作られてもいないということから生まれている。開発者は攻撃者の視点からソフトウェアを書くことをしていない。多くの開発者は、セキュリティは他の誰かの仕事だと考えているが(「これはファイアウォールの裏側に置かれるので、われわれが心配する必要はない」)、彼らのコードはターゲットの1つであり、今後はより一層ターゲットになる可能性が高まる一方だろう。
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