電子メールの終焉と、それがプログラマーに与える影響
翻訳校正:村上雅章・野崎裕子
SMTP規格の持つ欠点と、それによってもたらされるデメリットを挙げるとともに、電子メールの終焉という事象がコンピューティングの世界をどう変えるかについて考える。
電子メールアプリケーションはかつて、人々をこぞってインターネットへと向かわせるキラーアプリであった。コンピュータを持っていない人々でさえ、HotmailやYahoo! Mailのアカウントを取得し、まめにメールチェックをしていたものだった。人々は簡単に、都合の良い時に、そして安価に、遠く離れた場所にいる人々に連絡をとれるということにワクワクしていたのだ。
電子メールは世界を根本的に変えようとしていたが、今ではその状況が一変してしまっている。電子メールの価値がすっかり失われてしまっため、私はほとんど使わなくなっているほどだ。その問題はSMTPというプロトコルにある。標準的なSMTP/POP3(あるいはSMTP/IMAPやSMTP/MAPI)を用いた電子メールはその代替となるコミュニケーション手段が登場したことで、大半の人から見捨てられつつあるようだ。SMTPを用いた電子メールがあまりにもお粗末なものであるため、人々は従来の電子メールにつきものの問題さえなければ、大した機能がなくてもその他のコミュニケーション手段を利用しようとするのである。
電子メールの終焉によって、従来のデスクトップコンピューティングの凋落に歯止めがかからなくなっている(ただし、電子メールの終焉がこの凋落のきっかけとなったわけではない)。そしてこういった凋落によって、新たなプラットフォームに移行したり、サイズの異なるディスプレイに対応したりする必要が生まれるため、かなりの数のプログラマーがその影響を受けることになるだろう。
なぜこんなことになったのか?
SMTPプロトコルの仕様自体は近視眼的なものだ。つまり、SMTPプロトコルはメールを届けるには十分だが、メールの保護に関してはお粗末なことしかできないのである。(SMTPの技術的な詳細を正確に知りたければ、RFC 2821(英文)を読んでほしい。)以下に、SMTPの欠点と、それによって引き起こされる結果を挙げている。
- SMTPの仕組みでは、電子メールの中継処理に関わるサーバが差出人のドメインからその処理権限を与えられていることを保証できない。SenderIDとDNSにおけるSPFタグを用いたようなアドオンが存在しているものの、世の中で広く利用されているとは到底言えない。結果:スパムが横行する。
- SMTP規格には、接続の暗号化を常に利用可能にしておくべきであるという要件が存在していない。結果:電子メールは盗み読みされるおそれがあり、電子メールを暗号化するアドオン製品を利用するというコストや手間がかかる。
- SMTPの仕組みでは、メッセージ全体が送り先に届けられることになる。このやり方は、RSS(あるいは大半のNNTPリーダ)のように通知やメッセージヘッダのみを送り先に届けるシステムとは異っており、送り先が後でメッセージ内容を取りにくるのを待つというシステムともなっていない。結果:帯域幅が無駄に使用される。ただし、SMTPのこの送信方法では、メールを読もうとした際に、メッセージ内容を保持している送信者側にアクセスできなくなっている場合であっても(障害か設計かにかかわらず)、メール全体を確実に読むことができるという点を指摘しておきたい。
- SMTPの仕組みでは、送信されたメールのコントロールどころか、配信状況を監視することもできない。結果:電子メールの有益性は、企業にとってそうあるべきレベルに達していない。
- SMTP規格では、認証や検証、送信者の身元証明が一切考慮されていない。結果:電子メールの内容に信頼を置けなくなる。スパムが横行する。
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- コメント(2件)
#1 kuss
- 2008/01/31 10:48
#2 msaeki
- 2008/02/27 18:49
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